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婚約破棄の翌日に元婚約者が別の女をエスコートしていたので殴りましたが、私は間違っていません

作者: SUN3
掲載日:2026/04/16

王国立学校の卒業パーティーで、エリアは思いっきり扇子で元婚約者の顔を殴った。 


エリアは怒っていた。


「婚約者の私以外をエスコートするなんて、信じられない!」


頬を押さえたサーキットが、慌てて弁解する。


「昨日、婚約破棄しただろう!」


「昨日、婚約破棄したばかりなのになぜ、エスコートする相手がいるの!?」


そのとき――

ピンク髪の少女が、サーキットにしなだれかかる。


「あ、あなたがエリア様ですね?サーキット様を責めないでください!」


エリアは少女を指差し、声を荒げた。


「あんたも悪いに決まってるじゃない! 信じられないわ! 昨日、婚約破棄したばかりなのに、別の女と卒業パーティーに出るなんて! バカなの?」


サーキットは少女を庇うように前に出る。


「待て。婚約破棄は昨日だが、申し入れたのは随分前だ、だから――」


少女は彼の背に隠れながら、震える声で続けた。


「サーキット様はずいぶん悩んで・・・やつれてらっしゃいました」


その言葉を聞き、エリアの怒りはさらに燃え上がる。


「はあ!? 何を言っているの!ちゃんと月に二度もお茶会してあげたし、学園でのお昼ご飯も食べてあげてたわ!」


サーキットは顔を覆いながら、吐き出すように言った。


「その時間が、辛くて耐えられないと何度も言っただろう。

成績を他人と比べて笑われて、剣で負けた日は何時間も責められた。

お昼ご飯に付き合っていたのは、僕に瑕疵が無いよう無理して一緒にいたんだ。」


「わからないわよ! バカ、バカ、バカ! 私、帰る! お父様、帰ります!」


エリアの父が一歩前に出る。


「サーキット君。婚約破棄したばかりなのに女の子を連れてくるのは軽率だよ。後日、君の家と話し合いの場を設けよう。エリア、帰るぞ」


「ええ、早く!」


卒業パーティーの喧騒の中、この騒動はやがて紛れていった。



帰宅後――


エリアは枕に当たっていた。

ドスドスと、何度も殴りつける。


「なんで! 私が! 卒業パーティーで! 振られなきゃならないのよー!」


その様子を見ながら、弟のコリオは内心で呟く。


(その性格じゃないかな……)


「ピンク髪のあの女、どこの誰なのよー!」


「パン屋の看板娘です。毎朝のランニングで出会って、愛を育てたとか」


「はあ? 貴族ですらないの? バカじゃない!」


怒鳴られ、コリオは一歩下がる。


「僕に当たらないでくださいよ。そんなにヒステリックだから振られたんじゃないですか?」


「なによ! 私が悪いって言うの!」


枕が飛んできた。


コリオはそれを避けながら、淡々と言う。


「剣の腕を他人と比べたり、首席じゃないと責めたり。ずっと人を見下す言い方してたじゃないですか。愛想尽かされたんですよ」


「私はハッパをかけただけよ!」


「言う側はそう思ってても、言われる側は違います。言葉の暴力が多い人と一緒にいるの、きついんですよ。僕も姉上のこと嫌いですし」


「本当のことしか言ってないわ!」


「追い詰めて支配しようとしてくる人とは、ちょっと無理です」


「ちょっと! あんた、弟だって言っていいことがあるわよ!」


コリオはため息をついた。


「姉上はまず、“言っていいことと悪いこと”を覚えた方がいいですよ。サーキット様を追い詰めたのは、姉上なんですから」


エリアは腕を組み、吐き捨てるように言った。


「私は間違ってないわ」


コリオは何も言わなかった。

言っても無駄だと知っているからだ。


「婚約を破ったのは向こうよ。

義務も責任も理解しないで、恋愛ごっこに逃げたのはあっち」


静かな部屋に、エリアの声だけが響く。


「私は正しいことしか言ってない」


その言葉に、もう反論する者はいなかった。


――最初から、いなかったのかもしれない。


コリオは、何も言わないまま部屋を出た。


扉が静かに閉まる。


その音にさえ、エリアは振り向かなかった。


「……私は間違ってないわ」

現在、連載中です。ぜひ見に来てください。

乙女ゲームのバッドエンド絵師、ゲーム世界に転生する 〜バッドエンドしかない世界で、運命を捨てる〜

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