【七】神!そしてゴッド!
「貴様ァァ!!」
「おー怖っ。だがな、絶対俺には勝てないぜ♪」
余裕の表情を浮かべ、海斗はウィンクをしてみせた。
クレアは髪が逆立つほど、怒りをあらわにした。
そして、腰のベルトからもう一本、ゆっくりと鞭を取り出し、左手に持つ。
「ほぉ…二刀流ならぬ二鞭流ですかぁ!!……微妙ですよ、美しきお姉さん?」
「オォ、何言ッテルカ、私分カリマセーン♪ Excrement Brat!!(クソガキ!)」
「残念ですよー。俺、英語分かるんですよ♪ 何せMr.帰国子女!
それじゃぁ…FUCK OFF!(消え失せな!)」
「……SHUT UP!(黙れ!)」
「へへ。そろそろ本気で行かせてもらうぜ……」
そう言って、地面を強く蹴り、一気に間合いを詰めた。
悠癸や翔には劣るものの、その凄まじい跳躍力と早さにクレアは目を見開いた。
両手の鞭を振るうまもなく、海斗がふところに潜り込んできたのだ。
「美しき女性を殴るのは気が引けますが……。
すみません、やらないと翔に殺されるんです……。
Dead or Alive(生きるか死ぬか…)。
なんちゃって♪」
無駄に長々としたかけ声と共に、クレアの腹部に拳をたたき込む。
女性相手なので、本気と言いつつも軽くたたき込んだ。
だが、クレアは小さなうめき声と共にうずくまってしまった。
冗談ではなく、本気で平伏されたようである。
「ウ…コレハ一体…!? 体ガ重イデース…」
「だろ? 女性の味方の俺は、女性を傷つけることなく捕縛出来る最高にナイスな紳士だ!」
「マ、マサカ…。砂デハナク、重力使イデスカ! SHIT!(クソッ!)」
「はーっはっはは! 捕縛成功! 流石俺! まさに神! そしてゴッド!
はーっはっはは! それじゃ、さっさと終わらすとするかねー」
そう言って静かにクレアの元に近づき、その首に手を添えた。
そして優しく微笑むと、目をつぶった。
「それじゃぁ…おすみなさいませ♪」
声と共にクレアは気を失った。
どうやら海斗が、小さな重力球を首に放ったようだ。
「ハー…疲れたし、見張り兼で、ここでサボっておこうっと」
そう言って、気を失ったクレアの横に寝そべる。
そして静かな寝息を立てだした。
その上空を桜の花びらが飛んでいった……。
――クレア=アントワネット Vs 神谷 海斗
勝者 神谷 海斗――