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Chapter 028_追い風

林檎です。

本話、ちょっと短いです。


ご了承くださいませ…

「ヒュポグリフ…だとっ」


ヒュポグリフはベルナール達が暮らしているアドゥステトニア大陸で最大の

人的被害を(もたら)している恐るべき魔物である。


肉食でヒトを食料と認識している空のハンター。

人間に例えると、5〜6歳くらいの知能も備えている。


性格は

残忍(ざんにん)かつ、獰猛(どうもう)


獲物が弱いと知ると(もてあそ)び、強いと知ると逃げ出す

狡猾さも持っている。



「ど、どうするっ!?」


ハラの町に現れたのが”群”であったなら悩むまでもなく逃げの1択。


ヒュポグリフの群に立ち向かうコトは【戦争】と同義であり

騎士団の全兵力をもってしても果たせないかもしれない

生死をかけた”決戦”である。


アドゥステトニア大陸では実際に、年に数回ヒュポグリフに襲われて

集落が丸々壊滅している。

4級冒険者のみで構成されているベルナール達が敵う相手ではなく、

むしろ彼等に求められるのは領地の危機をいち早く伝える

メッセンジャーとしての役割である。


奇跡頼みの特攻など、むしろ被害を拡大するだけ。

彼らの玩具(おもちゃ)が1つ。増えるだけ…



「す、すぐに向かおう!」

「おうっ!」


しかし今回は単体…ハグレが相手のようだ。


単体での脅威度は中級なのでベルナール達でも

“無理をすれば”戦える…追い払うくらいは…できるかもしれない。しかし…



「まて、危険すぎる!」


実力者であるメルヴィとアレクセイ含め全員が4級だ。

(たとえ”ハグレ”だとしても)3級でも相手にするのは

厳しいと言われるヒュポグリフに立ち向かおうなど、

無謀と言われても仕方ない…



「でもっ!」

「オレ達が助けないで誰が助けるってんだ!」


レオンの意見は”もっとも”だった。

人口40名弱のハラの町には冒険者ギルドどころか、

騎士団の詰所すらない。


助けを求めて全力で走ったとしても、

救助が駆けつける間に少なくない被害が出るのは必然



「し、しかし…」


アレクセイだって…その言葉が真実であるコトくらい分かる。

しかし彼は、こんな所で…こんなハプニングで…散るわけにはいかな

かった。


”養子の自分”が”実子の兄”と競り合うには絶対的な力と実績…すなわち

”価値”を示す必要があると信じ疑わなかった。

最悪の事態を免れたにしても、怪我を負って資金不足に(おちい)

本家の金を使うはめになったら何を言われるか…



「っ…」


メルヴィは決められなかった。


優秀な魔法使いではあるが、あくまでサポート…

ダメージソースにはなれないメルヴィは

自分に決定権など無いと思っていた。


ソコが彼女の「いいところ」であり、

「弱いところ」でもあった。


持ち前の明るさと星の一欠(ひとかけ)に見出されたという自信が

彼女の背中を押してくれたが、

穢れた身体と奴隷同然の日々が帆を張る船から舵を奪った



「「…」」


2人の「慎重さ」と「協調性」は美徳だったが…






「危険!?そんなの当然だろ!」


しかし!

…時には



「冒険者が冒険しないでどーすんだよ!?」


蛮勇と無茶も必要だ!!



「「っ!?」」


「「先行くぞ!」」


ベルナールとレオンに迷いなかった。

成功体験があった2人の頭に「無謀」や「無茶」という

言葉は思い浮かばず。

ただ夢中になって、来た道を駆けた



「…っ!」


その後ろ姿に…



「シ、シルフゥ!シルフォ!!」

『?』『!』


…最初に動いたのはメルヴィだった



「【みなみ風】で2人を支援してあげて!」

『『!!』』


【みなみ風】はシルフィが宿す風の支援魔法だ。

効果は風属性の【援風魔法】と概ね同じだが、


バリアを張るイメージに近い【援風魔法】と違い、

乱流を整え背中を押すイメージの【みなみ風】は

防御力は低いが、その分、身体能力が大きく向上する。

また、リアルタイムで精霊が支援してくれるから応用力も抜群だ。



「!…急ぐぞ」

「ったりめー!」


何度もこの魔法の世話になっているベルナールとレオンは

肩に取り付いたシルフゥとシルフォの姿を確認する

までもなく、背中を押してくれる風に力に足を速めハラの町に急行した!



「シルフェ!あなたは彼と…」


精霊を2人に預けたメルヴィは…自分には援風魔法を施して

『任せて!』と頷きアレクセイに飛び付いたシルフェの姿を瞳に映してから

左足を前へ…



「ま…待ってくれ。メルヴィ…」


…出しかけた所で。



「だ、大丈夫なのか!?僕達に…で、できるのか?」


強いクセに。偉そうなクセに…

いつも、イザという時に怖気づく彼に…



「…、」


…呼吸を置き。



「やるしかないでしょ…」


…それでも。

パーティーの最大戦力である彼の”喉と瞳”なくして

勝利は無い。と確信していたメルヴィは



「だって、」


彼の背中を押すために…



「ヒュポグリフ”程度”で揺らぐようじゃ、その先に進めないじゃない!」

 

…風の魔法を


唱えた

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