【二】テイクアウトしたいなぁ
「え、侵入者? しかも相手は能力者? ユー君、それは本当なの?」
「あぁ、ジジィからの情報らしいからな、確実だろう」
「そぅ……。あれ? それじゃ、カケル君とカイ君は?」
「愛理……話聞いてなかったのか……?」
「……忘れた……」
思わずガックリ肩を落とす。
あれだけしっかり言ったのにもう忘れたのか……。
俺の努力はドコへ消えたー! チーズはドコに消えたー!?
凹んだままゆっくりと愛理を見る。
本人はコチラの気持ちに気づいていないのか、脳天気に笑っている。
チクショウ、可愛すぎだぜ……。
「だからな……。しっかり聞いてくれよ?
簡単に言えば、俺と愛理の班と、海斗と翔の班の二班にわかれるんだよ……
分かったかい?」
「分かった!」
不安だ……。絶対分かってない……。まぁヵヮィィから許すが……。
そう思いながら、愛理を見つめる。
もっとも、コチラの目線に気づかず、準備体操としてラジオ体操をしているが……。
動くたびに、制服のスカートがヒラヒラ動く。
今にも抱きしめたくなるほど、愛らしい。
……敵なんてどうでも良いから、今すぐ愛理をテイクアウトしたいなぁ……。
悠癸が危ない思考をしていると、愛理がこちらを向いて微笑んだ。
「はい、準備完了! それじゃ、行こうよ!!」
「……あぃよ……。張り切りすぎて怪我するなよ?」
「大丈夫!!」
……その自信はドコから来るんだよ……。まぁ、何があろうとも俺が守るがな。
心の中で密かに突っ込み、密かに断定した。
気合い十分のまま、ズボンのベルトに、妖刀『黒光』を差し、一番怪しそうな理科室を目指して歩き出した。
その後ろを愛理が早歩きで追いかけていった。