BEGINNING
もしあの時
お前と共に滅べたなら
さぞ会心の笑みを
浮かべることが
出来ただろう
天の何かから
確かに幸福と呼べるものを
おあずけにされてから
幾年経った事だろう
それさえも
知らぬふりをして
本当はどれくらい経ったのか
一分一秒過たず
心の中で数えてばかり
忘れてなどいないと
以前言葉にしてから
俺が言うことなど
いつも同じだ
お前を
忘れた瞬間などなかった
失ったものは
ポッカリと空いた穴とも形容し難い
一生の中で消化できるかできないか
分からないほどの勝負の深淵
もしこれを闇と形容するなら
寄り添い
添いあう深い闇だ
その姿は
朽ちることを知らぬ屍の
傍で眠り続ける事に
似ているかもしれない
それが精神の中の出来事なら
やめるつもりはない
誰にも止められない
自由はその手にも飼われると同時に
この腕の中でも
寝息をたてているものだから
未だ彷徨うこの身体は
一度でいい
お前のために
戦いたがっているから
たった一つの涙でもいい
拭うまでその背を
追い続けていく
許されたがる弱さを
そうやってまた
笑顔で許そうとするんだろ
優しいって分かっているから
もう少し踏ん張ってみるさ
そこにくらい
甘えながらでもいいはず
泣き続けているのに
流れない涙
流さない涙
一番知っているから
強いねという賛嘆は
今となってはいらないものだろ
今はただ
傷を知り頷きあえるから
頷き会えたから
それだけでいい
たぶん
それだけが
欲しいものだった