学園転移
ようやく更新です。
「同行?」
「そうじゃ。嬉しかろ?周りのもんには見えんがの」
そう言って、二人はそれぞれについた。
神々なのだが、背後霊みたいに憑いたような感じだ。麗漓には天照大神、要には木花咲耶姫だ。
何かあってもフォローはしてくれるだろう。なんせ神様だから。
「それでは、行くぞよ」
二人の神は同時にパンと手を合わせた。
突然、地震みたいに揺れ出した。麗漓と要は、地震じゃ動じない。座って治まるの待った。
2、3分くらい、揺れが続いたがようやく治まった。
真っ白だった部屋が、いつもの学園の部屋の中に戻っている。学園の外の景色は大分変わっていた。麗漓と要は部屋を出て、屋上へと向かう。
屋上へ出ると、一際目立つ桜の大樹がある。聖桜学園のシンボルであり、学園都市聖桜市のシンボルでもある。街の人たち、学園生徒からは《世界樹》と呼ばれている。
この桜の巨木《世界樹》は御神木であり、世界で一番高く、樹齢もわからないくらいだ。本当の名前はあるが《世界樹》というのが言いやすいようだ。
真後ろを見回すと、いつもの聖桜市の景色ではない。学園の周りには深い森に囲まれている。森の向こうは草原や街道がある。さらに向こうはやたらと大きい城と城下町が見える。
「こんな結果になったか。建物と敷地まるごと、とはの」
「まあ、そうね。転移しちゃったもんは仕方ないしね。世界樹があるのは、ありがたいしね」
「そうですね。皆守や円も誘えますね。行き来は出来ますし」
皆守と円は麗漓の教え子達で、要の親戚夫婦だ。
そうだ、どうやったら行き来出来るのか、聞かないと。
「咲耶姫さま、どうやったら行き来出来ます?」
「要さん、咲耶と呼んで下さいね。あと敬語も尊敬語も謙譲語も入りません」
咲耶姫はきっぱりと要に言った。今後、一緒に生活するんだ、要は「了解」と言って頷いた。麗漓みたいに何も言わずにタメ口はどうかと思うが。
「要も言ってたけど、どうやったら行き来出来るのよ、天照」
「焦るでない。繋げたのは学舎の裏門じゃ。とりあえず、出てみるとええ」
麗漓と要は軽くため息を吐く。
学園の敷地ごと転移したのだ、もちろん不安は隠せない。恐る恐る学園の裏門に到着する。
まあ、麗漓は恐る恐るとか無縁だろうし、大丈夫とは思う。
「さあ、抜けてみよ」




