表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

24/41

ボルディーガ侯爵家

「まあっ、いらっしゃい」

「いらっしゃい」


 バルナバが迎えに来てくれ、ボルディーガ侯爵家へ向かった。


 ボルディーガ侯爵夫妻は、エントランスの外に迎えに出てくれた。


「子どもたちからきいて、心待ちにしていたのよ」

「まさかうちの子どもたちが、こんなにお淑やかで可愛らしいお嬢さんと友達になるとはね。というよりか、友達が出来るとは」

「お父様、ちょっと待ってよ。それはどういう意味?まぁたしかに友達はすくないけど、実の娘や息子をいったいなんだと思っているの。ねえ、お兄様?」

「そうだとも。友達が出来ないわけじゃない。友達に似合う奴がいないってだけのことさ」


 不貞腐れているエルマとバルナバが可愛いわ。


 たったこれだけのやり取りを見ただけで、侯爵一家がすごく仲が良くって素敵な家族だってことがわかる。


 エルマとバルナバは、ご両親のことを心から愛している。そして、ご両親は息子と娘を心から愛している。


 やっかんではダメよ。うらやましいって思わないようにしないと。


 と思いつつも、うらやましくてならない自分がいる。


「ロメオ・ボルディーガです。こちらは、妻のマルタ」

「ボルディーガ侯爵、侯爵夫人。はじめまして。ナオ・バトーニと申します。本日はお招きいただき、ありがとうございます」

「ナオ、わが家へようこそ。それから、バリオーニ帝国に来てくれてありがとう。ここでの生活を気に入ってくれているといいんだが」

「はい。とっても」


 侯爵に問われ、即座に答えていた。


 侯爵と視線が合って驚いてしまった。


 エルマにそっくり。


 五十代前半くらいかしら?スラッとしていて渋カッコいい。ちょっとだけブラウンの髪がすくない気がしないでもないけれど、それは年齢相応に違いないわね。


「それはよかったわ。子どもたちのせいでこの帝国を嫌いになってもらったら困るから」


 そして、侯爵夫人はバルナバにそっくり。


 メガネこそかけていないけれど、若々しくて美しい。


 なにより、すごくやさしそう。


 彼女がフランコやカストの乳母を務めていたのね。


「さっ、入って。夕食の準備は出来ているわ。だれかさんがお腹をすかせているから、暴れ出す前に食事にしましょう」

「はい。お邪魔します」

「だれかさんってだれのこと?ああ、エルマのことだね」

「お兄様、違うわよ。お父様でしょう?」

「わたしのことではないぞ、愛するエルマ。バルのことだろう」

「もうっ、お父様。お兄様もだけど、ナオの前で『愛する』をつけないでちょうだい。わたし、いい年をしているのよ」

「なにを言っているんだ、ハニー。おまえは、いつまで経ってもおれの愛する妹にかわりはない」

「『ハニー』もやめてちょうだい。そういうことは、恋人や婚約者や奥さんに言うことでしょう。それに、そういうことをわたしが八十のおばあさんになっても言うつもり?」

「もちろん。そうですよね、父上?」

「あー、さすがにその年齢では呼べないな」

「そうですよ。エルマが八十まで生きるとしたら、わたしたちは幾つになっているの?長生きをしすぎたら、世間様にご迷惑だわ」

「たしかにそうだな、ハニー。だけど、きみには長生きしてもらわないと」

「いやですわ、ロメオ。長生きするなら二人で一緒に、ですよ」

「あー、ごちそうさま」

「ほんとよね。いつまででも熱々なんだから」


 廊下を歩きつつ、侯爵一家は談笑している。


 ほんとうにいい家族ね。


 うちもわたし以外の三人は、こんな微笑ましい一家なんだけど。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ