Chapter 017_形ある詩
「と、言うわけでミーリアちゃんも手伝ってくれ!」
「…うぅぅっ!?!?」
ベルナールとレオンの斜め後ろで
「アベルさん。たまには良いこと言うじゃん…」と、感心していたミーリアは
突然話しかけられ心底驚いた。しかも…
「な、なんでよぉっ!?」
手伝え…だって!?
「この2人に必要なのは実戦経験だ。ひと肌脱いでくれてもいいだろ?」
「わ、私は付いてきたダケで…」
「そうは言っても先輩…保護者なんだろう?」
「ゔっ…で、でも…」
ミーリアが渋るのには理由がある。
実は最近、あまり冒険者の仕事をしていないから自信が無いのだ…
「…頼むよミーリアちゃん。2人の特訓には君の…
水先精霊が最適なんだから」
水先精霊…その名を聞いた途端
「っ、」
ミーリアは「あっ、」という顔をして…
「…らみゅ〜?」
「精霊??」
ベルナールとレオンは疑問符を浮かべたのだった
「水先精霊を使えば、安全に2人の特訓ができるだろう?…今回は相手が相手だから。オレがやるには背丈がなぁ…」
「ちょっ…」
「水先精霊はちょうどキュルグくらいのサイズだし、水を操ればなんにだって…」
「…ちょっとアベルさん!?」
ソコまで話てようやく、
「ぅん?」
ミーリアと2人の
微妙な距離に気付いたアベルは…
「…あ、あれ?ミーリアちゃんひょっとして…2人には?」
その言葉に
「…ご、ごめんなさいお兄ちゃん!…レオンお兄ちゃんもごめんなさい!!」
ミーリアは振り返り、
”はてなマーク”でいっぱいの2人に頭を下げたのだった
「…べ、別に隠そうとしてたワケじゃないの!ただ、タイミングがなくて…」
…その言葉に
「…え?事情が全く…」
「精霊って…?」
その様子に、
事情を悟ったアベルが…
「…ご、ごめんなミーリアちゃん。よ、余計なコト…言っちゃったか?」
…そう、耳打ちすると
「っ…」
一瞬、苦い顔をしたミーリアは
「〜っ…はぁっ~…」
諦めのため息の後
「…いいの。ずっと言ってなかった私の…せい。だから…」
そう、呟いてから
「…あのね。」
…改めて。
ベルナールとレオンに向き直ったミーリアは
「私ね。精霊を…宿しているの。ずっと黙っていてごめんなさい…」
…その言葉に
「…え?い、いや。ぜんぜん構わないんだけど…どうして謝るの?」
「そ、そうそう!手の内を明かさないのは冒険者の基本だし…」
精霊を宿しているのは確かに特別なコトなので
「羨ましくない」と言えば嘘になるけれど…
でも、ソレを黙っていたことが悪いコトであるハズもない
「…ほ、ほんと?」
「隠そうとしていたワケじゃない」というミーリアの
言葉は本当だった。
タイミングがないまま1年も経ってしまい、今更言うのも
気恥ずかしくて2人との関係が変わってしまうのでは…
と、不安に苛まれていた。
「ほんとほんと!」
「精霊を宿しているなんて…凄いじゃないか!」
ミーリアの不安の根源は…
「そ、その…わ、私が宿してるラミューちゃんは…お、お母様に。貰ったモノだから…」
…「魔女の娘」という
身に余る立場によるものだった。
「魔女様に…ってコトは!?」
「シ、調和魔法の精霊!?も、もしかして人工…」
【調和魔法】は【夜の魔女】とその弟子7人しか宿していない秘技である。
さらに、調和魔法の中でも特に難度の高い「精霊創造」と、
その「召喚魔法」の編纂ができるのは弟子の中でも3人だけだ。
「…う、うん。その…【人工精霊(フェタ】)なんだ…」
つまり、魔女本人を含めても世界に4人しかいない。
それがどれほど貴重なことか…想像に難くないだろう
「フェタ…つ、つまり。ミーリアちゃん専用の…」
「ヤバッ…」
ミーリアが宿す水先精霊は
魔道を極めた8人の天才だけが宿すレアな調和魔法であり、
その中でもエピックな精霊召喚魔法であり、
しかもレジェンダリーな夜の魔女お手製である。
誰もが憧れる魔女様が、愛する我が娘の為に編みだした
”す~ぱぁ~アルティメットレアエピックレジェンダリー”魔法である!
マニアじゃなくても垂涎の”詩”というワケだ。
「うぅぅ…」
…もちろんミーリアだって分かっている。
母が自分を愛してくれているが故、この魔法を編んで
精霊を託してくれたというコトを。
けれど、身近な人との繋がりを大事にしたいミーリアには
この”特別”が重荷になり始めていた。
母の愛が気恥ずかしくて、
平均的な実力なのに特別だと評価されてしまうコトが怖くて、
最近気になる彼との溝が拡がる気がして…
「…ははは。魔女様らしいね!」
だから…
「娘の為に【精霊】まで作っちゃうなんて…あの人らしいね!」
…他でもない”彼”の
その言葉に…
「確かに無茶苦茶だな!」
「だよなぁ!ミーリアちゃんが可愛いからって、ソコまでするなんて…さすがだよね!」
分かってもらえた嬉しさと…
「っ〜///」
理解された恥ずかしさと…
「…おぉ、お母しゃまをバカにしゅるなぁ〜!!」
煩わしく思っていたハズなのに…
いざ、他の人に言われると悔しくて堪らない
この気持ちの正体に”いまさら”気付いたミーリアが
「ふしゅ〜…//////」
湯気が出るほど真っ赤になると…
「ははは…」
当の彼が、
なんの気なしに…
「…ま。魔女様の気持ちも分からなくないね。」
…なんて言葉を!?
「〜っ//////♂⇔♀Λκ?Åふぅにゃあぁ〜!!!」
ヒトの顔見ながら言うものだから…
「おおぉ…おにーちゃんのバァカアァ〜!!!」
と、叫び
そして
「う〜、うぅ〜ううーっ!」
「あたたたた!」
真っ赤な顔で唸りながら
ベルナールを『ポカポカ』と叩いたのだった…
アベル「あ〜…なんだ?この2人付き合ってんのか?」
レオン「信じられるか?コレで、タダの宿の娘とアルバイトだって主張しているんだぜ!」
アベル「あぁ〜(察し)…なんだ。その…お、お前もかのj…」
「できたらやってるよ!!!」




