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どうもしない休日のことでした

またあなたに会えたなら。


陽が沈む二分前に目を覚ます


眠たい目こすって 「起きたくないや」


外がうるさいんだ 雨の音


『落雷を伴う大雨にご注意ください』


画面のなか顔と声つくった人の形思い出す


雷は嫌いだなぁ


頭ごなしに怒られてるみたいで


雨は嫌いだなぁ


僕のからだの中に住み着くみたいで


外には行きたくないなぁ


傘も壊れていたりするし



何もすることないんだ


腹は減らない


掃除の気分じゃない


布団のなかで頭にカビを生やしていたい


「だらしないよ」


「ちゃんとしてよ」


あなたに怒られるかも


もうベルの鳴らない携帯電話


あなたからの返信を待ってる


来ないとわかってる


来てくれたら少しだけ動きたくなるかも


会いになんて来てくれたら部屋の掃除を急いでするよ


なにもしないまま今日が終わってく


惰性を貪り無気力のまま


明日になればきっととか


変な期待を抱いている


雨はやむ気配はない


雷はさっきからうるさい


あぁもう黙れよ


だから外には行きたくない


打たれて死ぬくらいなら


ここでこのまま眠ったまま


あなたの夢を見ながら


そっと消えてなくなりたいや



部屋に染み込んだ土の香りが僕の脳をくすぐる


置いてけぼりのサンセベリアがいるからかな


母親の名前をずっと呼んでいる


ほら早く帰ってきてあげて


毛布を握りしめてあなたの名前を呼んでみる


あなたの体温を求めてる


『ーーーーーー』


どこかで今日も人が死んだみたい


マグカップ 箸


歯ブラシ 二つずつ


ひとつだけに珈琲を注ぐ


ひとつだけで物を食べる


ひとつだけで歯を磨いて


ふと窓の外を見る


まだ雨だけが降っている




あなたの影が濡れた窓ガラスの向こうに見えた


ような


気がした



あなたは僕の薬指に止まった小さなてんとう虫で


口紅よりも


垂れた血よりも真っ赤な背中


迎えにいってあげようかなとか


考えたけど


それより先にこの手は傘を掴んでいた



あなたは道の真ん中で


傘もささないでたっていた


何してるんだよって怒ったら


少し悲しそうな顔をした


「ごめんね一緒にいられなくって


たくさん約束も破っちゃった


でもどうかこれだけもうひとつ約束してください


他の誰でもない君のためだけに


晴天の下を歩いてください」



転んだ植木鉢 水死傘


裸の自転車 水溜まりに落ちた子供の顔


上に広がる青い青い空


雨は嫌いだなぁ


雷は嫌いだなぁ


でもそれよりも


あなたと一緒に歩けない晴れの日は嫌だなぁ


どこにもあなたの影はいない


言いたいことばっかり言って


僕には何にも言わせない気か


そうだあなたは勝手なんだ


勝手に太陽を求めて翔んでいってしまう赤い虫


火傷するくせに痛いくせに


火傷したくせに痛かったくせに


もし僕があなたの終点なら


太陽よりも低い温度でおかえりなさいと抱きしめてあげるのに


ねぇまた秋と冬と春が過ぎ去って夏の終わり


あなたは僕のところに帰ってきてくれますか



しわだらけのシャツで髪を拭いて


一角だけまとめた部屋の隅で


灰と白檀の香りをまとわせて


250円の弁当食べて


午前八時部屋の明かりを消すよ?


「おやすみなさい よい夢を」


またあなたに逢えたなら。

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