13.ゴブリンとの遭遇
人間の行動力は限られているので、時には激流に身を任せたほうがよい場合もある。例え激流にもまれようとも、得られるものは大きい。
「おい、何かいるぞ!」
村の門の外には、ゴブリンらしき生き物が4匹いた。
「私に任せて」
ユーコが少し前に出て、棒切れで対峙していた。
「すまん、すり抜けられた!」
ゴブリンの動きは思ったよりも早く、ユーコは3匹の相手をするのが精いっぱいで、残りの1匹がすり抜けて俺のほうに向かってきてしまった。
「コンニャクアーマー!!」
火事場の馬鹿力ならぬ馬鹿頭というのか、必死だった俺は、とっさにそう口にしながら、リュックからコンニャクを出した。
ドドーン!
ゴブリンがぶつかって来た音と、俺が倒れる音が同時に聞こえた。
「リョータ! 大丈夫か!」
「あれ、なんともない。こっちは任せろ!」
いつの間にか俺の体にはコンニャクで出来たクッション性抜群の防具がついており、手にはコンニャクで出来たグローブがはめられていた。
「来い!」
俺はそういうとボクシングスタイルでゴブリンに向かっていった。
ゴブリンもパンチを繰り出すが、全くダメージがなかったため、俺は冷静にゴブリンのあごをめがけて思いっきりパンチを入れた。
「うっ・・・」
ゴブリンは短いうめき声を出して倒れた。
「やったな」
俺がようやくほっとしていると、いつの間にか3匹のゴブリンを棒切れで気絶させたヨーコが俺の肩をたたいてそう言った。
「ああ」
俺はそう答えて、まるでチャンピオンにでもなったかのように、両手を上げて見せた。
・・・・・
因みにこの世界では、人間とゴブリンは土地や食べ物で争うことはあるが、ゴブリンに襲われて人間が殺されることはなかった。
だから、人間のほうもあまり親しくはしていなかったが、ゴブリンを殺害することはなかった。
この当たりで止めてしまう人が多いようです。
このあとは色々展開していきますので、お付き合いお願いします。