15.ゴブリンが仲間に
「ま、待て!」
俺は突然のことにびっくりして大声を出した。
「大丈夫だよぉ~」
ユーコは後ろに4匹のゴブリンを引き連れるようにして、呑気に返事をしながら、こちらに向かってきた。
「こいつがリーダーみたいだよ」
ユーコは俺が気絶させたやつを指さして、そう言った。
どうやら、ゴブリンにはもう敵意はないらしい。リーダーが俺に打ちのめされたことで、俺に従いたいと思っているらしい。
「こいつを試してみるか・・」
俺はこのときには既に『進化の実』がリュックから減っていないことに気づいていたので、ゴブリンに『進化の実』を食べさせようと考えた。
「俺の仲間になりたければ、この団子を食え」
俺はリュックから『進化の実』を取り出して、まずはゴブリンのリーダーに与えた。
・・・
「あれ?」
タロウのときには、煙のようなものが発生して、犬から人間に変身したが、今回は何も起こらなかった。
「やっぱりダメかぁ」
俺ががっかりした瞬間、
「ボス、ありがとう。オレ、がんばる」
ゴブリンが急にしゃべり出したのだ。
どうやら、元々人間の言葉で話ができたタロウには、人間に進化させる効果があったが、ゴブリンにはそこまでの効果はなく、人間の言葉が話せるようになるだけらしい。
それでも十分素晴らしい。
「ボス、ありがとう」
「ボス、ありがとう」
「ボス、ありがとう」
他の3匹にも『進化の実』を与えたところ、3匹とも話せるようになった。
「よし、これからよろしくな」
一気に仲間が増えて、いよいよ、ダンジョンに向かう準備が出来た。