表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2番目の恋物語  作者: violet
39/50

残った者の戦い

ディアランはほとんどの兵士を王宮に残し、レベック、オーエン、直属の部隊と、補給部隊、近衛を率いて出陣した。

ベネッセデア王国軍が1万の兵で行進して来ているのに比べ、ディアランが率いるのは三百にも満たない人数だ。

近衛隊を連れて行ったのは、レベックから強い推薦があったからである。

ディアランの直属部隊も、元は近衛隊に所属していた騎士達である。近衛隊は貴族の子弟で構成され、忠誠心が強く、幼少の頃から剣技を訓練して騎士になり王族を守ることを任務とする騎士である。


ベネッセデア王国軍は、王都の近くまで進軍していた。

途中の町を征服したりはせずに通り過ぎ、王都に早く着くのを優先したようだ。


ディアランが先頭で駆けるアステゴッド王国軍は、すぐにベネッセデア王国軍と対峙することになる。



その頃、アステゴッドの王宮では、ヴィヴィアンヌが王に進言していた。

「志のある貴族令嬢を、兵士の介護に募集してください」

ケガをした兵士の為に王宮を解放して治療に当たっているが、医師も助手も足りない。

すでに侍女達は駆り出されているが、それでも足りないのだ。

包帯の巻き方など知らない令嬢ばかりであるが、王宮の復旧の仕事に関わっていない貴族令嬢は時間はあるのだ。


「お父様、私は医師の助手の方にお手伝いを教えてもらってきます」

王宮の惨状を見ると、安全な場所で恐がっているのは間違いと思うのだ。ヴィヴィアンヌにもできる事がある、と思えるのだ。

トラファルガー公爵が止めるも、ヴィヴィアンヌは部屋を出て行く。

「兵士達が命がけで守ったから、お父様たちは無傷でここにいるのです。

どうして、その兵士達の治療のお手伝いをするのを止めるのですか?」


ディアランが戻って来たら、よく頑張った、と褒めてもらいたい。


貴族令嬢ましてや公爵令嬢が、貴族だけでなく平民の兵士の治療を手伝うなど貴族としての矜持が許さないのだろう。

少し前のヴィヴィアンヌなら、同じように思ったかもしれない。

ディアランが人間ではないかもしれないと思ったら、貴族も平民も人間で大きな違いはないと気がついた。


「行ってまいりますわ」

ヴィヴィアンヌが部屋を出ようとすると、トラファルガー公爵が横に並んだ。

「娘が行くのに、私がじっとしているわけにいくまい。

現場で不足している物を供給する手配ぐらいできる」

トラファルガー公爵がそう言うと、数人の大臣が後に続いた。


「医師ではないが、薬の知識がある。役に立てるはずだ」

「こう見えて力は自信がある。ケガ人を運ぶのは任せてくれ」

「まずは、ケガをした兵士の治療が最優先だ。それから王宮の修理の会議をしても遅くあるまい」

有力貴族として大臣の地位にいる男性達が意気揚々と出て行くのを、王は無言で見送った。


ヴィヴィアンヌは、王は進言を聞いてくれないだろう、と思っていた。

王宮に敵軍が攻め入って来ているのに、警備を固めて部屋に逃げ込んでいた王だ。

大臣達は王を守る為に集まっていたのであろうが、その中の一人も手に剣を持って討って出る者はいなかった。


ケガをした兵士達は、王宮の豪華な部屋の床にシーツを敷き寝ていた。部屋いっぱいにケガ人が寝かされている。

血の臭いと熱気、(うめ)き声で部屋に熱がこもっている。

水の入った(たらい)とタオルが無造作に置かれているが、介護する人間の姿は見えない。


ヴィヴィアンヌは盥にタオルを浸して絞ると、熱が出ているケガ人の額に置いていく。

ディアランの看護をした事で、やり方は分かっている。

眼をそむけたくなるようなケガ人もいる。

もう3日も経つのに、傷口が開いたままの兵士もいる。


ヴィヴィアンヌについて来た大臣達も、現場の惨状に唖然(あぜん)とする。

ケガ人の数、死者の数、報告はあがっていたが、実情は数字では表せない。


大臣達も、できる事をやり始めた。

包帯、薬の調達、おかかえの医師を呼び寄せたりして、病室となっている部屋をまわる。


お読みくださり、ありがとうございました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ