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深海で待ち合わせ

黒くて深い


光は届かない


真っ暗な部屋のすみ


月の光も今日はよい夢を


闇に抱かれて伽をする


そよぐカーテンは純白のヴェール


くしゃくしゃになったシーツは


ぴったりに作られた真白で未熟な衣装


二人きり


ここに神はいない


祈りは上に上に向かって消えるの


誰からも祝福されないまま


誰からも認められないのなら


このまま背徳の海に沈ませて


誰かを好きになること


誰かを愛すること


誰かと想い合うこと


そのすべてが尊いものだと


そうママには教わったのに


私もそうしたのに


でもそれは間違ってるらしくて


薬指に巻き付いた銀の鎖は


ほどいてはいけないらしい



いいこにするから


約束は守るから


だから


また


月が見ていない夜に逢ってくれますか



例えばわたしがもうすこしだけ早く


あなたに出会っていたとしたら


あなたはわたしのモノになってくれたかな


その目も耳も心臓も


わたしだけの宝物になったかな


わたしはあなたの深海魚


あなたがくれる素敵なプレゼントも


錆びだらけガレオンの中に隠してる


でも暗すぎて目が見えないから


輝いている宝石にも意味を感じられない


一人では重たすぎる感情に胸を焼かれて


与えられた生にすがり付いて


今日も命が落ちていく


どんな宝石よりも


あなたの心が欲しかった


どんな生よりも


あなたの名前が欲しかった


わたしはあなただけの深海魚


行きたい未来に生きられない


もし望んでしまったら


もし愛されてしまったら


ひれは千切れて


肺もつぶれて


泡になって消えるのでしょう


わたしはあなただけの深海魚


水の冷たさと


生きているっていう主張を憶えてる


重力で動くこともできない


痛いのも辛いのも嫌いなんだ


このままでいい


陽の光なんて要らない


このまま黒い水面の下で


今日も待ってるから



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