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Chapter 018_水先精霊

「すー、はぁ〜…リ、『リブラリアの』…こ、『根源原理 編みて綴りし定理をここに』…」


「「…」」


…ベルナールもレオンも【本魔法】以外の

【調和魔法】を目にするのは初めてだった


調和魔法はパーソナライズ…つまり、(術者)本人に

最適化…された魔法を編纂することができる。


パーソナライズされた魔法は(術者)本人に最適化されているため

戦術的にも魔力消費量の観点でも、

既存魔法と比べて圧倒的に効率的で強力である。



パーソナライズされた人工精霊をパーソナライズ

された召喚魔法で喚び出す…


…その行為には深淵の知識と膨大な手間と時間。

そして、娘を想う母の愛が詰め込まれている。


ミーリアだって、そんなコトは分かっている。

分かってるからこそ、くすぐったくて気恥ずかしかったのだ



「…な、『波間から 空へと続く群青の(はら) 漕ぎ出すその手に ひとひらの言の葉を』…」


…実は、ミーリアが魔法行使を躊躇っていた理由は

もうひとつある。


ソレは…そ、その…

ミーリアの発動子が【短弓】であるコトに由来する。

髪の色()()()母親譲りのその身体は、端的に言って

弓を引くのに適さない。


「大喜びで教えてくれたフルートお父様には悪いけど、発動子を変えようかなぁ…」


…そんな悩みも、

彼女を躊躇わせる理由のひとつになっていた…






「…ローイング。」


矢を番えず…弓だけを手にしたミーリアが完唱し…



「…おいで。ラミュー…」


空中に浮かんだ群青(ウルトラマリン)の魔法印に

手を差し伸べると…


『チャポンッ…』…と、円を描く波を拡げながら



「んしょっ!…とぉっ!」


元気よく飛び出し、

ミーリアの手の平に跳び乗ったのは…



「んふふぅ〜っ…!はあぁ〜いミーリア!ひぃさしぶりいっ!」


群青(ウルトラマリン)の髪に瞳…



「う、うん。ひ、久しぶり…」

「もぉ〜、なによもーっ!いつもの元気はどしたー?」


小さな体と、手に持つ大きな(オール)を元気いっぱい振り回す

白い水兵服が似合う小麦肌の小人…



「…ふふふっ。元気そうでよかったわ。我が主(ミーリア)…」


…ソレが。

ミーリア”だけ”の召喚獣 【水先精霊ラミュー】 である



「ん…ぅ、んぅ、んうぅっ!ごめんね…ご、ごめんねラミュー…ごめんね。ごめんなさいっ…っっ。。。…」


ミーリアの

謝罪の真意も、涙の理由も…



「…んーん。」


…他の誰にもわからなくても、



「大丈夫…」


シンクロ率100%を誇るラミューには…



「…全部。分かってるから…大丈夫。」


…ソレが。

【調和】というものだ…



………

……





















「…それで?”彼”の特訓に付き合ってあげればいいのね?」

「カ、カレじゃないよぉ〜…」


ミーリアが涙を引っ込めるのに

時間はかからなかった。


主が落ち着くのを待って、

ラミューは櫂を振るって空中に水の路を作り波に乗って、

ミーリアの目の高さに移動してきた



「もぉ〜、”人称”としての”彼”よ!…ミーリアってば、早とちりぃ〜(笑)」

「ふしゅうっ〜//////」


そんな2人のやり取りに…



「…」


ベルナールは

「魔女様のアニマやフェタは個性的だなぁ…」

と、素朴に思い



「!」


水魔法使いのレオンは

「スゲー!精霊スゲー!!」

と、感心しきり。


そして、



「うんうん…」


子を持つアベルは『うんうん』と頷き

感心(?)していたのだった…



「じゃあ、まぁ、ベルおにーちゃんとレオンおにーちゃん…だっけ?だよね!?」


ミーリアの前でケラケラ笑っていた…と、思ったら、

白波とともに振り返ったラミューに呼ばれた2人は



「う、うん!」

「おうっ!」


と、応えた。

すると、空中に張った水面の上で

背丈の倍もある櫂を抱えたラミューは



「えっとぉ~…コレから水で作ったお魚ちゃんを飛ばすからぁ、剣か魔法で倒してねんっ!」



そう言いながら振られたらみゅーの櫂の先では、

4つの水玉が『グルグル』と巻き。やがて翼の生えた魚…飛魚

の姿に変わったのだった!



「「すげーっ!」」


精霊の妙技に見惚れた2人だった…



「いっけぇー!」


…が!?



『『『『パシュシュシュシュンッ!!!』』』』


青味がかった透明の魚たちは

櫂の動きに合わせてミサイルのように飛び出し!



「「!?」」


痛みを知覚させるより速く!

2人の身体を吹っ飛ばし!?



『『ずざざざざーー!!』』


数メートル空中を飛んだベルナールとレオンは直後、

びしょ濡れ + 雑草まみれ + 泥まみれ

で地面を擦った!



「ラ、ラミュー!?やり過ぎ!やり過ぎだよぉ!?」


ミーリアは精霊を咎めようとしたけれど…



「最初に”味わって”おかないと本気になれないでしょーっ!?」


当のラミューは悪びれた様子もなく、大きな櫂を

両手を使って頭の上をグルグルと回し…



「さぁーさぁー、おにーちゃん達ぃ!早くおっきしないとどんどん遠くに飛ばしちゃうぞ!腰に佩いた剣は飾りかなっ?力が欲しくないのかなぁ〜!?」


挑戦的な群青(ウルトラマリン)の瞳をキラキラ輝かせながら

トビウオ達を回遊させた!



「ぐっ…」

「あ〜…クソッ!ペッ、ペッ…」


地面を転がり汚れた2人だったが、

それでもなんとか立ち上がり…



「やってくれるぜ…」

「…あぁ、まったく!」


シンクロ率だけでなく、出力効率も100%にできる

調和魔法の真髄の味を、雑草と泥と共に味わった2人は

剣を抜き…



「…さぁっ!」

「来いやぁ!!」



唱えた!!

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