出会い或いは目覚め
初めまして。
楽しんでいただけると嬉しいです。
さようなら。
これがわたしとあの人の最期の会話だった。
あの人と出会ったのは、雨の日。少し寒い日だった。
わたしは初めて会ったとき、すこしばかり驚いた。道の真ん中にたっているにも関わらず、誰も気づかないのだ。あれだけ目立つ格好をしているのに。だが、鮮やかな色をした綺麗な着物をきてぐっしょりと濡れている彼女をほっておけなかった。どうしようと迷っているとき目があった。彼女は少し笑ったように見えた。わたしの心を見透かして、諭してくれるように。気づいたときには、彼女は背を向けどこかへいってしまったあとだった。何をしていたのだろう。と、ずっと考えていたのを覚えている。
何はともあれそんな人物と出会えば、忘れることができないものだ。また、出会えるのではと、同じ場所に向かった。2日3日と過ぎて行き、気づけば2週間もたっていた。もう会えないのだろうと、諦めた時だった。冷たいものが頬に流れた。誰もが走りだしていた。だが、わたしはその場から動くことができなかった。彼女が現れたから。嬉しそうに微笑みながらたっていたから。
「やっと会えた。さあ、帰ろう。」
暖かく響く低い声がきこえ、手をさしのべた。忘れていたものを取り戻した瞬間だった。わたしが求めていたものだった。彼女を守るのは自分の役目と気づいたから。誰も気づくはずがないのだ。わたしも彼女もこの世のものではないから。現れてはならないものだから。
これからどうなるか自分でもわかりませんが、
できしだい出していけたらな、と思っています。