ガラス
今回はガラスについて。
ファンタジーでは普通に出てくるガラスですが、美術的価値で財をなすには一番有効な知識だと思います。
製作の原理を紹介すると共に、どういった点に注目すれば、転生先で一儲けできるか、考えてみました。
小説に参考にされた方は、一言でもいいのでコメントいただければ、とても励みになります。ご協力ください。
歴史的には古く、紀元前3000年頃には非常に小さなものとはいえ、あったとされるガラス。
中世ものにも当然のように多く使われているでしょうが、製造方法や歴史などをしっておくと、新しい使い方もあるのではないでしょうか?
今回はこのガラスに焦点を当てて、ご紹介していきます。
◆ガラスを作る大前提を押さえよう◆
ガラスの起源は何か?
今現在最も有力な説は、青銅を精製している最中に、混入した砂とソーダが熱せられた時、偶然ガラスができたのだろう、と言われています。
ソーダ自体は植物灰で可能なので、どこでも出来る可能性はあります。が、それが発展し産業になるのは、ごく限られた地域だったようです。
四大文明の中でガラスが発達したのはエジプトとメソポタミア。
その最も最初の開発に成功したのは、エジプトと考えられています。
開発に必要な条件は以下の3つです。
・青銅器が作れる技術があること
・大量の木材燃料があること
・天然ソーダが手に入ること
エジプトではナトロン(天然ソーダ)が手に入ったので、非常にガラスの生産に向いていました。
ソーダの輸出も行われているぐらいです。
同じ青銅器を作っていた中国にガラスが発達しなかったのは、この天然ソーダが産出できなかったからだろうと考えられています。
かわりに中国では磁器や漆器が生産されていました。
◆ガラスの製造法――コア技法と吹きガラス技法◆
当時は今日のように原料から高温で溶融し、直接良質のガラスを作ることはできませんでした。
ソーダ石灰ガラスで1500℃ほどの温度が必要になるそうです。
また、窯に耐火能力もなかった為ですね。
ですので、ガラスは複数の工程を経て、作られていました。
ステップ1
シリカ砂とアルカリとを約750℃で焼き、固体反応を起こさせ、塊を作ります。
出来た塊を冷却、粉砕しフリットを作ります。
18世紀までこの工程は続きました。
ステップ2
このフリットにカレット(溶融用のガラスくず)を混ぜて高温で溶かし、原ガラスを作ります。
大量の木材が燃料として必要になりました。
ステップ3
原ガラスを溶かし、希望する色になるよう着色剤を加えて最終製品を作ります。
銅や酸化銅を添加し、酸化雰囲気で加熱して青ガラスを、還元雰囲気で加熱して赤ガラスを作っていました。
他、コバルト、アンチモン、マンガンなどを使って着色されていました。
○コア技法とは?
金属の棒に藁を巻きつけ、それに泥状の粘土を塗って、芯を作ります。
これに溶解したガラスを浸すか、軟らかくなったガラスの紐を巻き付けるかして、ガラスで覆います。
表面を再加熱して、滑らかにする一連の技術。
この時、鋳造と冷時カットも行われていたようです。
○吹きガラス技法とは?
紀元前50年頃に始まった、吹き竿によるガラス吹きの技術。
動画を検索してください。(手抜きではないよ!)
参考:http://youtu.be/nf3Ws_mtYt0
その他の技術
・フロート法
融解した錫の上に、融解したガラスを流すと、綺麗な板ガラスを作ることが出来る方法。
イメージは油と水。
完璧な板ガラスを作る方法として、革命を起こした。
それまでは、大まかに上の動画の皿を作る方法の延長上でしかなかった。
◆注意点◆
エジプト、メソポタミア、ヴェネツィアではその製造法が非常に厳しく秘匿されました。
迂闊にその技術を教えようとすると、拉致監禁の恐れが高いです。
また、装飾法を別とすれば、ガラスの生産方法自体は、非常に一定です。
むしろデザイン性がガラス知識では重要になっている点に注意が必要だと思います。
鉛クリスタル、マンガンを利用した消色法、切子ガラスに代表される、ガラスの製造後のカット技術などが好まれると思います。
鉛クリスタルガラスは酸化鉛を30%入れ、硝石を使用することで強度を保つ方法です。
製造後100年、一切手法が外部にもれなかったようです。
推奨動画検索キーワード:江戸切子
◆歴史(ガラス製品の発明時期を押さえよう)◆
・紀元前6300~5000
チャタル・ヒュユク遺跡から銅鉱滓に原ガラスが発見
・5000~4500
最古の施釉品発掘
・3000
メソポタミアのミタンニかハリー地方で最初のガラス製造
・1700
最古のガラス製造の記述
・1570~1345
コアガラス容器づくりが始まり、大成長
・1400
水晶レンズがギリシャのクレタ島で出土
・50
吹きガラスの発明
・西暦20年
ローマで鋳込み板ガラスが作られる。ポンペイ浴場の窓ガラス
101×71×1.3センチ
・150
ローマンガラスの製造
・780~856
ドイツ ラバヌス・マウルスでガラス最古の窯の絵図が記される。
・854
イスラムガラスの組成が変わる。ナトロンから植物灰へ
・900
カリガラスに変わる
・950
『ローマ人の色と術』窯の構造を詳記
・1286
メガネの発明
・1291
ヴェネツィアのムラーノ島にガラス工場集中移転
・1507
錫アマルガム法により、ガラス鏡発明
・1609
ガリレオ、倍率32倍の視野の狭い望遠鏡を作る
・1620
イギリスでガラス溶融窯への石炭燃焼成功
・1660
コルク栓の使用始まる
・1660
ワインボトルの普及
・1666
融剤として硝石を使用
・1668
ニュートンが鏡面反射望遠鏡を作る
・1685
鉛クリスタルガラス製造法完成!
・1819
バカラで鉛クリスタルカットガラス生産始まる
・1823
ルブラン法の炭酸ソーダを大量生産
・1856
蓄熱式ガラス溶融窯で英国が特許2861個
ガラスを利用した便利な品を紹介していきます。
・電球や蛍光灯などの照明ガラス
・食生活に使うガラス食器
・ビンという保存技術
・望遠鏡や顕微鏡、メガネといったレンズ
・万年筆
・ビーカーなどの研究道具
・窓
参考文献:
『ガラスの文明史』
『世界ガラス工芸史』
『エジプトの古代ガラス』
『日本産業技術史辞典』
これまでもアイデアを頂いておりますが、さらなるアイデアを募集しています。
ただし、書籍文献でデータを取ってから作っているので、タイムラグがあるのはどうかご容赦願います。
また、採用されなくても怒らないで下さいね。