表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
15/112

反咲

 深夜の質問に、敵対者の声が嫌味っぽく響いた。



「〔応答〕。先に名乗るのが礼儀だろ?」

「・・・〔戦論派(せんろんは)蹴撃系(しゅうげきけい)〕・〔裏論使い(ディベーター)〕、天出雲深夜」

「・・・なるほど、〔裏力(ストレス)〕の質である〔論派〕と、能力の〔系統〕。それを同時に示す〔派系(はけい)〕まで律儀に名乗るその潔さは、〔正論派(せいろんは)〕の馬鹿正直さとは違う。〔常に強者たろうとする論派〕、〔戦論派(せんろんは)〕の美学か」



 薄暗い部屋の奥から、人の動く気配。悠然と立つ深夜の側で、一虎は息を呑む。少年の後ろには、わくわくしている赫夜に、頭を垂れる桧王がいた。

 現れる、長身。上下灰色のスウェットを身に纏う、それは男。その両手を覆う黒革の手袋と、手首についた小型の円盤からタラリと伸びる、幾本かの細く白い〔糸〕。そして、顔全体の要所を覆っているのは白色はどうやら美顔パックであり、その上には〔楽〕の文字が横長にレイアウトされたアイマスクが鎮座している。

 奇妙な姿の少年が、名乗る。



「〔異論派(いろんは)操作系(そうさけい)〕、反咲(たんざ)柳児(りゅうじ)

「・・・〔異論派〕。〔目的のためなら手段を選ばない論派〕」



 深夜に言葉を向けられた少年、人相不明男、反咲柳児は、右手で背中まである寝癖のついた黒髪をボリボリかき、左足で右足の内ももをかく。

 だが、全身に倦怠感を纏って怠惰を表す少年の動きが、ハタととまる。



「・・・」

「「?」」



 片足立ちのまま糸が切れたように動きを止めた少年を見て、一虎と深夜に怪訝な色。すると、どうやら彼の従者だったらしい桧王が、口を開く。



「柳児様ハ、二度寝ニ入ラレマシタ」



 赫夜が面白がって反咲柳児に体当たりするまで、一虎と深夜は動けなかった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ