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雷霆使いの欠陥魔術師  作者: 樹齢二千年
第一章 開幕篇
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2話『行動開始とエンカウント』

「ここは――」


 ひんやりとした土が背中に触れる感覚が心地良く、瞼を貫通する太陽の光で目が覚める。

 起きたばかりの身体に鼻腔を通って最初に入って来たのは、澄み切った空気。

 ビルが乱立する都会で暮らしていたアウラにとって、このように綺麗な空気を吸うのは実に数年振りのことだった。


「……転移は、どうやら済んでるっぽいな」


 アウラは身体を起こし、キョロキョロと周囲を見渡す。

 視界に入るのは、深緑に染められた森。そこが、彼のスタート地点だった。

 まだ朝方なのか、鳥達の囀りが鳴り止まない。気候も安定しているようで、暑すぎず寒すぎずといったところ。

 一先ず、これが夢でない事を確認する為に、アウラは軽く頬をつねる。


「……いたい」


 と、表情を変えずに呟く。

 痛覚は問題無く機能している。つまりは紛れも無い現実だ。

 記憶も、至ってハッキリしている。

 アウラは境界(ホロス)と呼ばれる世界の境界でアイン――自称天使――と出会い、自分が赴く世界の説明を受けたこと。護身用という名目で、神話に語られる武具などという代物を預けられたことを、鮮明に覚えていた。


(使えば死ぬ、なんてデメリット付きだけど)


 心の中でそう零すと、今度は土色に満ちた地面に視線を向ける。

 探しているのは、もちろん――。


「そうだ、ヴァジュラは……っと。あったあった」 


 少し遠くの草の上に、白銀の両刃剣が落ちているのを見つける。

 中央に柄、その両端に刃が取り付けられた、一見すると槍にも近しいような一振り。

 戦神インドラの神器・ヴァジュラ。

 見る度に使い勝手の悪さを感じてしまうが、アウラはその不満を心のうちに留め、


「俺なんかが担い手で申し訳ないけど、有難く使わせてもらいます」


 一言断りを入れて、中心の柄の部分に手をかけてひょいと拾い上げた。

 その見た目からは何となく重そうな印象を持っていたが、不思議と振り回せない重さでも無かった。


(……意外と軽いんだな、どういう構造?)


 ダンベルを持ち上げるかのように、上下に揺らして重さを確かめる。

 金属の刃が両端に付いており、地面に突き立てれば先端が目線と等しくなるサイズにも関わらず、異常な程に軽く感じたのだ。

 同時にもう一つ気付いたことがあったらしく、アウラは己の身体に視線を落とす。


「あれ、この服……」


 服の生地を引っ張る。

 驚くことに、ヴァジュラを持つ手の袖はおろか、全身が未知の装いとなっていたのだ。

 上は、インナーの白を基調とした上着を纏っていた。対して、下はやや丈の長い灰色のズボン。おまけに、両の手には黒の指貫グローブが嵌められていた。

 どちらも動きを阻害せず、動きやすさを優先しているように感じられる。

 

(アインの計らいか? ずっとパーカーみたいな服着てたから、なんかコスプレしてるみたいな感覚だな……)


 手を開閉したり、その場で準備運動のように伸脚したりして、新たな服の着心地を確かめる。

 一段落したところで、改めてヴァジュラを見た刹那——畳みかけるように、服を遥か上回る衝撃が彼を襲った。


「んん……!?」


 思わず二度見していた。 

 原因は――白銀の刀身に反射した、自分の顔。


「……あれ、俺ってこんな……」


 刀身に映る己の姿を、まじまじと見つめる。

 十余年もの間付き合ってきた自分の顔を忘れることはまずない。

 確かに、基本的な部分はあまり大きな変化は起きていない。

 しかし、日本人特有の黒い瞳は美しい碧眼に。ずっと黒色だった髪はこともあろうか────、


「銀、髪……?」

 

 どういうわけか、黒から銀へと華麗なまでのジョブチェンジを果たしていた。

 一本だけ指で摘んで引っ張ってみるが、ウィッグなどでは無い。

 間違いなく、アウラ自身の地毛であった。


「調整って、もしかしてこういうことだったのか……?」


 銀髪から手を離し、納得したように呟いた。

 確かに怪しまれることは無いのだろうが、何故「銀髪なのだろうか」と疑問を抱いてしまうアウラであった。


「……とりあえず、ここからは一人だ。気を引き締めろ」


 頬を叩き、気持ちを切り替える。

 助けてくれる人間は誰一人としていない。

 この世界に住む誰かと出会い、知り合うまでは自分一人で生き抜かなければならないのだ。


「まずは、この森を抜けろってことだよな」


 果ての見えない森の奥を見据え、アウラは目下の理解する。

 生活や職業、人脈云々以前の問題が目の前に立ちはだかっている。

 彼の新たなスタートラインは、何処にあるかも知らぬ異界の森。

 一体どれだけの広さなのか、そもそもこの森が安全なのか、不安要素は山のようにあるが、それを知る術は彼には無い。


 かつて神々が実在した、幻想が現実である世界。

 この森に魔獣の一匹や二匹生息していても何ら可笑しくないのだ。


「思い立ったが吉日。まずは行動あるのみだ」


 鼓舞するようにそう意気込むと、アウラは金剛の刃を携えて歩き出す。

 何が潜むとも知らぬ、森の奥深くへと。




 ※※※※※※




「────」


 森を探索する中で、アウラの頭の中にはいくつかの疑問が浮かび上がっていた。

 第一に、仮にこの森を抜けられた所で近くに街があるのか、という点。

 次に。この世界の貨幣制度や職業。

 そして何より──言語に関しての問題が心配だった。


 多くのフィクションにおいて、基本的に日本人が異世界に転生ないし転移した場合でも、会話は日本語で成立している。しかし、実際がそうとは限らない。

 言葉の壁があるというだけでコミュニケーションは難航し、生活難易度は格段に跳ね上がるのだ。


「その辺も、アインが何とか調整してくれると願うしかないよなぁ……」


 生い茂る木々の間を突き進みながら、そう言葉を漏らした。

 アウラの体感でほんの数十分前、アインが異世界に送り出す上で「必要最低限の事はする」と約束していたのを思い出していた。

 「アウラ」という新たな名前も、第二の生を歩むという意味を持つと同時に、違和感を持たれないためだろう。


 太陽は未だ天高く上っている。時刻で言えば大体正午より前といったところ。

 今の所空腹感は無く、疲労も特に溜まっている訳では無いので、止まることなく突き進む。


「少なくとも三日以内にはこの森を抜けたいけど、本当に行けるか……?」


 アウラは顎に指を当て、首をかしげる。

 何よりの優先事項は「森からの脱出」と、「現地人との接触」だ。

 ゴブリンを筆頭とする魔物と遭遇する可能性がゼロではない以上、出来る限り早めの脱出が望ましい。


「こういうのって日が沈んだら可能な限り動かない方が良いのか……? 最悪、焚火でもして野宿するか……」


 歩きつつ、ぶつぶつと呟く。

 それは、夜行性の魔物に襲われる危険性を考慮してのことだ。

 護身用の武器こそあれど、武術等に関しては素人もいいところ。

 そもそも、アウラに武器を持った経験など一度も無いのだから。

 一匹程度なら対処できる可能性はゼロではないが、群れで襲い掛かられたら確実にゲームオーバーを迎える。


「しっかし、すごいな。ここ」


 顔を上げ、改めて大自然の神秘に感嘆する。

 少し周囲に目をやれば、見たことのない色彩の鳥や、木の枝を伝うリスのような小動物などが見受けられた。

 幻想的な雰囲気を放つその風景は、自分が異世界に来たことを実感させるには十分だった。


(……こんな序盤で死んだらアインに爆笑されそうだし、何が何でも無事に此処を抜けないと)


 一度深呼吸をして、言い聞かせるように言う。

 異世界生活開始十数分で魔物に襲われて死亡――そんな呆気ない結末だけは、絶対に避けなければならない。

 抱腹絶倒するアインの姿が、アウラには容易に想像できた。


――『っはははははははははは!! 流石にヤバ過ぎですって雨宮さん……! っふふふ……あんだけ感動的な別れをしといて出オチってレベルじゃないですよ……っっっ!!』


「……うん、やるな。アインならこれぐらい笑い転げるに違いない」

 

 俯き、憂鬱そうな表情を浮かべる。

 確実に五体満足で森を脱出し、諸々の問題を解決し、拠点と職を確保しなければならない――想像とはいえ、アインの爆笑具合はアウラに一層強くそう決意させた。


 気が付けば、行動を開始してから数時間が経過していた。

 既に相当な距離を歩き続けているが、依然、森から脱出できそうな気配は無い。


(さて……ちょっと幸先が悪いな。これ、本当に外に向かっているのか……?)


 そんな不安が、アウラの頭を過る。

 休み無く歩いているものの、一向に抜け出せるビジョンが見えない。

 寧ろ、歩けど歩けど逆に森の奥深くへと迷い込んでいる気すらした。

 周囲の風景が全く変わらないのも、その原因の一つだ。

 当初は異世界の小動物を見て多少は胸が躍っていたが、今となっては抜けられるのか否か、という心配がアウラの中で大きくなりつつある。


(もしかして、見切り発車したのって失敗だった……?)


 心の中で生じた不安が、段々と大きくなる。

 最初の地点からはもう随分と離れており、引き返すのは不可能。

 途中で通った、巨大な樹への道も分からなくなってしまっていた。


 過ぎたことを気にしながら、とぼとぼと歩みを進めるアウラ。

 その足取りは最初の方に比べて重くなっている。

 足に乳酸が溜まり、動かすのに若干の辛さを覚えるようになってきていたのだ。


 ――そろそろ休憩を挟みたい。


 切実にそう思うようになってきたアウラを待ち構えていたかのように、切り株がぽつん、と佇んでいた。


「ちょっと……休むか」


 蛍光灯の光に集まる蛾の如く、切り株へと歩み寄って腰を降ろした。

 

(あぁ~……しんどいな……)


 歩き続けて疲弊した身体。

 急な運動が響いたのが、膝裏に痛みが走っていることにようやく気が付いた。

 アウラの身体を慰めるように、微風が優しく頬を撫でる。

 さらに、自然音のみで構成された静寂が絶妙に合わさり、睡魔がアウラの意識を侵食し始めた。


(あ……これは不味いかも……)

 

 学生時代に誰もが一度は感じた、真夏のプール後に涼しい教室で授業を受けているときの感覚にも似ていた。

 瞼が異常に重くなっていき、意識が沼に沈むように落ちていく。


 うつらうつらと、着実に睡魔が意識を塗り潰す。

 少しでも気を抜けば即座に夢の世界にゴールインする。

 アウラはもちろん理解しているつもりだが――人間、甘い誘惑というものには勝てないもので。

 ほんの一瞬、瞼を閉じる。

 その動作に引っ張られるように、数秒、アウラの頭から思考そのものが消え去った。


 だが――その直後、アウラの意識は眠りの世界から切り離される。


「────ッ!」


 ビクりと、意識と共に彼の身体が起き上がる。 

 睡眠中に時折起こる、いわゆる「寝ピク」ではない。

 何故なら──外部からの干渉によって、睡魔に犯されつつあった意識が引っ張り上げられたのだから。


 心臓の鼓動が、急激に加速していく。


(……この近くにいるな)


 アウラにそう確信させたのは、ガサガサという音だ。

 風は吹いてこそいるが、音を立てる程のものでは無い。例えるならば、足が草木に当たった時に発生する音が最も近い。

 同時に、アウラはそれらを遥かに凌駕する「違和感」を感じていた。


(……見られてる……?)


 それは、自分を見据える、何者かからの視線であった。

 音が聞こえた距離的にも、そう遠くは無い。アウラの視野の範囲内だった。

 静かに切り株から立ち上がり、ヴァジュラの柄を強く握り締める。


 異音のした方向へと視線を移し、その奥の方をじっと見つめる――そして、()()()()()


「……っ」


 眠気はとうに消え失せ、心臓を握り潰さんばかりの緊張が身体を支配していた。

 アウラを見つめる、真っ赤に光る瞳。

 ソレは、自ら林の奥から姿を現したのだ。


「……あれは……」


 詰まったように、アウラは言葉を漏らした。

 シルエットだけで言えば、それは限りなく狼に近い。

 しかし、それをただの狼であると断言するというのは憚られる。


 血走ったような眼と、漆黒の毛皮に覆われた巨大な体躯。

 通常の狼とは桁が違う、通常の生物の規格から外れたモノ。

 ソレが一体何であるかを、アウラは即座に認識した。


 ――魔獣。


 ことこの状況において、眼前の獣を最も適格に形容する言葉。

 魔獣は一歩も動かず、その場からずっとこちらを監視している。


(何もしてこないのか……?)


 視線を向けてこそいるが、特に襲ってくるような様子は無い。

 少し警戒心を緩め、アウラが武器を降ろそうとした――その刹那。


「──ウォォォォォォォォォォォォォン!」


 その魔獣は、天高く咆哮する。

 何の為の咆哮だったのか。アウラはすぐにその意味を理解させられる。


「……まさか」


 アウラが気付いた頃には、もう手遅れだった。

 その音は残響と化し、森中を駆け巡る。

 数秒後、獣の雄叫びに呼応するかのように、同じ体躯を持つ巨獣が獣の背後に姿を現した。


(マズい────!)


 瞬間、全てを察した。

 自分を見ていた個体は、ただ獲物を発見しただけ。手を出さずにいたのは品定めでもしていたのだろう。

 狩りの確実化を図る為に、実行するのはあくまで群れで行うという事。

 総数にして6。

 汗が顎から零れ落ちる──その時。


「────ッ!」


 武器を降ろし、アウラは力強く地を蹴った。

 生き延びる為に何をすべきかは考えるまでも無い。

 一匹であれば戦うことも選択肢の一つとしてはあるが、群れ相手となればバッドエンドは免れない。

 少しでも、生存の可能性がある方に賭けたのだ。


 狼たちも、折角見つけた獲物を逃がすまいと行動を開始する。


 森の中を疾駆する少年と簒奪者。

 命を賭した鬼ごっこの火蓋が、切られたのだ。





※※※※





 アウラは無心で足を駆動させる。

 狼たちはアウラの真後ろに4体、斜め後方に左右1体ずつ位置取っている。

 足を止めれば、その時点で詰みが確定する。そうなれば獣達の餌食となり腹の中だ。

 

 戦うという選択は、勇気では無く無謀。

 追跡するのは、己を遥かに凌駕する体躯の魔獣の群れ。

 怪物相手大立ち回りできる程の力など、当然アウラは持ち合わせていない。

 仮に交戦を選んだとしても、一体を相手している内に他の個体に襲い掛かられて即チェックメイトである。


「はぁ……っ!はぁ……!」


 ただ逃げる。それだけを考える。

 アウラ中にある感情は恐怖と焦燥の二つのみ。

 だが、少しでも距離を離し、この場を巻くことさえ出来れば彼の勝利だ。


(こんなところで死んだら後悔しか残らない……絶対に逃げ切れ……!!)


 走りながら、アウラは強く言い聞かせる。

 時折現れる倒木や岩といった障害物の事にいち早く反応し、さながらパルクールのようにそれらを乗り越えていく。

 この状況において、スピードを落とすことは許されない。

 そんな中で、アウラはまたしても違和感を感じていた。


(疲れが、そこまで無い……?)


 多少息は上がっているが、未だ最高速を維持している。

 その上、身体の動きや五感がいつにも増して冴え渡っている。

 持久走に自信がある方ではなかったが、これはアウラにとっては嬉しい誤算だった。 


(なんでか分かんないけど、これなら────!)


 より一層力強く地面を蹴り、少しでも彼らを引き離す。


(逃げ切れるか……!?)


 後を追う魔獣達も、先程より多少ペースは落ちて来ている。

 このまま突き放す事が出来れば巻く事が出来る。

 勝利条件は戦って勝つという事では無く、この状況を切り抜けて生き延びる事だ。


 しかし、悲しいかな。

 アウラの内に湧いた微かな希望を打ち砕くかのように、漆黒の体躯がアウラの視界に映り込んだ。


「────っ」


 ピタリと足が止まり、唇を噛み締める。

 何処から現れたのか。前方には更に3頭の怪物。

 驚くことに、自分を追う獣達は、左右と後方の獣だけではなかったのだ。


 完全に包囲された。


 自分が逃げていたのではなく、追い込み漁のように誘導されていた。

 何もかもが手遅れ。

 獲物と化したアウラに退路など無い。

 怪物たちは、ゆっくりとその距離を縮めていく。

 獣達からすれば、アウラ一人を殺す事など容易である。


(詰んだか……これ)


 アウラの表情から、つい数分前まであった僅かな余裕が消え失せる。

 どう考えてもこの状況を切り抜ける手段は無く、四面楚歌という言葉をこの上なく体現していた。


 異世界に来てからものの数時間で命の危機に晒されている。

 戦ったとしても、勝てる見込みなど無い。

 数でも、力でも、獣たちが圧倒的に上回っている。


 目を付けられた時点で、この結末は決まっていたのかもしれない──それでも、彼は、ヴァジュラを握り締めた。


 諦めなど無い。

 後悔しないと心に決めたのなら、最後まで足掻いてみせようと。


(……やるしかないか)


 武器を構え、前方の個体を見据える。

 覚悟を決めて、


「────っ!」


 ヴァジュラを携え、獣へと向かっていく。

 対する獣も、その強靭な四肢でアウラの命を絶つべく、飛ぶ様に襲い掛かった。

 その跳躍は数メートルあったアウラとの距離を一瞬で詰める。

 狙うは喉元。そこに食らいつきさえすれば、息の根を止めたも同然。


 弱いモノが強いモノに食われるのは、大自然が定めた道理。

 決意も虚しく、異世界での生は早々に幕を閉じる。


 ──そう、思われた。


 確かに魔獣はアウラの方へと跳躍したが、その牙が彼に届くことは叶わなかった。

 何故なら。 


 ()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()


「────」


 あまりにも急な状況転換で、頭の中は極めて混濁していた。


「……間一髪、ね」


 突如として発せられた、余裕のある声。

 地に伏した魔獣と、その傍らに立つ紫髪の少女。

 既に息絶えたその体躯には、首の付け根から胸を貫くように、一本の剣が真っ直ぐに突き刺さっていた。


 一撃。

 己より巨大な躯体を持つ怪物を、その少女は一瞬で絶命せしめた。


 彼女は魔獣の亡骸から剣を引き抜き、薙ぐようにしてこびりついた血を払う。

 ビシャリ、と、黒々とした血が地面に撒き散らされる。

 仲間が瞬く間に仕留められた光景を目の当たりにしたのか、魔獣達のターゲットはアウラからその少女に切り替わっていた。


「戦えるなら加勢しても構わないけど、足だけは引っ張らないでね」


 少女の視線は、獣達にのみ向けられていた。 

 それはアウラに対しての言葉だったが、それは獣たちに対する宣戦布告と同義。


 ──今からお前たちを狩る。


 と。

ヒロインの登場です。イメージは『魔法使いの夜』の蒼崎青子ですかね。

ここまで読んで頂きありがとうございます。


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