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Free love  作者: 依川 春
6/6

話を聞くよ

一応書いておきます!

白石先生のフルネーム:白石 奈子

「教頭先生ちょっとめんどくさくない?」

「なんとなく分かる…」

学校のある駅から2つ行ったところの安いけどお洒落な隠れ家的な居酒屋。いつものこの場所はまだ恵美とも来ていなかった。今度連れていこうかな。

淡い照明が優しく顔を照らしてくれる。

「…話変わるけど、夏紀ちゃんってー」

目の前の軽く酔った人はふにゃふにゃ笑った。奈子なこちゃんってこういうとこ可愛いよなぁー。

「モテたよね?」

「…え?」

水に伸ばした手がとまる。

…今日手、とまるな…。っていうか、モテるとかそういうの以前に、、。

「…うーん。奈子ちゃんこそモテてそうだよね。私、告白されたの今付き合ってる人だけだもん」

龍ちゃんだけなんだよね、私の事が好きだって思ってくれた男の人。

すると奈子ちゃんは何かを感じとった様に真顔になった。ジョッキを手に持ち口元に当てる。

「…まーじか。夏紀ちゃんとこはそういう感じなんだー」

「ん?」

なにがそんな感じなんだろ。…んーまぁいいや。

「…ところで奈子ちゃんは彼氏とか、そういう好きな人いないの?」

こういう話題ふってきたの奈子ちゃんの方だったからいいよね!

と、奈子ちゃんは、一瞬フリーズした。

ど、どうしたんだろ。

「…今ね、好きな人はいないんだけど…」

なんかまずい話かな…ダメだったかな…。なんとなく明るい雰囲気が暗く重くなっていく気がした。ど、どうしよう。奈子ちゃんがちょっと変だ。

「……元彼と今こじれてるの。」

…わ、。まじか、そうなのか。

「………大丈夫なの?」

その場しのぎに聞こえるような事しか言えなかった私を目の前に、ジョッキを持ったままの彼女は、うつむいた。カラッと音を立てて氷が揺れる。

「なんかー…ダルイから連絡あっても放置してる…」

それ、…やばそうだよ。

「奈子ちゃんそれ、危ないんじゃないの?」

ゆっくり顔をあげた奈子ちゃんはニコっと笑った。え?

「危なくないよー。だってあたし今日合コン行こうとしてたんだから!!」

あははっと笑った彼女は携帯を見て、そろそろお開きにしましょうかと呟く。

「……」

ちょっと待って。そういう事じゃなくない?奈子ちゃんはもう財布を取り出していた。


店から出ると外はもう真っ暗だった。

「……奈子ちゃ」

「夏紀ちゃん、電車一緒に待つよ」

私を見てまたニッコリ微笑んだ。

今、いつもの笑顔の彼女は、本当は泣きたいんじゃないだろうか。だったら、へたくそすぎない?聞かれたくないならもうちょっと上手くやるよね。

それだけ、辛いんだよね?


「行こう。…私のお家じゃないけど。」

次の瞬間、奈子ちゃんの顔が崩れた。



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