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異世界召喚で必ず勇者になるとは限らない。  作者: 神閊 リン
第一章『出会い』
3/4

第2話 『動き始める物語』

俺が牢屋から解放されてから数分は歩いただろうか。

薄暗い牢屋たちを見ながら俺はネーグルに問いかけた。



「なぁ、さっきから歩いてるがまだ外に出ないのか?」

「あぁ、そこの階段を上った先の木製の扉を開ければ外だ。」

「いよっしゃぁ!!やっと外に出られるぜ!!」



勢いよく階段を駆け上がり扉を開けた俺が目にした光景は今まで生きてきた中で

一番といっていいほど美しい景色だった。

レンガ造りの綺麗な街並み、活気溢れる民衆の声、空は澄み渡り、川は透き通っていた。



いやまぁ、このセリフ達は数時間前に召喚された時と同じなんだけどさ。

今回は違った。さっきは街中だったがここは高い丘に位置する場所。

言うなれば街全体を見渡せる絶景スポット!!



「てか、俺セリフのボキャブラリ少なすぎんだろ・・・」

「ハヤセ君? 君の頭の悪さについてはどうでもいいんだけど」

「さっさと進めよ、坊主」



おっと、そうだった。

俺は周囲を見回しながら足を動かす。



「しっかし本当にこの街って綺麗だな」

「あはは、この国の騎士団に属する者としては何だか嬉しく感じるね」

「んでさ、どこから街に降りんの?俺はやくこの街観光したいんだけど」



二人は素っ頓狂のような顔をしながらいった。



「坊主、お前はまだ街中には降りれんぞ」

「いやぁ、すっかり忘れてたんだけどさ。君に会いたいって人がいてね」



会いたい人・・・?これってもしかしなくても召喚者様じゃ・・・って俺勇者じゃないんだろ?

てことは、召喚者じゃない誰か。ってこともあり得るよな。



「因みにだがその会いたいって人はどんな奴なのよ?」

「あぁ、うーんとね。まぁ変わった人・・・かな、うん。」

「その感じだと結構アレな感じじゃないか。会いたくないんだけど。」

「安心しろ坊主。」

「ネーグル・・・お前って案外優し・・・」

「ーーお前に拒否権は無い。」



無いのかよ・・・いやまぁ、ね?結構アレな人らしいから隣りにいてやる

とか言ってくれるのかなーとか思ったんだけどさ

これかよ、しかもキッパリと言ってくれやがってからに。

ネーグルって思ったよりいい奴なのかなとか思った俺の感情返してくれないですかね?



「まぁ、いいわ。んでその会いたい人ってどこにいんのよ?」

「まぁ、ついて来てくれたまえ」



俺は二人に案内され内装の整った室内に通された。

とか言ってもまだ廊下なんだけどさ。驚いた、いや何に驚いたって廊下の内装が

驚くほど豪華で美しくどれも高価そうな物だらけであった。

近くに飾られてあった壺に興味がでてきて、近寄って見ようとしたところにヴェルクが


「その壺割らないようにね?それ1つ240万セルクくらいだから」

「オーケー、聞いたことない通貨だが割ったらヤバいってのは伝わったわ。」



などと話しながら歩いていた俺たちはようやく目的地についた。

視界にはダークブラウンを基調として複数の装飾品がついた木製の扉だった。

ヴェルクは先程までの軽い雰囲気ではなく、騎士のような面立ちで扉に告げた。



「ローウェン様、彼をお連れしました。」

「あぁ、入ってくれたまえ。」



硬い口調の声が中から聞こえると俺は部屋の中に通された。

部屋に入ると、青い髪の毛の男性が椅子に腰かけていた。



「こちらに居る御方はローヴェルト王国の郊外に屋敷を持つルーウェン様だ。」

「ローウェン・フォン・ルーベルだよ。以後よろしく。えーっと。」

「早瀬 靖っていいます。」

「う~ん、聞いてた通りの変わった名前だ。ところでハヤセ君。君はこの国の事をどこまで知っているのかな?」



ローウェンさんだったか?実際何にも知らないんだが真剣な顔つきだし

何かしらは答えた方がいいよな。なんかあったっけかな・・・いや、あるわ、あったわ。



「俺が知ってる事といえば、この街が綺麗で美しいって事くらいですね。ハイ。」

「本当に知っているのはそれだけかい?」

「はい、それだけです。」



そう答えると、ローウェンは問いただすのかと思いきや酒飲んでテンション上がったサラリーマンのような雰囲気で話しかけてきた。



「いやぁ、気に入った、気に入ったよハヤセ君!!いやぁ、君は本当に面白い!!名前といい王国の事も何も知らないだなんて!!いやぁ、最高だよ。」

「は、はぁ・・・てか、テンション高くね?ローウェ・・・ベルっち。」

「おやおや、やっと砕けた話し言葉になってくれたね。うんうん私もそちらの方が喋りやすくて

助かるってものよ。」



なんなんだろうか、この人は。落ち着いた雰囲気かと思えばテンションは高くなるし。

てか、これ思ってるの俺だけじゃないよな。アンタら二人も絶対思ってるよな?

現に顔が苦笑いになってるし。てか見てないで助けろよ!!



「さぁ、ヴェルク君、ネーグル君!!馬車の準備をしてくれたまえ。」

「承知いたしました。直ぐに馬車の用意をさせます。」

「ん?ベルっちもう帰るのか?てか俺への要件って何だったわけ?」

「あ~あ、それね。」

「・・・ローウェン様。馬車の準備が整いました。」



———————君を、私の屋敷。ローウェン邸に招き入れることなのさ。



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