Chapter 011_練習
林檎です。
本話、ほんのちょぉ~っと、短いです。
ご了承くださいませ…
「そういやぁ、あの子はどうなったんだ?」
練習相手となるハグレのキュルグを探し求めて
ベルナールとレオンは雨露を纏ったルボワの森を歩いていた
「あの子…ベリーチェちゃんのことか?」
「そー、それ!」
季節は秋も半ば。
レイド戦まで、残り十数日を残した日のことだった
「まだ体調が安定しないんだってよ…」
「安定しない?…目が覚めたんじゃなかったのか?」
(それなりに)広いルボワの森でキュルグを(意識的に)探すのは骨が折れるが、
木の実が不作の今であれば、年がら年中 実を実らせるプルーツリーの周りを探せば
見つかるのでは?と、かなり的確な予想をした2人は早起きをして
プルーナッツ採集の依頼を(ついでに)受けつつ、本命のキュルグ探しを始めた。
ツリーまでは、まだ距離がある。
道すがら世間話をしていると、先日助けた
ベリーチェちゃんの話題が上がったのだった…
「寝たり起きたりで。面会もできないって…」
「ふ〜ん…治癒術受けたのに…大変なんだな?」
一般に治癒術は”瞬時に治す”技だと思われているし、
数年前までは実際にソウだった。
【長期ケア】が可能になったのはごく最近のことで、
一般にはまだ、知られてはいないのだ…
「彼女は彼女で頑張ってんだ。オレも頑張らないとな…」
彼女の身に起きた悲劇をコレでもか!と見せつけられたベルナールは
3歩下がっては2歩下がる日々を送る可哀そうなベリーチェを
本気で応援していた。
だから、その口から飛び出した殊勝な言葉が
実はシャルロッテちゃんの受け売り”そのまんま”であったとしても
目を瞑ってあげてほしい…
「…」
自分の(シャルロッテちゃんの)言葉を噛み締めながら
拳を握り込めたベルナールの横で…
「…けっ」
…相棒のレオンは。
両手を頭の後ろで組んで…
「モテる男は言うことが違うねぇ〜…」
…と、悪態をついたのだった
「はぁっ!?」
「リチアちゃんとミーリアちゃんに聞かせてやりたいよ…まったく、」
「なんで2人がでてくるんだよ」
ベルナールの天然な反応に
「はぁ〜…」
呆れて、
片手で頭をかかえながら…
「…ぉら。もう着くから、気ーいれろ」
…と。
この話題を終えることにした。
「お前が振った話だろうが!」
「…」
ベルナールのツッコミなんて。
聞こ〜えな〜い…
………
……
…
『ギギ』
『ギキィー』
『ギュッ、ギュッ…』
二人の想定通り…
プルーツリーの前にはキュルグがおり、地面をピョコピョコと跳ねる
プルーナッツを追いかけ、騒いでいたのだった。
ココまではよかったのだが…
「群れ…か?」
プルーツリーの周りでナッツを追いかけていたのは
3匹のキュルグであった。
“群れ”にしては、数が少ない気もするが…?
「…いや。3匹ともオスの特徴…”金属光沢のある赤い飾り毛”…が生えてやがる」
「オスの群れ?…だが、オス同士だと子供でも喧嘩するって。資料に綴られていた気が…?」
キュルグの社会はオスに厳しい。
ハーレムを築くには体格と力と運が必要であり、
生まれた瞬間からライバルとの競争が始まるのだ
「…そのハズだ。だがアレは…」
しかし
2人の瞳に映った3匹の独身たちは…
「協力…とは、言い難いが。少なくとも争ってるようには見えないんだが…?」
「…あぁ。ナッツ取りに夢中…と、いったところか?」
プルーツリーの周囲にうまくバラけたキュルグは
示し合わせた”縄張り”でもあるかのように、お互い不干渉を決め込み
己の狩りに集中しているように見えた…
「停戦中…といった所か?」
「…どうだろうな?」
キュルグのハーレムは【縄張り】を張る魔物なので、ハグレと言えど
縄張りという概念自体は理解していると考えられる。
しかし、一般にハグレは縄張りを持たず放浪する。
「…ま。魔物も”生き物”だから。追い詰められれば、普段しないような動きもするんじゃないのか?」
「かもなぁ…」
この3匹は…事前に喧嘩や話し合い(物理)があったのかは分からないが…
生き残る為の折衷案として喧嘩を止め、
飢えを満たす事に集中しているのかもしれない…
「…どうする?」
予定通りキュルグを見つけたはいいが…
「う、うぅ〜むぅ…3匹…微妙な数だな…?」
「だよなぁ…」
1匹を相手にするツモリで来ていた2人は及び腰であった。
なにしろ…
『『『…』』』
…示し合わせる3匹の目付きからして
1匹を襲えば、他の2匹も参戦すると予想できたからだ。
とはいえ…
「…だが。最終的には”群れ”を相手にしないといけないワケだし…」
2人はセミプロ。
無責任に仕事を投げ出すコトなど許されない。
それに。コレまでだって…
予想外に乱入してきた魔物を処理したコトや、
他パーティーのトレインを相手にしたコト。
瀕死の女の子を助けたコトだって…
「そ、そうだよな。いつも予定通り…とは、いかないもんな…」
…と。
意見が一致した2人は
『カチャ…』『スゥ…』
と、剣を鞘から抜き…
『ギ…』『キキキ…』『…』
…敵の覚悟を瞳に映し
「っくぞ!」
「あぁっ!」
ようやく主人公の絵を貼れました!
どっちがどっちかは、本文を読んでいれば分かるハズ!




