Chapter 013_効率厨
【プルーナッツ】は【プルーツリー】という木に成る
木の実型の魔物で。ルボワの森に棲息する魔物の中では恐らく、最弱
しかし、それなりにお金になる人気の狩猟対象だ
「んーとぉ…いっこ30Lで。最低100個採集の依頼だよ。でも、多い分には幾らでも買い取ってもらえるから…いっぱい採ろうね!」
木の実を拾うだけなら採集依頼じゃないの?
…と、思ったら大間違い!
プルーナッツは木の実だけど、意思を持って動き回り
ヒトに襲いかかる魔物なのだ!
…ま。見た目が完全に木の実だから、みんな
「採る」って言葉を使うんだけどね…
「了解だよ!…ところで。どうやって採るんだい?けっこう大きな木だけど…」
「んーと、普段は木登りして枝にぶら下がって『ガサガサ』やるんだけど…」
プルーナッツが動き回るのは生息圏を拡げるためだと考えられている。
植物は、世代を繋ぐために木の実を動物に運ばせたり風の力を借りたり…
あの手この手の戦略を講じているけれど、
プルーナッツは進化の末、
「魔力を使って自ら動く」という手段を選んだ。
…なんでそんな無茶を選んだのかは、
知らないれど…
「…あ、危ないコトやってるね…」
「う?そかな?強い魔物と戦うより、全然安全だと思うけど…」
「そ、それもそうか…。ぼ、冒険者だもんね…」
「ん!」
プルーナッツは小ぶりの”おにぎり”くらいのサイズがある
栗に似た果実だ。ちなみに、イガはない。
木から落ちると『ぴょんぴょん』と跳ね回って木から離れ
適当な場所を見つけると地面に潜って発芽を待つ。
…”適当な場所”を見つけられなかった個体は
1日程度動き回ってから大地に還る…
そして、外敵を見つけると集団で『ぴょんっ!』と跳ねて襲いかかり
仲間が逃げ延びる時間稼ぎをする。
襲われたところで致命傷を受ける事はないが
痣ができる程度には痛い。そしてウザい。
「…そ、それで?木の実を落とした後は…」
「ミーは水魔法が得意だから。木のある窪みを水で満たしてナッツを溺れさせちゃうの!しばらく暴れるけど、そのうち動かなくなるんだよ!」
プルーナッツは『ぴょんぴょん』跳ねるだけで魔術を
行使するワケじゃない(※木の実が意思を持って跳ね回るコト
それ自体が【魔術】といえば、その通り)ので冷静に応戦すれば
脅威ではない。
たとえ襲われても精々が骨折と全身打撲程度で済み
命まで取られるコトは…追われて崖から落ちるとか…そんな不運が
重なった時だけだ。
「一網打尽じゃないか!?凄いな…」
「そうでしょ、そうでしょ!?」
弱火でじっくり。時間をかけて中まで火を通せば
香ばしくて食べ応えのあるオヤツになる。
生ではあまり保たないけれど、火を通して
殻を割らずにいれば半月くらいは日持ちする。
嵩張らないし、栄養価も高いので旅のお供に最適だ
ここルボワではオヤツとして、冒険者の携行食として
非常に人気が高く専門店まで存在する。
「それにしても、最低100個か…結構大変だね?」
「ぜんぜんそんなコトないよ!ミー1人でも、いつも300個くらい拾ってるもん!」
「そんなに!?」
「んふふー!」
説明が長くなっちゃったけど…プルーナッツ狩りが人気な理由
コレで分かってもらえたろうか?
プルーツリーは生命力豊かな植物で年中
実をつけるから依頼票は毎日出ている。
けれど、需要に対して供給過多だから朝イチ番に
ギルドへ駆け込まないと”うま実”にはありつけない
「おにーちゃん。風属性の魔法…突風魔法とか…宿してなーぃい?」
「や、宿してるよ!いちおう…」
「…いちお?」
「1番得意なのは火属性で。次が木属性で。その次だから…」
「…木の枝を揺らすのは難しい?私もユニゾンするよー?」
「そ、それなら…」
「んっ!」
ナッツハンターはみな、思い思いの方法でナッツを狩っている。
穴に落とす者、蔦で囲う者、火で炙る者…
どんな方法で狩ってもよいが、傷んだり焦げると
商品価値が下がって割引されたり、買取り拒否されてしまう。
向こうだって商売だ。ソレは仕方ない。
「「『林の願い 北の森を往く』」」
1つの傷も付けずに
出来るだけ沢山のプルーナッツを手に入れるのが
「「ブレス!!」」
効率的な。プロの仕事というヤツだ
『バラバラバラー!!』
…と。2人の突風魔法で揺さぶられ、
耐えきれなくなった木の実達は…
『バシャバシャバシャッ…』
…と。
「んふふふー!プールへようこそ木の実さん!」
予めミーリアの魔法で木の周りに張り巡らされた
水溜へ無抵抗のまま落ちていき…
「わ、わぁー…」
苦笑いの少年に見守られながら
重いナッツは重力に従って沈んでいき…
「んっふふー!たーいりょーぉたーいりょっ!」
アドリブのダンスで喜びを表現したミーリアは
「コレなぁ〜ら、さっ!」
『クルンッ!ストッ!』
と、華麗なステップで
「ちょっ…///」
ベルナールに詰め寄り
彼の胸板に頬を付け、彼のお腹に母親譲りの
”大きくて柔らかいナニガシ”を押し付け、押しつぶし
「もう1本くらい(のプルーツリーを)回れば目標達成だね!」
無邪気な笑顔で見上げ
唱えたのだった!
「…う?おにーちゃん。顔真っ赤だけど…どしたの?」
「なっ…なんでもないよ!!」
「…んふふふっ!かぁーいーのっ!」
「っ〜//////」
「さっきの仕返しだも〜ん…」




