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2番目の恋物語  作者: violet
34/50

二人の時間

ディアランはヴィヴィアンヌにもたれかかり、精気を吸収していた。

それは本能と言うべきものに近い。

ヴィヴィアンヌが(まと)う空気はディアランにとって浄化となり、新たなエネルギーを精製しやすくなっている。


「殿下、すごくカッコ良かったです」

きゃあ、と嬉しそうにヴィヴィアンヌは両手を頬に当てる。

「血の儀式、まるで神の儀式です!」


ヴィヴィアンヌに怖がられるかと思ったが、侵攻してきたベネッセデア王国軍を制圧する為に、レベックとオーデンの武力の格上げをする為だった。

8年前も同じことをして、レベックとオーデンはディアランの眷属となり、能力が跳ね上がった。

今回はディアランの力がさらに強力になっているので、レベックとオーエンにもさらなる力を与えられた。

「ヴィヴィは怖くなかったか?」


フルフルと首を横に振って、ヴィヴィアンヌは微笑んだ。

「レベック侯子とオーデンが、大軍のベネッセデア王国軍と対峙して勝利するには、ディアラン殿下のお力が必要だったのでしょう?

とても神秘的に見えました。

殿下が体力回復と私の為に、ここに残ってくださった気持ちは分かっています。恐いなんて思う訳ないわ」


「君は・・」

ディアランは躊躇したが、話を続ける。

「ジェラルディンといる時は、おとなしく従順な女性に見えていた」

それは夜会で初めて見た時と、印象が違うと感じていた。


ヴィヴィアンヌは少し首を(かたむ)けて、視線を()らす。

「ジェラルディン殿下がうるさい女性はお嫌いと言われたので」

今はどうして、あんなに一所懸命だったのか分からない。

「嘘をついていたのではないの、好かれたかったから」


ヴィヴィアンヌがジェラルディンの微笑みかけるたびに、胸を切り開かれるような痛みを覚えていた。

それが、だんだんヴィヴィアンヌの笑みは少なくなってきて、ジェラルディンとの距離が開いていることに安堵していた。

ディアランは、ヴィヴィアンヌとジェラルディンが婚約していた2年間を思い出していた。

いつも、ヴィヴィアンヌの一挙一動が気になって、見ている自分に気がついて欲しかった。

「わかっているよ、あれもヴィヴィだった。

でも、今は僕のものだ」

ここで、今、ヴィヴィアンヌを自分のものにしたいという欲が鎌首をあげる。

他の女性には、決して感じない思い。


「かっこいい!

うわぁ、女の子なら一度は言われたい言葉です!

ありがとうございます」

まるで他人事のように言うヴィヴィアンヌに、ディアランが吹き出した。

重たかった空気が、明るくなる。これがヴィヴィアンヌ、とディアランは再認識する。


「気に入ったようで、なによりだ」

ディアランは体力の回復に驚きながら、身体を起こす。

「僕は今のヴィヴィアンヌの方が、好きだな」

従順なヴィヴィアンヌは、ジェラルディンとの婚約時代を連想させるから。

今のヴィヴィアンヌが微笑みかけるのは、僕だから。

ああ、理由なんていらない、どんな君も好きさ。


ぽっ、と赤くなるヴィヴィアンヌを腕に閉じ込める。

「ねぇ、結婚しようか」

耳元で囁けば、ヴィヴィアンヌは意味を理解して身体がピクンと震えた。


「殿下、それは結婚式をあげてからです。

ともかく、お休みください。お身体の回復が最重要です。

疲れる事をしようとして、どうするんですか。

私はオーエンから頼まれましたから、しっかり監視させていただきます」

ぎゅっ、とヴィヴィアンヌはディアランの顔を押しやって離す。


そうだった、このヴィヴィアンヌの貞操観念が、ジェラルディンが手を出すのを遠ざけたのだった。

クックツ、ディアランは苦笑いする。

これは生殺しだ、これがジェラルディンが他の女に手を出した原因だな。


「ジェラルディン殿下の事は、もうこれぽっちも好きではありません。それどころか、暴力を振われて軽蔑してます。

ディアラン殿下の方が、ずっとずっとカッコいいです」

ヴィヴィアンヌなりに、好きと言われた返事のようだ。

「あの金色の瞳も鱗の肌も、嫌いではありません。

それどころか、助けに来てくれた姿は勇者のようでした」

途切れ途切れに、ヴィヴィアンヌが恥ずかしそうに告白する。


思わずディアランも赤面する。

自分でもこんな表情ができたのか、と驚く。


そんなディアランに、ヴィヴィアンヌが強請(ねだ)る。

「だから、私達の国を護ってくださいね」


まいった・・・

ディアランは片手で口元を覆った。


お読みくださり、ありがとうございました。

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