表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2番目の恋物語  作者: violet
46/50

ベネッセデア王家陥落

今まで、表立って母から言われたことはなかったが、そう思っていることは分かっていた。

物心ついた時には、公式行事以外で母親と顔を会せた記憶はない。


「ジェラルディンは!?」

母親として心配するのは、ジェラルディンだけ。

ディアランは表情も変えず、何も答えないず進み出れば、ベネッセデア王達は後ろにさがる。


「衛兵!!」

どんなに叫んでも、ディアラン達がこの部屋に入っている時点で警護兵は打倒されていて応える事はない。

「2万の兵だぞ!どういうことだ!」

ベネッセデア王は勝利を信じて疑ってなかった。

国境からの知らせは、数十人のアステゴッド軍が国境を突破した、とだったのだ。

2万のベネッセデア軍を配置して負けるはずがないのだ。


王を守るように部屋にいた貴族達が王の前に立ったが、レベックが走り寄り次々と打ち倒していく。

軍事立国ベネッセデアの貴族達が、抵抗する間もなく斬られたのだ。

王も戦争に立つ指揮官である、剣を手にしてディアランと対峙する。

だが、ベネッセデア王よりも先にディアランに剣先を突きつけたのは、母親のアステゴッド王妃だった。

「ジェラルディンを返して!」

ディアランは母親の剣を避けると、そのまま母親を斬り捨てた。


ドン。


真っ赤な血を流して、アステゴッド王妃が床に転がった。


「姉上の言う通りなのだな。

自分の母親を、なんの躊躇もなく斬るのだな。人の心はないのか?

人の国は人が治めるべきなのだ」

大国の王であるだけに、ベネッセデア王は覚悟ができている。

「アステゴッド王国は、長い期間戦争がなく軍のレベルは低い。どれほど強い王太子がいようと、1万の兵で制圧できるはずだった。

それが殲滅させられ、王都で待ち伏せた2万の兵も退けるとは思わなかった。

その兵を失くしたのは、侵攻を判断した私の責だ」

立派な王のような事を言っているが、王族の婚姻を通じた友好国に侵略をしようとした王なのだ。

アステゴッド王と王太子を弑した後に、ジェラルディンを傀儡(かいらい)の王にしようとしたに違いない。


ディアランが動いたの一瞬だけだった。それでベネッセデア王の首が床に転がった。

ベネッセデア王族である王とアステゴッド王妃、王を守ろうとした貴族の遺体が転がる部屋で、ディアランは部屋の中にいる人間を見渡した。

「まだ、するか?」

圧倒的な力を見せられた、残りの人間達はディアランにひれ伏した。


ベネッセデア王国はディアランに陥落した。

これから、生き残っている王族を探して処罰を決めるのだ。


これで、ヴィヴィアンヌを脅かす者はいなくなった、ディアランは安堵する。


「レベック」

ディアランはレベックを呼び、机にあった印を渡す。

「騎士は置いていく。担当の事務官をよこすから、それまで残務をしてくれ」

ディアランの直属部隊の隊長をしているが、レベックは王太子側近の事務官なのである。

書類仕事は慣れている。

「ベネッセデアには王太子がいるはずだ。ここにいないのは隠れているのか、別の理由があるのか。

探して処理してかまわない。

使えるかどうかは、判断を任す」

次に、とオーデンを見る。

「レベックを手伝ってくれ。ベネッセデアの残兵が反乱を起こすかもしれない」

それこそ、ディアランが必要だが、ディアランはここに留まるつもりはない。

一刻も早くヴィヴィアンヌに会いたいのだ。


「それから、ジェラルディンを葬ってやってくれ」

最後に兄上と呼んだジェラルディンを、王都の入り口に打ち捨てたままだ、とディアランは思ったのだ。


お読みくださり、ありがとうございました。

ヴィヴィアンヌ以外に興味のなかったディアランですが、最後に弟を気にかけました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 毎日、最初から読みかえすぐらいには楽しみでしょうがないです。 きっと本当は誰にも優しいディアランなのでしょうね。 ヴィヴィの事だけ愛でてるディアランも大好きです。 誰をも寄せ付けない程の強さ…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ