後始末
予約ミスで、日付設定が間違っていたようです。
毎日更新を目標にしていたのに、割れながら残念・・・
たいへん、申し訳ありませんでした。
こちらが思っていることは、あちらも思う。
ディアランがジェラルディンを殺したいほど嫌っていたのと同じように、ジェラルディンも思っていた。
そういうことだ。
ディアランは、ヴィヴィアンヌの婚約者であるジェラルディンを憎んでいた。
それまでは兄弟といえど、関心の対象でさえなかった存在だった。
では、なぜジェラルディンはヴィヴィアンヌを攫ったのか?
狂犬病の犬を街に放すなど、国の混乱を狙い、人民に不安をいだかせる為にしたとしか考えられない。
ディアランは、嫌な考えが頭に浮かび否定しようにも、否定できない。
・・ジェラルディンは、ヴィヴィアンヌを取り戻そうとしている。
ディアランやレベックは、ジェラルディンの名前が出たことに驚きはしなかったが、トラファルガー公爵は違った。
娘がジェラルディン王子から、王太子に乗り換えたかのような状態であるから余計だ。
だが、最大の問題は、一族の人間である甥が狂犬病の犬を街に放ったことである。
「殿下、一族の人間がしでかしたことに責任の大きさを感じています」
王都に犬を放ち混乱をもたらしたことは、ヴィヴィアンヌが誘拐されたことより大きな問題だ。
「公爵、まだ内密だということは分かっているはずだ。
この男はこちらで処分するぞ。
王太子妃を輩出するトラファルガー公爵家に瑕疵があってはならない。わかってくれるな?」
公爵に振り向いたディアランの瞳は元に戻っていた。
「御意」
公爵は血の臭いが充満している部屋で片膝をつき、ディアランに従する。
「我がトラファルガー公爵家は、娘のことがなくとも殿下と共にあります」
「レベック」
ディアランが名前を呼ぶだけで、レベックは全てを察した。
もう聞くことはないとばかりに、ザイールに猿轡をする。ザイールはすでに出血の多さとディアランの威嚇で命がつきかけている。
「殿下、私は一族の長として立ち合いを許していただけますか?」
トラファルガー公爵が頭を下げるのをディアランは頷いて許可し、手袋を外して机に置いて立ち上がった。
頭を下げている公爵が泣いているのを、ディアランは気がつかない振りをして部屋を出て行く。
軍司令部から速足でディアランが向かうのは、王の執務室ではない。寝室に寝かしているヴィヴィアンヌに会いに行くのだ。
それだけで、あれほどに苛立っていた気持ちが消えていく。
ヴィヴィアンヌと侍女に使用された薬剤がなんなのか、犯人達は知らされてなかった。
心配でしかたない。目が覚めているだろうか?後遺症はでないだろうか?
もしまだ目が覚めてなくとも、ディアランにはヴィヴィアンヌ限定で解毒する術がある。
ディアランにはどんな毒も効かない。ヴィヴィアンヌにディアランの体液を摂取させるのだ。
ヴィヴィアンヌを取り戻せてよかった。
一度手にしたヴィヴィアンヌを失くすことなど、耐えれるはずがない。
ヴィヴィアンヌの寝ている部屋では、公爵夫人が付き添っていたが、まだ目は覚めていなかった。
侍女のサリーは別の部屋で寝ており、まだ目覚めていないと連絡がきている。
ヴィヴィアンヌが薬で眠らされているのでなかったら、いつまでも寝かせてあげたいぐらい可愛い寝顔だ。
ディアランはベッドの横に立ち、眠るヴィヴィアンヌを見下ろしていた。
馬車から逃げ出して来た時は、まだ薬で朦朧としていたのだろう。緊張と恐怖から気を失ったのか、薬の効果なのかはわからない。
「公爵夫人、少しの間でいいので二人きりにしてもらえませんか?」
王太子とはいえ、ヴィヴィアンヌの母親には丁寧に接するディアランである。
公爵夫人は少し考えたようだが、侍女を連れて部屋を出て行った。
「以前も綺麗だったが、今はこのふくよかな頬が可愛いな」
ぷに、とヴィヴィアンヌの頬をつつくディアランである。ヴィヴィアンヌが起きていれば怒り狂うに違いない。
ディアランは、意識のないヴィヴィアンヌに唇を重ねる。
口づけは深く、ディアランの唾液を流していく。
読んでくださり、ありがとうございました。




