35.歴史学者
次の日の朝、ケガ人の男が目を覚ましたというので、事情を聞きに行った。
「この度は、助けて頂き、ありがとうございます。わたしの名前は、ランケです。」
そう言ってから、事の顛末を話始めた。
ランケは、歴史学者であり、どうしても過去のことを詳しく知りたかったらしい。そこで彼は、今でいうタイムマシーンを作ろうと思い立ち、大きな借金をしたらしい。
結局、タイムマシーンも出来上がらず、借金返済のあてもないため、どこまでも追いかけられ、殺されかかったところをゴブ達に助けられたということだった。
俺はしばらく考えた後、
「今こそが時代の変わり目ということもある。将来、この時代こそが歴史の謎になるかも知れないとは思わないか?」
そう言って、また少し考えて、こう言った。
「もし、お前にその気があるなら借金は返済してやろう。俺のそばでこれから起きる出来事を記録する仕事を与えよう。」
今度はランケが考える番になったが、彼には他に選択肢があるはずもなく、
「その仕事、やらせてください。」
そう言って、深々と頭を下げた。
・・・・・・
それにしても記録に限らず文章とは不思議なとのである。
遠い世界の遠い過去に書かれた書物が現代も読めるだけでなく、さらにその内容を理解することが出来るというのだから、全人類の宝に違いなかった。
またそれとは関係ないかが、『書」ほど不思議なものもない。絵画な彫刻品に比べて、製作時間が圧倒的に短い。
そらなのに、同じ国宝にされてしまうのだから、絵画や彫刻品は不平等を感じているにちがいなかった。




