規格外
「あと王都までどのくらいだ?」
「あと二日くらいで着きそうですね!」
「近いっつってもとおいなあ」
「だから飛びましょうって言ったじゃないですか!」
「せっかく冒険者になれるんだ!!自分の足で歩きたいの!!」
「まったく変なプライドですね・・・。あ、右から魔物です」
「わかってるよ~それくらい」
「全く警戒しないのも冒険者としてどうなんですか・・・」
そうこうしているうちに、右方向から巨大な魔物が現れた。
「・・・カマキリ?」
「バカみたいにでかいですね・・・。まあ雑魚ですが」
「君たち~!!大丈夫か~!!」
遠くから声をかけられる。この世界で初めての人!!
振り向くと、いかにも冒険者って感じの男女4人組がこちらへ走ってきていた。
「けがはしてないか!?」
「え、ええ。大丈夫ですよ」
「だめじゃないか!!武器も持たずに散策だなんて!!」
武器を持つ必要がなかった、とはいえないよな~。
「武器なんていりません!!」
「ちょっ!?」
言いやがった!!
「私たちはレベル99・・むぐっ!?」
俺は咄嗟にレコの口を塞ぐ。
「あはは・・ついうっかりしてまして・・・」
「まったく・・・サラ!ガンタ!大物だ!行くぞ!」
「あいよ!」
「任せて!」
前衛二人に後衛の魔法使いか。いいねえ!
「ぷはっ!ちょっと主様!?」
「いい?俺は冒険者をやりたいの!確かに無双もしたいけど、謎めいた、謙虚でダークに行きたいわけ!!力は言葉じゃなくて、実績で示したいんだよ!!」
「なるほど!主様の高尚なお考えを察することが出来ず、申し訳ございません!!」
「よしよし、いいか?俺たちは村から出てきた新米の冒険者だ。レベルも15しかない。いいな?」
「はい!!」
「徐々に頭角を現すんだ。だから今は、我慢な?」
「はい!!」
魔物に目を向けると、3人の冒険者とほぼ互角に争っていた。おおきなはさみで剣士を攻撃するが、剣士はそれを止め、もう一人の前衛、リーダーが斬りかかる。もう一方のはさみで止めたと思えば、後衛の魔法使いが炎魔法を放っていた。
「ファイヤアロウ!!」
炎は矢のごとくまっすぐ飛び、魔物に傷を負わせる。その繰り返しだった。
「レコ、どう思う?」
「冒険者はレベル85前後かと。魔物は90前後ですが、チームワークで差を埋めています。おそらく、冒険者が勝つでしょう」
「じゃあ、このまま観戦と行こうか」
しばらくした後、魔物にとどめが刺された。
「助けていただき、ありがとうございました!」
「君たちは?」
「私たちは、とある村からやってきた、冒険者志望のものです。私がコウタで、こっちが相棒のレコです」
「あいぼっ!?・・・レコです、よろしく」
「あのなあ、冒険者志望なら、せめて武器ぐらい持とうぜ?」
「すみません、ついうっかり・・・」
「気をつけろよ?俺はシン、こっちが剣士のガンタで、こっちが魔法使いのサラだ」
「あなたたちは冒険者なのですか?」
「ああ、俺たちはC級の冒険者だ。まだまだこれからってことだな。でも、絶対S級になってやるんだ!」
「S級になるために、何か条件があるんですか?」
「そりゃ、実績がいるだろ?具体的には、レベル450以上の魔物討伐の実績だ。S級になれば、王様直接から、魔王討伐の依頼が出されるって訳だ」
「魔王・・・」
「ああ、推定レベル500以上、まさに怪物だ。現在S級冒険者は三組いるが、そのどれもが魔王に挑み、返り討ちに遭っている」
・・・どうやら、俺たちは本当に規格外のようだ。
「おいおい嬢ちゃん、いくら何でも冗談きついぜ?」
「だからあれくらい私たちが倒せたの!!」
俺は諦めた。レコは何を言っても多分もう止まらない。
俺たちはシンの好意によって、ともにキャンプをしていた。
「でもよ、武器も持っていないのにどうやってあいつと戦う気だったんだよ?」
「武器は持ってるっていってるでしょ!?」
「じゃあ見せてみろよ!」
「ここでは出せないの!!」
「なんでだよ!?」
「出す必要がないから!!たやすくポンポン出すものじゃないの!!」
「なんだよそんな武器?」
「むっか~!!主様~!!」
「あなた相棒に主様とか言わせてるの!?どんなプレイを・・・」
もう好き勝手言ってくれ。俺は知らん。
「では、私は少し休んできます・・・」
俺は逃げるようにテントに入り、そのまま眠った。




