010
ぽこぽこ→ありがとうございます。
がぶぅう→ありがとうございます!
どこーん→ありがとうございますーん!
まあ、こうなるよね。知ってた!だからもうやめて…
怒りに燃えた彼女たちに囲まれ、正座中の私。
女の中に男がひとり!
いや…もうひとり鉄入くんもいるが、彼女たちの豹変ぶりに恐れおののき只今フリーズ中。
ミルフィーユが止めてくれなかったら、どうなっていた事か…
『説明して!!!』×全員
(いまミルフィーユも小さい声で言ってた…)
地獄なり…味方がいない。
《玉藻が足で床をダーン!!》→はいー!!
説明しよう!
現在アルフヘイムには、ほとんどのサポートキャラクターが集まっている。
多くの者は自ら情報収集しているのに、中には自室やギルド艦から出てこない、困ったさんもいるのだ!
諸君らの任務は、そこに乗り込み困ったさんを説得するのだ!
『それはさっき聞いた!』×全員
(ミルフィーユの声が大きくなった…)
またまた説明しよう!
諸君らは個別の存在となる事で真の冒険者となれるのだ!
そして全てを手にするのだ!
さあ!羽ばたこう無限なる宇宙へ!
『説明になってねぇー!!』×全員
(やばいミルフィーユもノリノリだ。)
「脱退してくれたかい?」
君はきっとしてくれる。でも…
何も感じない訳じゃないんだろう?
何も思わない訳じゃないんだろう?
これは一時的なもの。全てが終われば帰って来れる。どうって事ない。
そう思うんだろう?
みんなの為に、仲間の為に…じゃあ君は?
君はどうなんだ?
これは君の望んだ事か?
君はいままでずっと我慢して来たんだ!
だからもう我慢なんてさせない!
ここは君が居なきゃいけない場所だ!
だから君に、さよならなんて選ばせたりしない!
だからそれは、俺がやるね。
えっ?なにこれ?
燃えるような紅い拳!目が眩むほどに輝くビーム!そして、ぽこぽこ!
《こんなの初めて!おかしくなっちゃう〜!》
はっ!なんだ今のおっぱい畑は!
気がつくと鉄入くんと俺だけ…
「あっ!やっと起きた!」
「ヘイムダル…みんなは?」
「みんなもう行っちゃったよ!」
「そうか…」
「いってきます!って。」
痛くて動けない。
心配したヘイムダルが、そっと身体を摩ってくれる。
貴方が今まで、どんな気持ちでメンバーを追放してきたのか知ってる。
ずっと側にいたんだもん。
もう二度と貴方にはあんな思いをさせない!
こうしてみんなギルドを脱退し、行動を開始した。
でもそれは自分と同じ決断をさせる事なんだよね。
それはみんなも分かってる。
きっと閉じこもっている子達も分かってる。
それでもこの世界で生きていくんだ。
俺たちだけじゃ守れない。
自分を守れる力がいるんだ。
〈いってらっしゃいも言えなかったな…〉
◆
ブルブルビクンビクン
「オハヨウゴザイマス!」
フリーズしていた鉄入くんが再起動しました。
「あら?みなさんは?」
ヘイムダルには出港の準備をさせている。
俺は俺の役割を果たそう。
「鉄入さんにお願いがあります。」
冒険者管理局には連日サポートキャラクターが集まり情報収集しているそうだ。
その子達への説明を鉄入くんにお願いした。
ただし内密に!どこから情報が漏れるか分かりませんからね!
「分かりました。その辺は注意して起きましょう。それと…実は見ていただきたいものがあるんです。」
そういうとお腹からタブレット型の携帯端末を取り出し、操作を始めた。
(なんでこの人、ネコ型じゃないのん?)
すると空中に映像が浮かび出した。
そこには冒険者の登録数や、現在アルフヘイムで確認されているサポートキャラクターの数。そして行方不明や死亡した者の数が…
《そんな馬鹿な!女性プレイヤーがおよそ300万人だと!!そんなにいたのか!!!》
「ご覧いただければ分かると思いますが、現在アルフヘイムではおよそ850万人のサポートキャラクターを保護しています。どうしました?」
「いえ!もちろんそこを見ていました!続けて下さい。」
「回収した遺体は2501名分、残りのおよそ350万人の行方が分かりません。ですが変なんです。」
「というと?」
「行方不明者のほとんどが、登録にある全ての男性型のサポートキャラクターなんです。もちろん数百名の女性型もおりますが…」
「そんな…」《数百名?!》
「保護しているサポートキャラクターも、回収した遺体も全て女性型。」
「有り得ない…」《数が合わない…》
「ええ!余りにも不自然過ぎます。」
「…。」《350万♂-300万♀=50万♂》
「貴方がこの世界にいる事と何か関係があるのでしょうか?」
「…。」《♂が♂を…えっ?俺と関係?》
「行方不明者の捜索と合わせて、私達も調べてみますが、貴方も認識だけはして置いて下さい。」
「分かりました…」《何を知れと…》
おかしな謎だけを残して鉄入くんは去っていった。
いやいや!たまたまという事も…《玉たまだと!》
「艦長〜!出港の準備…何で泣いてるの?」
泣かせてよ。今だけは泣かせてよ。
「準備が出来たから早く乗ってね!」
そうだね…俺もやらねば!
こうして我々はアルフヘイムを後にしたのでありました。
◆
出港から早2日、ヘイムダルは自動航行で目的地の〈アースガルズ〉へ向け進んでおります。
ゲートを使えば1時間もかからないんだけど、ヘイムダルだけだと危ないから仕方がない。
〈アースガルズ〉
ソール恒星系に5つあるスペースコロニーの1つ。
クエストで手に入れた換金アイテムや、捕獲したエネミーなんかを回収してくれるゲームの時に大変お世話になった場所だ。
今回の目的は、ずっとコンテナに入れて放置していた星クジラと要塞クラゲを回収してもらう事。
今回の報酬は期待出来ますよ〜!
「私達だけで良かったの?みんなと一緒にいた方が良かったんじゃない?」
「まあ〜大丈夫でしょ!あとの事はミルフィーユに任せましょ!」
アースガルズにはヘイムダルから事前に連絡をしてもらっている。
アースガルズはいま大騒ぎだそうだ!
何と言っても今回は初の〈星クジラ捕獲〉ですよ!
それに〈全エネミー捕獲成功〉と〈図鑑コンプリート〉にも成功報酬が出るそうです!
要塞クラゲのオマケが付いたら報酬も豪華になるんでしょうね〜!
それになんだか、お祝いもしてくれるそうです!
ド派手にお願いしたいですなぁ〜!
◆
これはなんですのん?
アースガルズ全体がお祭り騒ぎです!いくらなんでもやり過ぎですぜ!
アースガルズの管制官からドックに向かうよう指示が出た。←なぜドック?
ドックには既にアースガルズの回収班が待機していた。
正確にはアースガルズ全体がその本社という、紙オムツからコロニーまで!なんでも来いの大企業〈ユグドラシル〉の回収班。
その班長さんは、やっぱり鉄入くん…
(どんだけいんのよ!)
「お待ちしておりましたー!私の名「結構で〜す!」
「はい!こちらで結構です。」
ふぅい〜。なんとか手続き出来た〜。
やっぱりミルフィーユかマティーニに来てもらえば良かった。
運搬用のクルマが巨大コンテナを運んで行く。レイド級の大型エネミーが入っているにしては小さいけど。
なんでも捕獲器と同じ原理なんだそうです。
聞いてもいないのに鉄入くんが説明してくれています。またいつもの魔法の呪文です。
そして渡された小さなコンテナが1つ。これが今回の報酬…
なんかボタン付いてる。広い所で押してね!とか書いてある。もう知らん。押す。
『危なーい!』→→→→ブッフゥ→→
《ひき逃げアタック》とは卑怯な!ブレーキは踏んだようだけど。
「いや〜すいません!遅くなりました。うわ〜綺麗な船ですねぇ〜!」
「どちら様でしょう?」
「はじめまして!ユグドラシルから参りました徳川 梓と申します!今日からお世話になります!」
「…?」
「私が報酬の1つです!」→『責任者出て来ーい!』→「あわわ!まあ落ち着いて!」→『落ち着けるか!』→「なぜですか?」→『君は人間だろうが!』→「それが何か?」→『人間は物じゃねぇー!』→「そう言われても…」
何事かと鉄入ブラザーズが集まって来た。これだけ騒げば当然ですな。
「梓さん!それじゃ分からないですよ!」
回収班の鉄入くんが説明してくれた。
彼女は今回の報酬の1つ、ギルド艦の強化パーツの整備などを行う為にユグドラシルから派遣されたエンジニアだという。
そして彼女はこの世界の人間。
「ではさっそく換装しますので、この子は借りて行きますね!ギルドへの加入申請はしておきましたので承認お願いします!」
携帯端末を確認すると、確かに申請が来ていた。あっ!承認出来た!
「えっ?君…冒険者なの?」
「さっき管理局に申請しました!」
この世界の人間も冒険者になれるの?
「手続きだけで簡単でした!でも、冒険者なんて危険な仕事は人間がやるものじゃないと止められましたけど!」←《俺は?》
ドックの天井から伸びる巨大アームがヘイムダルを鷲掴みにして、どこかに運んで行く。
ヘイムダルもパニクってるんでしょう。
俺の携帯端末も鳴りっぱなしです。
《すまん!ヘイムダル。俺には無理だ!》
ノリノリの彼女は、UFOキャッチャーでもやっているかのように鼻歌交じりに巨大アームを操作している。
「ところで強化パーツって何ですか?」
「ああっ!忘れてました!社長が是非お会いしたいそうです!直接聞いてください!」
なんかすごい事をサラッと言われた。
◆
ドックからクルマに乗せられ2時間くらい。
窓の外はどこもかしこも巨大な製造ライン。アースガルズにはユグドラシル傘下の数千の企業も入っている。
それなのに連れて来られたのは町工場の事務所とでも言えば良いのかしら。油と埃っぽいニオイがします。
案内されたのは社長室なんだろうけど、事務所の片隅にパーテーションで仕切られただけ。
使い込まれたソファーに座り、お茶をすする。
机に山積みの紙の書類、壁に貼られた写真は従業員全員と撮ったのかな?人が点にしか見えん。
普通だ!普通すぎる!
「お待たせしました!お呼び立てして申し訳ありません。」
現れたのは作業服姿の青年で20代半ばといったところかな?この人が社長?ユグドラシルの?
「申し遅れましたが、社長の徳川 宗一郎と申します!今後ともよろしくお願いします!」
はい。よろしくです!俺も自己紹介しました。ん?徳川?
「妹がご迷惑をお掛けしていなければ良いのですが、アレも変わり者でして…妹の事もよろしくお願いします!」
「はぁ…」《妹さんか…えっ?ずっとうちにいるの?》
「いや〜まさか星クジラが捕獲されるとは夢にも思いませんでした!で…思わなかったので…報酬を用意して無かったんですよ。そこで今回は開発中の強化パーツとバトルドールの試作機をご提供させていただきます。」
「バトルドール?」
「あれ?これくらいの小さい箱ありませんでした?」
あれか!あれ?どこに置いたっけ?
「操作マニュアルと資料はこちらです。後で確認しておいて下さい。」《分厚い!》
「それと強化パーツですが、あれは現在妹が開発中の新型エンジンと特殊兵装が一緒になったユニットでして…危ないんで気を付けて下さい。」《なんて?》
「まあ!妹もいますので大丈夫ですよ…きっと。確かユニット名は〈ギャラルホルン〉と言ってました!」《目を見て話しましょう!》
「それといま貴方の偉業を称え、港の大ホールに貴方の銅像を作らせています!明日の除幕式は盛大にいきましょう!」《やめてっ!》
社長の机から垂れ下がる〈星クジラ祭り〉と書かれたチラシが見える…
「そう言えば何か政府と揉め事があったそうですね!まあ、これだけ目立てば、多少アルフヘイムが騒がしくても政府の連中の目はこちらを向くでしょう。」
「えっ?…どういう事でしょう?」
「だってその為におひとりでいらっしゃったのでしょう?」
第五地球での事も知ってるよって事かな?なんともやりにくい。
「貴方の狙いはなんですか?」
「私は連中にギャフンと言わせてやりたい!と言うのは冗談で…貴方は我々人類と、デミヒューマンやアンドロイドなどの〈新しい人類〉との関係をどうお考えですか?」
この世界の人間は何もしなくて良い。
食べて寝て遊んでいれば良い。
自分たちの代わりに亜人を働かせるから。
この世界の人間は何をしても良い。
同じ人類に危害を加えなければ、なんでも許される。
それは亜人を殺しても。人間では無いのだから。
「実は政府の連中は冒険者の財産が欲しい訳じゃないんですよ。彼らには必要ないですから。本当はそれが亜人に渡るのが許せないだけなんです。自分たちの奴隷が、自分たちよりも力を得る、富を得る、それが許せないんです。」
それじゃあ…俺のやった事は逆効果か…
「でもね。それを手にするのが、もし人間なら連中も文句はないんですよ。もちろん妬まれたり、嫌がらせを受けたりするかもしれませんがね。」
「私に彼女たちから奪えとでも言うんですか?」
「いいえ。それは彼女たちのものです。そうじゃなきゃいけない。」
「では私にどうしろと?」
「貴方には財産の管理をお願いしたいのです。私も冒険者の事をいろいろ学ばせてもらいました。そこで、これが貴方にお渡しする、もう一つの報酬です!」
それは書類。それはスペースコロニー〈アルフヘイム〉の権利書。
貴方にアルフヘイムを譲渡します!
私たちで《ギルド》を作りましょう!
◆
ギャラルホルンへの換装を終えたヘイムダルに乗り、アルフヘイムへの帰路につく。
あれから2週間、本当に作られていた銅像の除幕式に始まり、連日のお祭り騒ぎ。
たかが1匹のエネミー捕獲でと思っていたが、星クジラの体組織から新薬や新素材などの研究が行われているそうで、その価値はコロニー1つ失うくらい屁でもないんだそうな。
アルフヘイムは、人間の冒険者の為にユグドラシルが作ったコロニーで、他に使い道も無いので俺が使う分には政府も文句はないだろうと言っていた。
これで何かが変わる訳じゃない。
でもこれはその為の第一歩。
彼は、俺と彼女たちを利用したい訳だ。
人類と新しい人類が、同じ人類となる為に。
意識の変革をもたらす為に。
ネフィリムが言っていたのは彼の事なのかな?
アルフヘイムにいる彼女たちには、すでにミルフィーユを通じて今回の事は伝わっている。そして彼女たちの答えはもう出ていた。
《とにかくみんなで楽しもう!》
アルフヘイムも大騒ぎ…とにかく早く帰りましょう!
しかし急ぐ為には、連日の徹夜続きで現在爆睡中の梓ちゃんと、すっかりふてくされているヘイムダルをどうにかしないといけないのです。
あっ!バトルドールのコンテナも行方不明だ…
先が思いやられる…
◆
アルフヘイムは活気に満ちていた。
ゲームの時の20名前後のチームとしてのギルドではなく、冒険者同士の互助組合、組織としてのギルドを作る為に。
冒険者管理局の鉄入ブラザーズも、今後はギルドの運営としての仕事も増える事もあり、彼女たちと一緒に慌ただしく作業に追われている。
みんな忙しいのに、でも楽しそう!
でも俺には…仕事がない!
「散歩に行ってきます。」
ミルフィーユにそう言うと、手の空いたぽちがしっぽをフリフリ。
「一緒に行く?」→『うん!』
「ちょっとそこで待ってて。」
あまり遠出も出来ないので、この間の商業区にある小さな公園にやって来た。
ぽちはどうしても買いたいものがあるそうで、お店の方に走って行った。
今日もあの日と同じように、とても綺麗な夕焼け空。ひと気のない公園はちょっと寂しい。
「もしかして艦長?」
それはずっと前に、何度も聞いた声だった。
そこにはデミヒューマンの少女が立っていた。
「ネイ?」
「はい!」
彼女は俺の最初のサポートキャラクター。
そして今はこの世界の新しい人類。
彼女はゲームを始めた時からずっと一緒だった。ギルドを作った時も、ヘイムダルを獲得した時もずっと…
『またどこかでお会い出来たら嬉しいです!』
それが最後に聞いた彼女の言葉。
「あの子が今のサポートキャラクターですか?」
「いや。ギルドのメンバーだよ。」
近くにあったブランコに座り、昔の事、今の事、いろいろ話した。
彼女はいま新しいマスターの下で働いていた。
彼女のマスターは甘いものが好きで今日もここに、たい焼きを買いに来たんだそうだ。
「それじゃあ、そろそろ行きます。」
「うん。会えて良かった。」
「うん。私も。」
「ネイ…」
「…?」
「いま…幸せかい?」
「はい!とっても!」
彼女の後ろ姿を見送ると、なんだか胸が苦しくなった。幸せそうな元カノに出会った気分だよ。でも…良かった。
「ナンパですか?」
ぽちが睨んでおります!
「そんなんじゃないよ!で?何買って来たの?」
そう聞くと、暖かい小さな紙袋を渡された。
中にはたい焼きがひとつだけ。
「ここの美味しいの。」
「くれるの?」
「この間のお礼。」
だからこっちに来たがってたのか。
「ありがとう。」
たい焼きを半分個にして、大きい方をぽちに渡す。
「食べながら帰ろう!」
嬉しそうに笑うぽちも、幸せそうな笑顔のネイも、どっちも同じなんだよね。
どっちも俺と同じ人間なんだ。
夜になっても、まだ作業は続いている。
申請の手続きなんかもあるはずなんだけど、鉄入ブラザーズや徳川さん(兄)に任せっぱなし…俺って…
アルフヘイムに自室のない俺はヘイムダルで寝るしかない。
ヘイムダルに戻ると、みんな集まってくれていた。
「おかえりなさい!マスター!」×全員
そうなんだよね…これから俺はアルフヘイムにいる冒険者みんなのマスターになる。
その数850万人以上!絶対みんなの名前、覚えられない!
でも俺が現実世界に戻ったら、みんなはどうなるんだろう。
みんなが現実世界に戻りたい訳じゃない。
それも何とかしないとね。
でもその前に!
「みんなのマスターになります白瀬 直斗です!これからもよろしく!」
「…?」
「…何?」
「マスターの名前はシロボン!」
そうね…変更してなかったね…
「まあなんだ…みんなおかえり!」
◆
「ただいま戻りました。」
「おかえり。ネイ。」
「いま温め直しますから、ちょっと待ってて下さいね!」
少女は小走りでキッチンに向かう。
そこはアースガルズにある、ユグドラシルの社宅のひとつ。
山積みの書類に囲まれているこの家の主、徳川 宗一郎は一枚の招待状を手にしていた。
冒険者ギルド結成記念パーティーと手書きで書かれたその招待状は、彼が見てきた数々の招待状の中でも最もショボい、でもとても温かみのあるものだった。
(まずはここから…しかし何もこんなギルド名にしなくても…)
◆
それから数日、政府からの承認もおり、ついにこの日がやってきた!
ヘイムダルの新兵装ギャラルホルンの祝砲が鳴り響くと、アルフヘイムのあちこちで花火が打ち上がる。
管理局の巨大ホールでは詰めかけた女の子たちがクラッカーを鳴らし始める。
俺はこれからみんなの前で挨拶をしなければならない。しかもソール恒星系全体に生中継されるそうな…
「なんて顔してるのニャ!」
「俺…ダメだ…吐きそう…」
「案ずるニャ!もしもの時はニャモがなんとかするニャ!」
「本当!助かるぅ〜!頼んだよニャモ!」
「ガッテンニャ!」
こうして冒険者ギルド《ラグナロク》が誕生した。
今回はいつもより話が長くなってしまいました…疲れた⊂⌒~⊃。Д。)⊃
ので、話のチェックをしてないのです!
誤字脱字、日本語が変!いっぱいあるかも…
やる気と時間があったら、あとで直します!
と、言い訳ばかりの十でした!