その5
早速、モンテネグロからエコノミークラスで飛行機に乗った、フランクフルト空港で乗り継いで、ロサンゼルス国際空港へ到着し、そこからスピリット空港までまた飛行機で飛んだ。スピリット空港に着くと、そこから送迎バスに乗り、エクスカリバーホテルを目指した。
夕方頃のラスベガスは日本では夏なので、ここでも立っているだけで、次第に汗を掻くほどだ。気温40度だから仕方がない。
「あちちちちっ、暑っついなあ。ここが、ラスベガスかあ」
「はあ~っ、疲れ~た~。あんたよく疲れないわね。長旅よ。長旅。多分、飛行機で世界半回転旅行したのよ」
「一回転じゃなくて良かったじゃー」
「さて、エクスカリバーホテルから、一番儲かりそうなカジノを探すぞ」
「え?! 一番儲かりそうなカジノを探すの? 見た目で? それは、難しいわねえ」
「一番破産しそうなカジノなら、ほれ、そこらじゅうにあるじゃろう」
黒木じいちゃんは、そこで俺に振り返り。
「……相田さんよ。一つ忠告しておこうか。お前さんが勝つ時は、同時に破産しそうな時でもあるじゃろう。ギャンブルで本気で勝ちたいと思うのなら、ここ一番という時は決して熱くなってはいけないものなんじゃ」
俺の顔を真顔で見つめて言いだした黒木じいちゃん。その真顔の迫力に俺は真後ろに下がるほど気圧されてしまった。黒木じいちゃんは本気だ!
「うお?! わかったって、わかったって。わかったから」
「あ! あのカジノ!! あそこなら、ここら辺で一番一攫千金できそうよ! 今入った人たち見た? 服装からして、かなりの大金持よ! きっと、大金持がたくさん入るカジノが一番儲かりそうなカジノよ!」
佐藤が、ビルとコーヒーレストランの狭間にある巨大なカジノを指さした。




