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インクレディブル・ラッキー・HEAVEN  作者: 主道 学


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その8

「ほれ、ディーラーのアップカードがAじゃ。要するに、またディーラーのブラックジャックが出たとしても、ちっともおかしくはないんじゃ」


 黒木じいちゃんの示すように、ディーラーのカードはAだった。


「じゃあ、どうするんだよ。黒木じいちゃん?」

「インシュアランスじゃよ。この場合は保険を掛けるんじゃ」 

「???」

「ほれ、その500万ドルの賭け金から、100万ドルだけ保険を掛けるんじゃ、残った400万ドルチップで勝負したとしても、勝った場合は、配当金が少なくなるわけではない。どっこい3倍になるんじゃよ」

「ふーん。じゃあ、12憶円か。あれれ、それだと、3憶足りないんじゃないのか? 違うのか?」


 俺は500万ドルのチップから100万ドルチップだけを、保険にかけた。

 黒木じいちゃんは、ゆっくりと頷いた。そして、目を逸らすかのように首を向こうへむける。


「そうじゃ、これはハリストス復活大聖堂の維持管理費用だけが残る勝ち方じゃ。すまんの。これしかなかったんじゃ」

「へへっ、いいぜー! それでも、この勝負に賭けてやるぜ!! ディーラーさんようノーモアベットを頼むぜ!!」


 ディーラーは、レイアウトの人達が賭けおわるのをみて、こっくりと頷いた。


「イーブンマネー?」


 ディーラーが、勝ち誇った顔をした。すでにアップカードは「A」だったからだ。


「イーブンマネーでは、配当金が1倍しかにならないんじゃ」

「ノーだ!」


 俺は即座に首を振る。


「ノーモアベット」


 チャイナドレスの女性が合計点17。


 侍姿の男性も合計点が11。


 アラブ人の男性が合計点が22。


 俺がQとAで合計点は?。


 カジノディーラーがAと9点札だった……。

 

 

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