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プロローグ『何も無い街』

初投稿作品です。至る所に至らぬところがあるとは思いますが、是非一度お目通しを!!

男は逃げていた。何も無い街を。

本当に何も無い街ではない。街並みは見慣れた東京都心のビル群で、いつものように偉そうにどのビルもこちらを見下ろして突っ立っている。

しかし決定的に足りないものがある。それは人気だ。人っ子一人いないどころかカラスの鳴き声もしない。虫も飛んでいない。とにかく生き物の気配が全くない。

普段の東京都心ならそれは異常だ。しかしここは東京であって東京ではない。ましてや日本であって日本でもない。地球でもあって地球ですらない。そんな場所なのだ。

彼はここに来るようになってから数ヶ月たっているので、この感覚には慣れた気でいたのだがそうでもなかったようだ。彼は今自分が置かれている状況、環境に酷く怯えている。恐らく追われているということも大きい要因だが、それだけではないだろう。何故かそんな気がする。

そして、ついに逃避行も終わりを告げる。うまく撒くために裏路地に入ったのが裏目に出て行き止まりにあたってしまった。

「…くそっ、ここまでか……」

すると背後で余裕に満ちた足音がした。

「そう、ここまでだぜ酒田ァ。おれァ寂しいよォ、お前とこんな風に別れるときが来るなんてさ。最後になんか言ったらどゥだ?」

畳み掛けるように話しかけて来たのは、酒田と呼ばれた男を追ってきた者だ。酒田よりもはるかに図体はでかく、目付きの悪い顔をしている。特攻服でも着せたらよく似合いそうだな、と酒田が常々思っていたものだ。

「僕はもうたくさんなんだ!君たちと一緒にいるのも、もう考えただけで恐ろしい!だから逃げたんだよ!!」

「そりゃご苦労な理由だなァ。ま、もうお終いにするしか解決方法は無いわけだけど。」 男の手には自動拳銃が握られている。「さっさと終らせて帰りてェんだよこっちは。はやくライセンスを出して殺されてくれよォ」

「それは出来ない相談だ。あれはもう、僕の手にはない。来る途中で捨ててきたさ。」

「ハッ!ハハハハッ!!捨てた!?そんぐらいでおれたちが見つけられねェとでも思ってんのかよォ!笑わせてくれるぜ!」 男は大声を上げて笑った。

「じゃあもういいよ。せめて安らかに死んでくれ。」


乾いた銃声がパパパンッ!と三度鳴り渡り、何も無い街に反響する。

酒田は撃たれた瞬間、本当の意味で、死を覚悟した。様々な人の顔が瞬時に浮かんでくる。これが走馬灯というやつか。本当にあったんだな…とそんなくだらないことを考えながら、彼の意識は遠のいていった。



ドサッ

彼の身体は力なく倒れていった。


「ククククク…ハハッハハハハハッ!!!たまんねェぜえ!この感覚ゥ!!フフフフ………」 たった今殺人を犯した男は、猟奇的な笑みを浮かべ身をよじって笑っている。

「あ、あーまずは連絡しねェとな。」 ひとしきり笑ったあと、男はそう呟くと携帯電話を取り出し、

「…ボスか?片付けたぜ。…あァ、ライセンスは回収してから帰る。」

男は電話を切ると、死体を物色し始めた。



少し離れた位置に転がっていたペンとメモ用紙が、まるで電球の明かりが消えるかの如く消滅していたことには気づかずに………

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