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立候補

「もちろん私やアイン先生は、君達の求め、つまり、自己分析や相性分析などのアドバイスには全力を尽くします」



 ピラミッドを重ねた図表、つまり新入生の頂点と底辺を決するために組まれたトーナメント表の上を、黄金の光点が動く。つまりはあの光点こそが、〔模擬論戦(プレゼンディベート)〕の過程で勝敗する自分達なのだと、生徒たちに裏解させる。

 そして、鎌足が本題に戻る。



「ですが、君たちにはすでにそれぞれに能力の〔差〕がある。幼い頃から〔裏論武装〕に触れてきた者とそうでない者とでは、それがあって当然です。だから私は一度だけ、それをわずかでも詰められるかもしれない状況を君達に差し上げる。それがこの交流(レクリエーション)であり、現在2クラス同時に並行して行われているこれは、つまりチャンスです」



 鎌足の手が、大きく払われる。



「一歩先駆けて〔裏論〕と〔論戦(ディベート)〕のなんたるかを実践と実戦の中で学び深め、明日から始まる〔模擬論戦(プレゼンディベート)〕に備えることが出来る。一歩先駆けて、他の生徒諸君に自分という存在の価値を〔売り込む〕ことが出来る。さあ、立候補者はどなたです?」



 鎌足が手振りで生徒たちに参加を促す。

 しかし、



「・・・」



 生徒達が生んだ沈黙に、鎌足は作り物の笑みが乗る頭を傾げる。



「どうしました?皆さん?立候補されないのですか?」

「か、鎌足主任。お話はわかりますが、いや、幾らなんでも相手が・・・」



 鎌足の問いと、それをやんわりと説得しようとする鞍馬を見て、一虎は鞍馬の反応が当然だと思った。

 なぜなら皆の視線の先の人物は、翡翠色(エメラルド)の瞳に何の興味も浮かべず、ぼんやりと虚空を見つめるアイン・シュバルツ仮名は、



「心配はいりません、鞍馬先生。アイン先生は、ただの〔次世代(ネクスト)〕大量殺人未遂の主犯です」



 皆は鎌足の笑み混じりの言葉に思った。



『だから無裏なんだろ!?』


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