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003

ゲームとは何か?

現実とは何か?

おっぱいとは何か?


マティーニの生乳?をガン見しながら考える!

いま彼女はなんと言った?


「はい。」



いや!そうではなくて!


ゲームの事。これがゲームだった事を知っている?マティーニも玉藻も、そしてあのスマホひき逃げ犯も?


プレイヤーの自分だけで無く、NPCのサポートキャラクターたちが?


「だって君たちはNPC…」


伝えていいのか?プレイヤーである現実世界の人間ではなく、運営会社が作ったゲームのキャラクター。人が作り出した、そのデーターでしかないサポートキャラクターたちに。


「はい。私たちはゲームである〈フィンブルヴェトル〉のNPC。プログラムのデーターの一部です。いえ、でした。それがあの瞬間、現実の肉体を得て、いまこの世界に存在しています。」


マティーニから伝えられたその言葉で、今いるこの世界、異世界が自分が思っていた以上に異様な世界に思えてきた。


「記憶は?…えっと…ゲーム時代の出来事も覚えているのか?」


「はい。ただサポートキャラクター全員にそこまで確認は出来ていないので、私の思い出ですが…」

マティーニは静かに、懐かしい、そして大切な記憶、思い出を聞かせてくれた。



彼女たちは自分が仕えるメンバーをマスターと呼び、自分のマスターを自慢していた事。

ヘイムダルを獲得した時の事。

難しいクエストをクリアして来た時の事。

ログインの止まったメンバーを追放して来た時の事。


そして、みんないなくなった時の事。


一緒に喜び、一緒に悲しんでくれていた。

知っていてくれていた。


涙が出た。


ひとりじゃなかった。


「艦長。」

いつからそこにいたんだろう。他の誰よりも一番長く側にいて、ずっと支えてくれていたミルフィーユが、その胸に抱き寄せてくれた。



感動は、また別の感動へ!


《おっぱいすげーーー!!!》



ヘイムダルに他のサポートキャラクターのみんなにも、ここに集まってもらうようにメッセージを頼んだ。


いままでの事への感謝と、そしてこれからの事。みんなで考え、みんなで決めて行きたい。


いままでずっと、そうして来たんだから!



ヘイムダルは、ふわりと宙に舞うと、なんだか嬉しそうな顔をして両手を広げる。


ミルフィーユとマティーニの携帯端末にも、メッセージが届いた音がした。

そして俺が持つ、ひき逃げ犯の端末にも…


「ちょっとニャモの所に行って来る。」

「それでしたら私が…」


そういうマティーニに手を振って、ブリッジを後にする。

なんだか照れくさかったから。



ニャモがいるであろう居住区域は歩きだと、ちょい時間が掛かるので、先ほどここまで乗ってきたクルマで移動する事にした。

靴下での歩きは、もう限界だし。

移動先が決まっていれば、伝えたるだけで自動で動きだすんだから、楽なもんだ。


それ程時間も掛からずにニャモの部屋の前でクルマが止まる。

扉の横にある操作パネルに触れるとチャイムが鳴った。


「ニャーーー!」

バタバタと足音がして、ドアが開く。

俺の顔を確認すると、ドアが閉まる。

《おいっ!!》


「ニャハハハハ!まあ、どうぞどうぞ!」

案内された部屋の中は、まさにスポーツジム!

部屋の中央には天井からサンドバックがぶら下がっている。


部屋の片隅に置かれた机には、見るも無残に解体された我がスマホが…

(いやいやいやいやいや…)


「艦長さぁ〜。なんでこんな古い、化石みたいな端末使ってるかニャ〜。」

(現実では、そこまで古くありません。)

「まあ、こっちとあっちじゃ違うもんニャ。」

(だからってバラバラにしちゃいかんでしょ。)


「でニャ!戻せなくなっちゃったから新しいのを作ったニャ!」

(言いやがった!言いきりやがった!)


渡されたそれは、いままで使っていたものより、若干大きいかな?というくらいで、デザインとかは殆んど同じだった。

しかし良くこんな短時間で。


「ナノマテリアルで作ったからニャ!こんなのピューっとやって、ちょちょいニャ!」

(心が読めるの?あと何だ!?その説明!)


〈ナノマテリアル〉

ゲーム時代はバトルドールやギルド艦の装甲の回復に使用していたアイテムだ。

通常、バトルドールなどが撃破されると戦場への復帰に時間が掛かる。コストの高い機体やギルド艦はより多く時間を要する。

だが、コストに応じて使用量は変化するものの、このアイテムを使用する事で瞬時に戦場へ復帰する事が出来た。


現実となったこの世界では、バトルドールやギルド艦、作業用のロボット〈ドローン〉、サポートキャラクターのアンドロイド、また多くの建造物まで、その構造体と成っている。

ナノサイズのこの物質を使えば、殆んどの物が短時間で作り出せた。


「ちょっとした魔法ニャ!」

(うん。もう少しちゃんと説明しようね!)


普段バトルドールの修復などを行う整備長のニャモなら、これくらいは簡単なのかも知れない。

「簡単じゃニャいよ!」

(もしかして俺…喋ってる?)


「しかしニャモくん!問題は中身なのだよ!」

「…。」

〈喋ったらシカトかーーい!!〉


「案ずるニャ艦長!データーも出来るだけ修復したニャ!」

出来る猫、いや虎なのですね!

確認すると、アドレスやメール、秘蔵の画像や動画は全て消えていた。アプリも全滅…かと思えば〈フィンブルヴェトル〉のゲームが残っていた。開くと、もうプレイは出来ないものの掲示板のトピックなど見る事が出来た。

「ありがとうニャモ。」

「ニャハハ」


「しかし艦長はエッチだニャー!」

《…》

「イラっとしたから全部消しといたニャ!」



「いニャい!いニャい!いニャい!」

《頭をグーとグーで挟んでグリグリグリグリ》


「ニャハハ…」

頭をさすりながら、ニャモが笑う。涙をにじませながら。

「マスターやみんなと、ずっとこうしていたかったニャ…」

(やめろ…)

「また、みんなに会いたいニャ…」


「そうだね…」



「艦長、知ってたかニャ?こいつは自分で運転すると、ちょっぱやニャ!」


少し時間を開けたけど、まだ少し目の赤いニャモの運転でブリッジへ向かう。

(シートベルトはどこでしょう?)



爆走!!


携帯端末を確認すると、画面にはゲーム時代と同じようなステータス画面のコマンドが並ぶ。通信はスマホで電話をするように使えるし、こちらの世界のネットにも接続できる。


「艦長!まずは艦長室に寄りますニャー!」

「いや。もうみんなブリッジに集まっているだろうし、急がなきゃ!」

「いつまでも靴も履かずに、みっともないニャ!」

「…?」

「着替えれば良いニャー!」


(なるほど!)


ゲーム時代、プレイヤーのアバターは設定コマンドでカラーリングなど変更出来た。

性別など変更出来ないものの方が多かったが、種類は少ないが服や髪型は変更出来た。

こちらでは自室のクローゼットルームで変更出来る。


艦長室に着き、中に入ろうとすると、ニャモが前に出る。


「離れて。」


俺がドアを開けると、ニャモが突入する。

「誰だ!!」


突然の出来事とニャモの変わりっぷりに俺がビビる!

「ニャんだ。艦長代理かニャ。」

この事態にも、まるで動じた様子も見せず、ミルフィーユが部屋の中で服を選んでくれていた。

「なかなか戻られないので心配しました。」

話ながらも手を止めず、服を選び続ける。

「どうしてここに寄るって分かったんだ。」

「ヘイムダルはメンバー全員の行動を把握していますから。」

(下手な事は出来んな…)

「プライベートな所は大丈夫ですよ。」

(何故…心を…)


クローゼットルーム手前のモニターにはミルフィーユが選んでくれた服が映し出されている。

クローゼットルームで決定を選択すれば、着替えは終了だ。

が!俺もちょっとやってみたい!


髪型から!種類が少ない…おっ!モヒカン!

しかも真っ赤とか無いわー!


間違ってポチッとな!



「あははははははははははっ!!!」

《おいっ!!猫っぽい喋りの設定は?!》

「お似合いです!…」

《ウソつけ!!震えてんじゃん!!》


急いで変更。あっ!…

それは見事なスキンヘッド!!

「………………………………!!!」

《痙攣しているだと…》

「………!」

《お前もかい…》



どーーーでもいい。

ブリッジに向かうクルマの中、ひとり愚痴る。

髪型は元に戻し(若干増量済み)、服はミルフィーユが選んでくれたものにした。


そこで、ちょっとした疑問をミルフィーユに聞いてみた。

「部屋のロックはどうしたの?」

「マスターの部屋の掃除は誰がしているでしょう?」


《下手な事は、本当に出来んな…》



ブリッジにサポートキャラクターのみんなが集まってくれていた。


ゲーム時代の、うちのギルドメンバーは全員男だった。

女性のプレイヤーもいただろうけど、男性のプレイヤーが大多数だっただろう。

ゲームをしている時、サポートキャラクターは、つねにメイン画面に表示されていた。

すると、やっぱり男より、女性型のサポートキャラクターを選んじゃう訳ですよ。


で、今です。


ブリッジにはヘイムダルも含めれば、美女に美少女!ロリにセクシー!

CGではない。現実がそこにある!


しかもみんな好意的!もう現実世界になんか戻らなくて良いんじゃない?


それからひと時、昔ばなしに花が咲く。

彼女たちのマスター自慢や他のギルドへの不満や愚痴。


でもそれは、全て過去形。


聞きたい事があった。

でも少し聞くのが怖かった。


このままにしていては駄目な事。

前に進む為に必要な事。



「ギルドメンバーの事。みんなのマスターの事……恨んでるかい?」


「みんなを残して…みんなを捨てて…」


「あいつらも、みんなが俺たちの事を見ていてくれてたなんて知らなくて…」


「……」


半分は俺の思いだ…

俺があいつらに言いたい事だ…


《馬鹿野郎…》


「艦長がこちらにお越しになる前に、みんなで話をしていました。」


みんなを代表してミルフィーユが、みんなの想いを伝えてくれる。


「ニャモもきっと同じ想いだと思います。」

「ニャハハ」

「ええ!恨んでいます!こんな良い女を、ずっと放って置いて!恨まない訳がないでしょう!」


「だから私たちは文句を言ってやりたいです。みんないっぱい伝えたい事があるんです。」




「だから…私たちと一緒に、現実の世界に行ってはいただけませんか?艦長!」




「…ありがとう……」


どうしたら、彼女たちの想いを遂げさせてやれるだろう。

泣いたってどうにもならないのに。


俺は彼女たちを現実世界に連れて行く。

それで、あいつらに…

ユーザー全員に…




見上げるとヘイムダルが宙を舞っている。

嬉しそうに笑う彼女の歌声が響く。

星々の海にも響き渡るように。


《縞パンか…いいね!》


いま抱えている問題


その1 スマホのフリック入力が出来ない…

その2 スマホが熱い…

その3 投稿の仕方がイマイチよく分からん…



頑張ります⊂⌒~⊃。Д。)⊃

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