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Chapter 007_4級冒険者

「ベルナール君。レオン君。君たちコレから4級冒険者だからね。」


ベリーチェが目覚めた数日後…



「「…はい?」」


美味(おい)しい魔物【グールー】を2羽も捕まえて

意気揚々とギルドへ戻ってきた2人は


ベテラン冒険者ギルド職員であるデュランさんに唐突に

昇進を言い渡されたのだった…



「…治癒院から連絡を受けたよ。」


リブラリアの冒険者ギルドは達成した依頼の数と質の他、

普段の態度やコミュニケーション能力、力社会的意義など…多角的に冒険者を評価

している。このため、いつ、どのタイミングで

昇進を言い渡されるか分からない。


分からないがしかし、大抵は難しい依頼を達成した時だと聞いていたので

まさか、依頼票が「いつも出ている」グールー討伐で昇進するなんて

思っていなかった。


そんな2人の思いを汲み取ったのか…



「少し早い気もしたけど………治癒院からの評価が高かったからね。」

「あっ…」「あぁっ!」


「まぁ、人助けは大事だからね。今後に期待ってコトで…」


…デュランさんの言葉に合点がいった2人は



「おぉおっ!」

「っ、しゃっ!」


冒険者になって1年と少し…

平均より早く”セミプロ”と呼ばれる4級冒険者になった2人は

評価された事に、そして期待されている事に素直に喜び。



「…さ、コレが4級の(ページ)だよ。魔法本を出して…」


ミーリアにさんざん、自慢された【縁付】の項…



「はい!」「っす!」


基本的に(司書妖精を除いて)魔法本に他人が手を加えるコトは

できないが、本人であれば”別に作成した項”を(ルーズリーフのように)

挟むコトができる。



「「本魔法リーブラ)!!」」


大きく「5級」と書かれた”白紙の項”を

魔法本から抜き出した2人は


代わりに受け取った”縁付の項”を

同じ場所に挟み直し…



『パチパチパチ…』


聴衆…馴染みの冒険者からの



「おめでとー!」

「おい、はえーぞお前ら!」

「インチキだ!」


温かい声と冷やかしの声に



「はは、ありがとー!」

「っせー!…実力だよ!じーつーりょーくーっ!」


気を良くし、



「今日は…」

「…贅沢ディナーセット!」


顔を見合わせ、



「「エール(シードル)は当然として!」」


拳を打ち合わせ!



「チーズ…いや、奮発して”腸詰め”はどうだ!?」

「異議ナーシ!!」


『バタンッ』…と、音を立てて本を閉じ



「ほら!後ろが詰まっているんだから早くどいて!」


ギルド員に追い出されるように…



「ベルー!リチアちゃんによろしくー」

「あ、あぁ…」

「レオォ!こんど奢れよぉ!」

「なんでだよっ!?ガチでなんでだよ!!むしろ、お前が奢れよ!」


…足取りも軽く、冗談を言い合いながら

賑やかなギルドを後にした



………

……














「ズルっ子だぁ…」


宿に帰り報告すると、

手を叩いて「おめでとう」と言ってくれたリチアに対して、

ミーリアは頬を『ぷくっ』と、口を尖らせ呟いた…



「ズ、ズルなんてしてないよ…」


魔女の登場により、少なくない忖度(そんたく)が発生したことは

否定できないが…ソレを踏まえてもベリーチェを救出した時の2人の行動は

5級冒険者として…ヒトとして。文句の付けようがないほど素晴らしく

評価に値した。


冒険者になる上で大事なのは実力であり、そして結果だ。


奇跡でも偶然でも何でもいい。

結果的にベリーチェは一命を取り留め、社会復帰の芽が生まれた。


月天使を呼び寄せた2人の…特にベルナールの…【強運】は

冒険者に必要とされる才能だ…



「…ズルっ子だもん。ミーは3年もかかったのに…」

「え、えぇと…」

「…あ、あぁ〜…」


ミーリアは…ミーリアは逆に「運が良すぎて運が悪い」という

可哀想な立場にある。


 【雷帝の魔術師】と呼ばれる兄

  剣神の後継者と目される”お姉様”

   ブレイン足りえる”お姉ちゃん”

    【終の魔女】の妹…


…その中にあって実力も知能も「並」(と、本人は思っている)の

ミーリアは周囲の過大な期待と現実に挟まれ肩身の狭い思いをして来た。

きっとコレからも同じだと思い込んでいる…



必要十分に依頼をこなしても「この程度」と言われてしまい

宿と冒険者を両立させれば「どっちつかず」と思われる。


家族か仕事を嫌いになれたら

どんなに楽だったコトか…



「ミ、ミーリア!も、もぉっ…ごめんなさいベルナールさん。レオンさん。…ミーリア。よし、よし…」


ミーリアは賢い子だ。

狩りも効率的に…少ない労力と短い時間で最大の成果を上げられるように

よく考えて動いている


ソレを見た”何も知らない赤の他人”に「楽をしている」「軽々とこなしている」

「魔女の娘。ズルい…」と、評価されてしまうコトも少なくない



「う、うーうーっ!」

「ミーリア!?」


加えて…



「も、もぉーっ!子供扱いしないでよ、お姉ちゃん!」

「ミーリア…」

「もぅ、いいもんっ!お姉ちゃんとお兄ちゃんの分からず屋!」


…ミーリアは今年で14歳。

思春期 真っ盛りだ…



「お休みっ!!」


…4級は

冒険者の別れ道だと言われている。



『バタンッ!タッタッタッタッ…』

「「「…」」」


プロじゃないけど、初心者(ルーキー)でもない。

依頼は難しくないけど、簡単でもない。

報酬をめぐって利害がぶつかり、欲もでる。


絶対的に強さが求められるけど、

強いだけじゃ評価されない


実力主義の社会のただ中なのに、

人望や危機管理能力、運すら必要になってくる…



「はぁ~…ごめんなさい。皆さん…」


「い、いや。リチアちゃんのせいじゃないよ。」

「ミーリアちゃんも難しいんだな…」


プロになれるか?諦めるか…

()()()()別れ道だ



「…あ、後の仕事はオレ達も手伝うから…」

「オレ”達”だぁ!?」

「…ダメか?」

「はぁ~…ったく。まぁ、仕方ねーなぁ…」


「ほ、本当にごめんなさい!ありがとう…」

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