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転生先は闇  作者: ぽんた
1/2

ここって?




「どうしてですか…?」涙が止まらない…



騎士団長のガルムは、令嬢であるローリエに跪いて、縋る。自分よりも小さく柔らかい手を両手にとる。



「私の何がいけなかったのです…。」



ローリエからの反応はない。



ああ…ローリエ様…いつから違ったのでしょうか…




ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー





「ええ?!」

ここはどこだろう…。広い絵画のような室内に、大きなベッドに私はいた。



車に轢かれたことまでは、覚えている…。私は社会人1年目の夏、車に轢かれ、死んでいた。


これが死後の世界だろうか?それにしては、現実味があるような…



コンコン…ドアを叩く音にびっくりして声が裏返る。


「はいいいい!?」


「入っても宜しいでしょうか、ローリエ様。」



「は、はい。」


すると、メイド服を着た女性が入ってきた。



「朝食の準備ができましたので、お呼びに伺ったのですが…お嬢様?」


(こ、これってもしかして…)

私は部屋の鏡を覗き込んだ。そこには、美しい白色の髪に可愛らしい顔の女性がいた。


(これが私?!)



パニックになっていると、メイド服を着た女性が近づいてきた。



「ローリエ様?」


「あ、あああああああの。私、、、、って…。」




あわあわしていると、開いていたドアに黒髪の背の高い男性が通りがかった。


「ローリエ様…?どうされたのです。」



「それが、ローリエ様の様子がおかしくて…。」

メイド服を着た女性が答える。



「あの…。」


「失礼致します。」

すると、黒髪の男性が近くにきて、おでこに手をあてる。


端正な顔立ちの男性に近づかれて、どきっとしてしまった。


「熱は無さそうですが、念のため朝食は部屋で食べるとよいかと。」




「あ、あの!あなたたちは、誰なんですか?ここは、どこなんです?」


私はやっと思ったことを言えた。

すると二人はびっくりした様子で、こちらを見る。



………………………。

今笑った?黒髪の男性が笑ったように見えたのは気のせいだろうか?



「まあ!なんてこと!お嬢様…もしかして記憶がないんですか?」



「記憶がないというか、なんというか…。」



メイドと、男性の二人は、ちらっと目配せし、ゆっくり話してくれた。



「お嬢様は、ローリエ様。伯爵家のご令嬢です。私はメイドのレイナです。そしてこちらは、騎士団長のガルム様です。伯爵様…お嬢様のお父様に雇われ、お嬢様の警護を担当されております。」



「えっ。」(騎士団長って、一般人の警護をするものなのだろうか…?)


私は不思議に思いながらも、そういう世界なのかな。と納得した。







「ローリエ様と二人にしてくれないか…。」

ぼそ…と騎士団長のガルムがつぶやいた。



「え?は、はい、、、、、。わかりました。」

メイドのレイナは、何か言いたげであったが、そっと目を逸らして頷く。



レイナは、さっと出ていきドアを閉めた。




「………………………………。」


「………………………………。」




少し二人は黙っていたが、ガルムが口を開く。






「ローリエ様、愛しています…。」


「へ?!?!?!?!?!」


「記憶がない中、こんなことを言うのは間違っているかもしれませんが…。私の気持ちです…。」


ガルムは跪き、ベッドに座るローリエの手を両手で包み込み、真剣な表情で言った。



「そ、そんなこと、、、、、、いきなり言われても困ります…!」



「そうですよね…。」

シュン…といった言葉が似合うくらい、叱られた犬のようにしょんぼりしていた。



(うっ…。そんな風にされると罪悪感が。)



「ローリエ様は、私のことを好いてくださっていました…。それも忘れてしまわれたのですか…?」


図体のでかい男が涙目でシュン…となっている様子を見ると、なぜか申し訳なくなってくる。




「ご、ごめんなさい…。あ、あの…私たちもしかして、、、、恋人同士だったんですか?」


この様子を見ていると、そうなのかな。と思い尋ねる。



ピクっと眉が動いたが、すぐ真面目な顔に戻り、「そうです。」とガルムは、言った。



(そうか、この人は恋人を失ったんだなあ…そう思うと、可哀想かも…。)




「あの、恋人には、なれませんが、これから仲良くしてくださると助かります。全然覚えていなくて、あはは…。」




「…………………。わかりました。これからローリエ様のことをお守り致します。」




ローリエは、あっさりと引き下がるガルムに違和感を感じつつも、ガルムが部屋を出るところを見送った。


「それでは、失礼致します。」



「は、はい。」














タッタッタッ…静寂の廊下にガルムの足音が響き渡る







「もう逃さない…。」


ぼそっとつぶやいた言葉は、誰にも聞かれていなかった…。

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