なりさがる
それは私を腐らせるものでしかない
飼い慣らされて 飼い慣らして
首の傷痕を隠すように首輪をつけたの
見られてる 見ている 見られてる
あなたを 私を 君を そこのひとを
その黒目には何も映っていない
誰も本当のなにかを見ることはできない
それでどーやって信号を渡ればいいの?
赤と青の区別もつかないのに
黄色で本当に止まっていいの?
轢かれちゃわないか心配だわ
点滅して そーやって またどこかで
大きな音でも鳴るんでしょ
それを知らないで 今日も息をする
今日も祈りを捧げる
誰のためかは分からない
ただの自己満足でしかない
首輪をつけたあなたのためですか
それとも首を締めた貴方のためですか
もしかして死んだ目をしているあの子のためですか
そうしているうちに信号は赤に変わる
首輪だけがそこに転がってた
誰も何も見ていない
わらう なく またわらう
そうして壊れてく
機械仕掛けでも歯車仕掛けでもなく
おなかがすいたら
ねんねしたら
このしんぞうが どくんとしたら
また少し死へ近づくのだろう
否 近づくのだ
遠ざかることはない
『飼い主はどこかへいきました
私のためにくれた首輪も 美味しいと思った
お菓子も 全部おいてどっか行きました
帰ってくるかわかりません
生きているのかもわかりません』
祈りを捧げて 笑って泣いて
自分の首を締めて
そうして生きていく その人のことを
誰も知りません
私も その人のことを知りません