どっきりニュース
学校から帰った俺、佐藤健治は、リビングの惨状に驚いた。
床には物が散らばり、窓ガラスは割られ、明らかに誰かが侵入した様子だったのだ。
「け、警察……あれ、母さんはどこだ!?」
家には母さんがいた筈。
しかし、家中どこにも母さんの姿は無い。
どういうことだ。
まさか母さんが、何らかの事件に巻き込まれ……
「と、とにかく警察だ」
声に出して、自分に言い聞かせる。
スマホを取り出して、数字をタップする。
くそ、指が震える。
「──はい、○○警察署です」
「もしもし、泥棒が!」
「はい、落ち着いて住所を教えてください」
落ち着いていられるか。
こんな事をしてる間にも、母さんは……
「いや、母さんがいないんです!」
「捜索願ですかー、それでは署の方に……」
「いや、だから泥棒が!」
「……イタズラですか?」
あー、もういい!
スマホを切った俺は、散らかったリビングを歩き回る。
と、見慣れない物が落ちていた。
「ドッキリ……大成功!?」
プラカードのような板に、色鮮やかに描かれた文字。
その瞬間、窓ガラスが割れ、父さんと母さんと妹が飛び込んできた。
「健治。サプライズよ、サプライズ」
なにがサプライズだよ。
こんなのただの大惨事だ。
が、サプライズというからには、何か理由があるに違いない。
「で、何のサプライズなんだよ?」
吐き捨てるように言う俺に、母さんは満面の笑みを浮かべる。
「大ニュースよ。お父さん、会社クビになったんですって!」
バッドニュースかよっ!