醤油
久しぶりの投稿です
トリップ系小説、転生小説で日本人が主人公ならば求めてやまないもの第一位、それが味噌、醤油、白米だと思います。
味噌醤油の作り方は、昔なら各個人の家で作られていたりもしたので、試行錯誤の上、時間をかけて再現することも不可能ではないでしょう。
ですが、中には転生する可能性を考えて、所々知識を仕入れている|思春期特有のちょっと一過性の病気にかかった主人公も中にはいるので、ここでは醤油の作り方をご紹介します。
1.醤油の歴史
醤油は日本伝統の調味料ですが、そのルーツを醤に求めることが出来ます。
醤とは食塩を用いた保存食のことです。
使用するものによって
肉 =肉醤
野菜=草醤
魚 =魚醤
に分類することが出来ます。
日本の湿度が高く、夏の暑い環境を利用して穀物に麹菌を発生させるという醸造技術を発展させてきました。
中国から伝来した醤から未醤が出来、未醤から日本固有の味噌が出来ました。
味噌の桶に溜まった汁である溜が、室町時代に溜まり醤油に発展したんだそうです。
江戸時代に入り、魚の生臭さを消す必要性から、醤油の発展が促され、濃口醤油が誕生します。
溜まり醤油が大豆だけなのに比べ、濃口醤油は大豆と麦を原料にしていることから、微生物の発酵が旺盛となって、香りの高い醤油が出来たんですねえ。
2.作り方(標準的な濃口醤油の場合)
(1)大豆の処理――水に漬けて、その後蒸します。
醤油の味の75%は大豆由来。
A.浸漬。10~12時間ほど水に漬けます。
2倍ほどの大きさに膨れ上がります。
B.蒸煮。タンパク質の変性によって、麹菌が発酵しやすい環境を作ります。
その後冷却します。
(2)小麦の処理――炒めた後、細かく割ります。
A.炒熬。焙烙によって、炒めること。
現在の工場でも、砂と小麦を一緒に炒める砂入りという作業が行われています。
(最新大型設備は違うそうです)
割れやすくする、殺菌する、デンプンのアミラーゼ化を促進する、といった目的があります。
B.割砕。小麦を割ることです。この時、調子に乗って割りすぎると、麹菌が窒息してしまうので、四五割りと細かい粒子になるように分けて行います。
(3)両味混合。――処理の終わった原料を混ぜ合わせます。
両味混合された原料に、種麹を散布して、麹室にいれ、40時間かけて醤油麹を製麹します。
この麹室、麹菌が発生しやすいように、湿度90%、28℃の環境を保たれます。
「1麹、2櫂、3火入れ」と言われ、醤油づくりの最も大切な仕事です。
(4)仕込み――でき上がった醤油麹に、食塩水を混ぜ、発酵、熟成させる。
醤油麹を食塩水に仕込んだものを諸味、といいます。
ものすごい大きな木桶に櫂で撹拌しているのを見たことはあるでしょう。
春先に諸味を仕込み、気温の上昇とともに発酵が旺盛になります。
およそ6ヶ月後の秋に絞ると、おいしい醤油が出来ると言われています。
醤油麹1に対し、食塩水1.2(食塩濃度23%)の比率で混ぜ合わせるのが一般的です。
仕込み直後はこまめに撹拌させ、麹菌と食塩水をなじませます。
発行に必要な酸素を供給したり、微生物をまんべんなく散らしたりと、大切な作業です。
徐々に温度が上がり、発酵が済めば撹拌する回数を減らします。
(5)圧搾――旨味すべてを搾り出す。
諸味を布に包むか、袋に入れて圧搾し、生揚醤油を搾ります。
この時に出る醤油粕は飼料に使われます。
生揚醤油は清澄タンクに集め、数日間放置して脂と醤油を分離後、醤油油を取りのぞきます。
(6)火入れ――殺菌、酵素失活、火香の付与、色沢の調整、オリの生成
85℃で20~30分ほどの火入れを行います。
昔は大きな釜で煮ていたそうです。
底にたまったオリをのぞいて、酒精(防沸、防黴)を加えたものが醤油になります。
3.その他の知識
「桶」
関東の桶では大きい物が多く、60石(10000リットル)のものが多く、
京都では10~15石のもの、平均的には30石(6尺桶)が多く見られます。
現在ではステンレスやプラスチックの物が多く、桶はあまり見られない。
この巨大な桶を作れる職人さんはどんどん失われ、現在では日本でも数名だとか。悲しい話です。
「白カビ(酸膜酵母)」
昔の手作り醤油は、白いカビが生えたものだ、というお年寄りがいるそうですが、これって風味を損なうだけで、撹拌が足りていない証拠だそうです。
「醤油は凍らない」
醤油は冷凍庫に入れた所で凍りません。
水分以外の者が多いからだそうです。
「仕込める速度」
一度に小麦や大豆を加工できるわけではないので、ひと月に桶一つ分ぐらいしか不可能だそうです。
まとめ
片手間に作れるかと思えば作れるでしょうが、腐敗させず美味しいものを作ろうと思うと、人を雇って作業させる必要がありますね。
ただ、味さえ気にしなければ、各家庭で作れるのですから、主人公も作れるかもしれません。
現在では日本食ブームで、世界中でSUSHIが広がっていることですし、転生先でも日本食が広がると楽しいですね。
参考になりましたら、幸いです。
参考文献
『発酵食品学』 小泉武夫 編著 講談社 P216-231
ある意味定番の食料ですが、本当に参考になれば嬉しい限りです。
これからも役に立つ(立っているかは知りませんが)情報をご紹介できるよう頑張ります。
よろしくお願いします。