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他国からの強襲を受け流してファルスティンは状況を確認する。

次回の更新は明日の18時です

食料を献上させてやるよと言う「御心が優しい」王国からのお手紙を捌きつつ、

用意されている書類の処理を続けるライセラスだった。

オースヴァイン王国に対して警戒を強めていた彼等にとって、

領内にある別の港湾都市に対しての宣戦布告の様な事が唐突に行われた報告来たと思ったら、

早い話が砲艦外交といに相応しい状況で、

その行動の推移は外交というには稚拙な交渉が始まり、

凄まじいほどの速度で交渉の内容は悪化決裂したのである。

報告書読み返答をすれば直ぐにでも事態が進み状況が変わっていく。

そのレスポンスの良さにライセラスは呆れ一体相手はどれだけ、

交渉をする気が無かったのかと突っ込みたくなっていた。


「あまりにも話の進み方が速すぎるな…」

「それだけ相手も焦っていたという事でしょう…」


そして戦端が開かれたと思えば、圧倒的な速さで戦いは終わったのだ。

都市ギネヴィアは天才ゼファードの娘ギネヴィアが統治する場所である。

基本ゼファードはファルスティンに対して友好的であり、

その根底は娘が住まう地が安住の地である為ならばその頭脳を出し惜しみすることは無い。

大切な愛娘が住まう都市が無防備であるはずもなく。

ハリネズミの様に武装しているのである。

この時代にしてはオーバースペックの兵器が当然の様に多数用意されていた。

都市ギネヴィアは城塞都市の様な部分を中心に徹底した防御用兵器が、

これでもかという位に設置されており、

攻撃は最大の防御を実行する為に多数の投射砲が隠されて設置されているのである。

そんな中に都市を制圧しようと入り江に突入して来た木造船がどうなるか…

考えるまでもなく粉砕させられまともな戦闘になることすらなかった。

結果として完全降伏する事になった敵国の面々は、

もう一度交渉をしたいと願い出て、

攻撃された恐怖から逃げたかったのか乗船していた責任者が、

必死になって下船してきたのであった。

最高賞と言いながら求めてきたのは自分達責任者の保護。

それは「亡命」したいと言う申し出であった。

その対処をどうすればいいのか。

都市ギネヴィアで戦闘の責任者となっていたエルゼリアは、

判断を兄に委ねるべくライセラスに詳しい報告書を送ったのである。

推移の報告は聞いていたとはいえ、

エルゼリアのまとめた補足資料と報告書を見たライセラスは、

しばらく硬直して対処に悩む事になる。

先制攻撃を受けるとしたらオースヴァイン王国だと考えていた、

ライセラスとターシャは予想外ではあったのだがその交渉で、

懐かしい名前を聞く事になったのだ。

宣戦布告して来た国家はデルフィナス王国と名乗ったらしく…

外交に疎いライセラスですら「知っている」国家だったのである。


「懐かしい名前が出て来たと、思うべきなのでしょうか?」

「ターシャも遠目には見ていただろう。

あの格好を忘れた訳では無いだろう?」

「それは、まぁ、アレが、同性として同情せざるを得ませんでしたから…」

「この国の「美しい王族」の形なんだと思って我慢するしかない」

「そう、ですね」

「他者だから遠目て見ていられる。アレを着たエルゼリアの姿は見たくない」

「同感です」


少し記憶を遡れば夫妻の想いでの中。

凄まじい学園の風景を思い浮かべえる事が出来るのだからたまらない。

少し調べれば芋ずる式で余計な事まで穿り返されれる最高の観察?対象であり、

この国の王族に関わる事なのだから「美しい」情報は腐るほど噴出してくるのだ。

ライセラス達にとっては学園の同学年だから調べる必要が無かったと言うべきなのかもしれない。

少なくとも「表向きの情報としては」だが。


ライセラス達の学生時代はあらゆる意味で恵まれていた。

何せ二人の王子が学園には在籍しその周囲は華やいでいたのだから。

第1王子であるアルヴァンの一つ下レヴァンズ第2王子の下には、

自身の妹であるエルゼリアと同じ立場に立たされそうになっている他国の姫が、

付き従わされていたのだから仕方がない。

それはライセラスにとっての妹の未来の姿の見本でありであり印象深く、

けれど他の生徒にとっては別にどうでも良い存在程度にしか感じられない事だったのだ。

オースヴァイン王国にとって第2王子はスペアである。

その為に影に隠れる存在であった。


当時学園内の中心は王国として相応しい「優秀」な存在となっていた、

当時の第一王子アルヴァンであり、

その優秀さに裏付けされて予定通り王太子となるために、

オースヴァイン王国に相応しい王太子としての道を歩み始めていた。

王室を厳格に守る王太子夫妻の順調な国家運営とその周囲に付随する優秀な家臣団。

そしてその家臣団を支える使い捨ての「お道具」も充実していた事で、

次世代の繁栄は表向きは約束されていた。


そう言った決まった未来の為に協力するのも第2王子レヴァンズの役割だったのだ。

王太子の陣営が盤石なのであれば今度はその盤石な国家運営を助けるために、

第2王子も役に立つ婚姻を結ぶ必要が出てくるのは必然なのだった。

当然だがその選定には困難を極める事になる。

本当の内情はどうであれオースヴァイン王国は一応大国であり、

先進的な部類に入る国なのだ。

無論「ハリボテ」とか「砂上の」とかが言葉の前には付くスレスレであるが。

ともなればお相手は選び放題となる事はない。

送り出す相手側の姫が苦労する事が目に見えて解っているのだから。

隣接する国家との関係は良好と言える相手など皆無なのだ。

何時火花が飛び散り着火して戦争になってもおかしくない状態なのがほとんどだ。

そんな外交関係の悪い国に姫を嫁がせる意味。

それは人質として生贄を捧げる事と同義なのだ。

故に国境を隣接する国から姫を貰い受ける事は出来ず、

逆にレヴァンズが隣国に婿入りするなんてありえない。

そんな中で現在のオースヴァイン王国であったとしても相手に要求を突き付けられ、

良いように扱う事が出来る「姫」がいる王国として、

選ばれたのがデルフィナス王国なのである。



「国」の大きさとしては釣り合いの取れない国家であると共に、

海上の輸送屋としての立場でしかないデルフィナス王国。

それを何故迎え入れる事になったのか、

他国から見れば疑問を持たれる様な相手だった。

国民は半海上にフロートの様な大型建造物を浮かべたり陸上を削って、

埋め立てたりしてその生存場所を増やすしかない様な半島国家であった。

けれどどんなに工夫したとしても拡張には限界がある。

その限界としてこれ以上固定型の浮船を増やせない。

僅かに残った陸上で材木を効率よく伐採して浮船を作ろうと、

その反対側で古くなった浮船はこれ以上浮かんでいられず沈んでいく。

作る端から沈んでいく木造船のジレンマと戦い続けるしか

デルフィナス王国には選択肢は無かったのである。

増え続ける国民とその居住地を確保するにはその崩壊しかけた、

泥船のを修復し帳尻を合わせるしかなかった。


そんなデルフィナス王国はギリギリの運営体制を続けていた。

けれど転機が訪れてしまい更に良い意味で悪い事は続いてしまう。

交易は上手くいっていたから大金を稼ぐことが出来てしまったのだ。

国を挙げての好景気が国家の潤し今までに類を見ない発展が始まってしまう。

それは足りない資源を購入する事が出来無作為に材木を入手。

浮船は拡張され人口は更に増える結果となったのだ。


国家運営と言う意味でデルフィナス王国は決して悪い国ではなかったのだ。

増え続ける国民に対して「稼げてしまった」から領土拡張の為に、

他国から材木を買い、海上に都市を建設する。

「大量に購入できた材木」によって海上に建てる家は増えていく。

住む所が出来れば当然人が増える。

そしてまた材木を大量に購入してを繰り返してデルフィナス王国は海上へと、

国を広めていく一連の好循環は決して止められる事ではない。

けれどその好循環が国家の体制を変えてしまったのである。

交易で材木が手に入る事が前提の国家運営が当たり前になっていたのだ。

小国故に許された暴挙。

地に足を付けていない砂上の王国がその時誕生していた。

無論当時のデルフィナス王国の国王もその事には気づいていた。

気付いていながらそれでも国が豊かに見える事。

そして海上とはいえ国土を広げる事に成功した賢王と称えられる事になり、

都合の悪い事実に蓋をしたのだ。

いつまでも海上都市なんて続けていられない。


今は良い。

けれど未来で国家運営が不安定になる事は未来の国王に任せると、

考える事を辞めたのだ。

新しい移住地の開拓。

この海上都市が済めなくなった時の退避場所。

非常事態に備え新たなる土地を探し求める事はしなかった。

交易する量を増やす事。

木材を買う資金を稼ぎ続ける事だけに国力を集中したのだ。

いつかこの拡張路線に限界が来る。

その前に余裕が出来たら新天地を探せばいい。

「いつか」「余裕が出来たら」そう言い訳をしながら膨張を続けたデルフィナス王国は、

ついぞ新天地を探す事をせずにその国力の増大させたのである。


だが限界が来てしまったのだった。


その時のデルフィナス王国は利益を出す為に交易路を維持する事で精一杯。

新天地を探しに行く余力はなかったのである。

探そうと考え行動しようとした時にはもう手遅れとなっていたのだ。

一応新天地を求める為に派遣する艦隊は出来上がっていた。

けれどそこに人員を振り分けると国家として輸入しなければいけない、

新しい材木を手に入れられるだけの稼ぎを交易で得られない。

それは体制の維持が出来なくなる。

王家に批判が向く事になる。

今まで賢王と称えられてきたデルフィナス王国国王は、

その汚名を被ることを良しと出来なかったのだ。

「今」のデルフィナス王国の大きさを得るには交易を続けるほかなく、

中途半端に上手くいってしまっていたデルフィナス王国の人口は増え続ける。

拡張を辞める訳にはいかなかったのだ。

けれどこのデルフィナス王国の国家運営は破断する。

いや、「破断させられる」事が決まっていた。


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