パーティーの三日前なのに
デボラ・ガンドルフィ公爵令嬢の誕生日パーティーの日まで、あと三日と迫っている。
とはいえ、わたしに出来ることは何もない。
着用しようと思っている着古した「お祖母様のドレス」や靴のメンテをし、見栄えをよくするくらい。
本来ならプレゼントを準備しないといけないけれど、急すぎるしなによりまとまったお金がない。ありがたいことに、エルマとバルナバが準備してくれるらしい。わたしも含め、三人で連名でしようと誘ってくれた。
お言葉に甘えることにした。
ありがたいことである。
自室のテラスで本を読んでいると、侍女のフィオレがやって来た。
執事長のジェラルドが会いたいという。
もちろん、すぐに部屋に入ってもらった。
「ナオ様、おくつろぎのところ申し訳ありません」
ジェラルドは、室内に入ると一礼した。
フィオレや彼や侍女長のアーダだけでなく、皇宮にいる人たちにはナオと呼んでほしいとお願いしている。
公爵令嬢なんて、もうわたしには関係がないから。
捨てられ捧げられた、ただの「役立たず聖女」ですもの。
「じつは、宰相閣下より伝言がございまして。三日後、ナオ様の歓迎の舞踏会をこの皇宮の大広間で開催されるとのことです」
「わたしの歓迎の舞踏会?なぜですか?」
なぜ?わたしなんかの為に、宰相が開催するわけ?」
「はあ……。主催者はジルド左将軍です。宰相閣下は、あくまでも進行役なのです」
「三日後って、たしかガンドルフィ公爵令嬢の誕生パーティーじゃ……」
宰相やジルド左将軍は、歓迎会にかこつけて誕生パーティーをしようとでも?
だとしたら、なんておおがかりな嫌がらせなの。
ジルド左竜将軍って、やりすぎか何かで皇都に更迭されたみたいなものよね。ということは、フランコやカストよりもはやく帰還するのね。
デボラとその父親である宰相と組んで、自分の威を知らしめようというのかしら。
デボラはわたしにたいして嫌がらせを、ジルドと宰相はフランコに嫌がらせを、それぞれ思惑を達成しようとでも?
それにしても、皇宮の大広間を許可もなく使ってもいいわけ?
やることが大胆すぎるわ。
「陛下の許可は得ていて、ぜひナオ様の歓迎会をとの仰せだったそうです」
ジェラルドは、眉をひそめつつ言った。
それが嘘であることを暗に伝えているのである。
「では、出来うるかぎりの特権階級の人たちが集まるわけですよね」
「三日後です。皇都やその周辺の領主くらいかと。それでも、少なくはありません」
「わたしの歓迎会で、フランコ様の承認があるのなら、断れるわけはないですね。わかりました」
「ボルディーガ侯爵夫妻にご相談なされてはいかがでしょうか」
「ご迷惑でしょうけど、そうします。力を貸していただけるか、お願いしてみます」
とんでもないことになったわ。
さっそくボルディーガ侯爵にアポイントを取ってもらうよう、ジェラルドにお願いをした。




