Chapter 004_花言葉は「あなたを待っています…」
「もっていってあげて…」
正直…
彼が他の女にかまってばかりいるのは面白くなかった。
「コレは…」
「…秋のお花よ。」
「お見舞いだよ!」
…ケド。”ありきたり”ではあるけれど、
誰にでも優しい彼が好きだった。
だから
庭に咲いた薄紫色の季節の花をブーケに結、
託した。
「「いってらっしゃい…」」
“彼の”優しさを想って…
………
……
…
「…」
「「…」」
少女…
薄いシーツに包まれた少女は
トレードマークのポニーテールを解かれ
ベッドに拡げ
窓際のヒマワリがラベンダーに変わったコト
にも気づかず。
小さく小さい微かな肩の動きだけで
世界に「生」を証明していた…
「…」
治癒属性には【鎮静】の魔法もあるが
“その場しのぎ”に過ぎない。
また、1回1回が高額になってしまう治癒魔法
を繰り返してしまっては、
本家を勘当されている彼女に
再起不能な経済的ダメージを負わせてしまう。
依存性のリスクがあったとしても
睡眠効果の高い鎮静薬を多用するコトが
今の彼女の最適解であった…
「…」
あの日から半月…
リブラリアの”1ヶ月”は45日間もあるため
25日もの時間が経過したことになる。
思い返せば彼女の名前も聞いていなかったし、
顔もちゃんと見ていなかった。
あの日。
物語の紐を結わこうとしていた血濡れの少女は今、
シーツと魔法と薬で生かされる白い人形となっていた
「…」
…白く
冷たく
哀れで
オレのおかげで生きている彼女は…
「…っ」
どうしようもなく…
「…綺麗だ」
………
……
…
「…ベリーチェっていう名前らしい。」
「知らなかったのかよ…」
…夕方
ルボワ市の入口で待っていると
泥だらけのレオンが農具を手に現れた。
レオンは今日、農家の依頼で(形ばかりの護衛を兼ねた)
”畑仕事”に行ってきたらしい。
農具を返しギルドに報告して報酬を受け取ったレオンと共に
2人はそのまま【小さな魔女の家】へと向った。
しかし途中で、レオンの汚れが酷いまま宿に入れては
リチアが怒るに違いない!?と思い至ったベルナールは
水路で賄賂(沢ガニ)を捕まえ。
偉大なる水龍様にお願いして高圧洗浄で『ピッカピカ』に!
しかし、
良かれと思ってした事だったのに…
若女将から
「ぬ、濡れたまま宿に入らないで下さい!」
と、怒られ。タオル(有料)を投げつけられ。
看板娘から
「レオンお兄ちゃんのエッチ!」
と、グーパンを頂いた。
(上着を干したレオンは半裸だった…)
仕方なく2人は、
お情けで売ってもらった【贅沢ディナー】を手に
水路の土手に座り。
夕陽と宿の明かりを頼りに。
喧騒と虫の声をBGMに。
(かなり)お行儀が悪いけれど、
”かなり”チルい夕闇の下
男二人でディナータイムと、洒落こんだ…
「知ってたのか!?」
助けた女の子を「少女、少女」と呼んでいたのには理由がある。
気が動転していたベルナールは、なんと、彼女の名前を
聞きそびれていたのだ!
…いや、ホント言うと
呼ばれた司書妖精が調べた来歴と病歴を
治癒術師がチェックしていた時、ベルナールも側におり
氏名/年齢/出身/アレルギーの有無…といった
個人情報をバッチリ聞いていた(コレは慌てた治癒術師のミス…)
のだが、完全に忘れていた。
「普通に教えてくれたぜ?」
「マジか…」
レオンに教えられたのは【ベリーチェ】という少女の名前と、
自分・そしてベルナールと同い年だというコトだけだ。
「ったく、相変わらず抜けてんなぁ!」
「う、うるさいなぁ!」
レオンの軽口に詰め寄ったベルナールだったが…
「…」
…水音と、虫の声と、宿の喧騒と、迫る宵闇と、
秋風に揺れて芳香を放つラベンダーの花…
「ははっ!事実だろうっ!?」
…そして。親友の軽口に
「…久しぶり。だな…」
短くて長かった”足踏み”の半月を思い。
ソレでも今も友でいてくれる仲間を想い…
「あぁ…本当に彼女が。ベリーチェちゃんが無事でよかった…」
「まだ目覚めただけで…”会わせてもらえた”と言っても、眠った彼女を数分、眺めたダケだ。」
「大きな進歩じゃないか!いいか…」
レオンはベルナールに向き合った。
珍しく、真剣な表情で…
「…ベル。オレ達が…お前が。ひとりの人間を救ったんだ。その手で!この手で!!」
ベルナールの手を『ガチッ』と、
強く握り…
「オレは誇りに思ってるぞ!この喉を、瞳を、そしてこの手を!何よりお前を!!お前はどうだ!?」
…そんなレオンの熱い思いを
初めて目の当たりにしたベルナールは
「お、おぉ…」
…一瞬。
気後れしたが…
「そう…そ、そうだよな!」
…スグに。
負けじとその手を握り返し
「ったり前だ!」
「オレ達…や、やったよな!頑張ったよな!?」
「バカっ!血塗れ・汗だくだったじゃねーか!アレが頑張りでなくて何だってんだ!?」
自分達の 力と喉…努力と才能が、誰かの役に立ったのだ。と…
冒険者になって初めて”そのこと”を実感できたベルナールは
「だよな…っ」
その喜びを忘れぬように…心の本に綴るように。
強く強く、手を握r…
「っだあぁー!!」
…と、
思ったその瞬間!?
「ど、どうし…」
相棒が腕を『ブンブン』と振り、手を解いた!?
「ナニゴトカ!?」と、驚き瞳を向k…
「「どうした?」じゃ、ねーよ!」
…相棒の。
思わぬ剣幕に
「…」
唖然としていると…
「…ったく!」
ベルナールに握られていた手を
反対の手で包んだレオンは呆れ顔で…
「…力み過ぎ。」
…呟いた。
「…」
その様子に…ベルナールは
「ははっ!」
思わず
吹き出してしまい
「笑い事じゃねーよ!」
「ごめんごめん!確かに…ププッ、や、やり過ぎたカモ…」
「「カモ」…じゃ、ねーよ!…ったく。この手は商売道具なんだぜ!?」
「あはははは!」
「お前なぁ…はぁっ、」
そんな、
変わらぬ相棒の態度と言葉に
「レオン!」
「…っんだよ?」
嬉しくなったベルナールは立ち上がり
「オレも明日から復帰するぜ…」
再びの一歩を
「…冒険者に!」
唱えたのだった!
レオ「…盛り上がってるトコ悪いが。オレは、あした休みだ」
べル「んなぁっ!?…い、行こうz…」
レオ「無理言うな!何 ha耕したと思ってんだ!土魔法使えないから、ぜんっ…ぶ!手作業だったんだぜ!手作業!!…これじゃ、実家にいた頃と何も変わんねーよ…」
べル「土魔法…欲しいな。」
レオ「ホントにな…」




