Bye
テスト結果の書かれた細長い紙を受け取ったリンダは絶句した。
…あきらかに、成績が落ちている。
ここのところ毎晩メリーと会って、むしろ眠ることの方が生活の愉しみになりつつあったリンダは前よりも授業に集中できなくなっており、成績は落ちる一方であった。
しかし、今回はあまりにもひどすぎる。
いつもクラス3位をキープできていた唯一の科目で半分の点数を下回り、クラス順位は下から4番目となっていたのだ。
気づけばメリーのことばかり考えていて、注意力も散漫になっていた。
またある日、リンダは帰宅途中に車に引かれそうになった。
大きなクラクションの音と周囲の金切り声が辺りに響くも、リンダは気づかない。
「ゴルァどこ歩いてんだ、ボケェ!」
運転手の罵声が開いた窓の外から聞こえ、そこでようやくリンダは我に返る。
そしてリンダは気づいた。このままではいけない、と。
思い立ってからは早かった。
その夜、リンダが眠りにつくといつものようにメリーが話しかけてきた。が、それを遮る。
リンダは真剣な面持ちで言った。
「メリー、もう会うのやめない?」
「え…?」
口をぽかんと開けるメリーにリンダは一息にまくしたてる。
「私思ったの、このまま私たち一緒にいたら危険だよ。私どんどんダメになってきてる。ああ、まさかこの私が現代文で46点を取るなんて!なんてことなの!!」
「ちょっと待って、意味が解らない、どういうこと」
「メリー。あなたと仲良くしすぎて私、眠るのが生き甲斐になってるみたいなの。ずっと夢の中にいたいって思ってる。こんなのダメよ!あなたのこと、好きだけど、これ以上会ったらだめなの」
勇気を振り絞り、つばを飲み込み、リンダは言った。
メリーは悲しそうな顔をしていた。
目にたくさんの涙を溜め、
「…やだけど、リンダがそう言うなら仕方ないよね」
メリーは言った。
「さよなら。ありがとう」
ぽろんと一粒、涙をこぼして。