きっかけ
「これが・・・異世界!!」
「そうです。ここが、今日から主様の拠点となる最初の異世界です」
「そうか・・・でも、本当に出来るの?」
「ええ。あなた様の力なら、いとも簡単に」
俺はいじめられていた。学校では気持ち悪いと罵られ、殴られ蹴られ、笑いものにされ、家に帰れば邪魔者扱い。罵声を浴びせられる毎日。
でも、抵抗出来なかった。俺は弱いから。抵抗したところで無駄だ。そう思っていた。
ある日、どうしてもこの現状がいやで、少し反撃したんだ。別に効果的な攻撃でもなく、その後ボコられたが。でも、そのとき何かが俺の中で目覚めてしまった。何かが燃えるような、体が熱くなったんだ。
その日の夜、いつものように罵声を浴びせられ、やっと眠りについた。
「お目覚めですか、我が主」
「・・・へ?」
そこは何もない。真っ白な空間だった。
「主様、お帰りなさいませ」
声だけが聞こえる。
「・・・君は?」
「私は主様に作られた記憶です。名は、アカシックレコードと言われました」
「・・・」
アカシックレコードだって!?世界のすべてを記録するとんでもないもの・・・
「なるほど・・・夢か」
「確かに夢ですが、夢ではありません、主様」
「夢じゃん」
「私は体を持たない概念のため、夢枕に立つことでしか主様に干渉できないのです」
「ふーん」
どーせ夢だ。信じてみようじゃないか。
「で、そのアカシックレコードさんが俺に何のよう?」
「主様、あなたは特別なのです」
「はあ?」
「あなたは現在、誰もから忌み嫌われ、蔑まれています。それは神々があなたを抑止するためなのです」
「つまり俺は神様からさえも見放されている訳か・・・」
「そうともいえますが、正確には神々はあなたを恐れているのです」
「はあ?」
「神々はあなたを悪の始祖、悪魔と呼びます。それはあなたが神々の中でも圧倒的な力があったためです。それ故、あなたは神々に天界を追放され、最期はだまし討ちで封印されたのです」
「過去の俺は相当な奴だったんだなあ」
「その通りです。私が作られたのも、復活した際に事実をお伝えするためです。これからあなたのことについてお話しします」
「先ほど言ったとおり、あなたは悪の始祖です。しかしあなたはもともと、神々の力を凌駕する、圧倒的な、神でした。つまり、あなたは悪ではなく、裏切られただけなのです。あなたはそれに怒りましたが、同時に面白がっていました。なので主様はこの世に存在するたくさんの世界に「魔法」と呼ばれる力を与えました。さらにすべての世界に主様の力
を象徴する七連星を作り出し、空に浮かべました。最期に、だまし討ちをされたのにもかかわらず、封印解除の条件を自分で設定し、さらに私を作り出したのです。私は概念として作り出されたので、神々でも手を出せませんでした。さらに封印解除の方法は、受肉候補者が世界に抵抗したときです。あなたは無駄だとわかっても抵抗しました。よって、あなたの中にある本来の主様の力が解放されました!」
「へ~」
「これはすごいことですよ!!なにせ全世界を敵に回しても絶対に負けない最強の力ですから!!」
「そーなのかー」
「信じてませんね・・・。まあ無理もないでしょう。しかし、私の役目は伝えることです。ここであなたに魔法と、あなた特有の力について伝えます」
そうして、俺は夢の中だからか、よくある異世界小説に出てくる魔法をかたっぱしから習得した。
「これが現実にあればな~」
「だから、あるんですって!目覚めたらやってみてください!」
「で、次は?」
「・・・ここから大事な話をします。」
空気が変わった。重い。なんだこれは!?
「主様が作り上げた、七連星。あれはそれぞれ主様固有の力を宿しています。主様が使いたいと思ったときに自由自在に力を行使できますが、それぞれが魔法とは比べものにならない強大な力です。取り扱いにはご注意を。」
「わ、わかった」
「では最後に、前世の主様から伝言を!」
空気が一気に軽くなった。
「自由に生きろ、だそうです!」
「ハッ!」
俺はいつもの見慣れた天井を見ていた。
布団から体を起こす。
「・・・変な夢だったな」
本当に魔法が使えたらな~と思いつつ、習ったような感覚で魔法を発動させてみようとする。
ボッ
「・・・あれ?」
俺の指先が燃えている。明らかに燃えている。
俺は急いで薬局に向かった。なんだか心なしか足が軽い気がする。
睡眠薬を買って戻ってくると早速飲んで眠りにつく。人生で初めて学校をずる休みした。親が俺に興味がなくてよかったと初めて思った。




