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暖炉のある洋館でその事件は起こった。

作者: まさき



人里離れた山奥に佇む大きな洋館。

そこにはある老人が数人の使用人と共に俗世間から隠れるようにひっそりと暮らしていた。

そこで殺人事件が起こったのだ。

長年体を病みベッドにほぼ寝たきりだった老人が何者かに殺された。

死因はおそらく首を絞められたであろう窒息死。

が、首にはなんの痕跡も見られず、凶器がわからなかった。

外部からの侵入者もなく、誰かがこの洋館を訪れていたわけでもない。

よって、容疑者はこの洋館に住む数人の使用人に限られていた。

第一発見者である使用人頭の峯岸の通報で洋館を訪れた刑事部の新人刑事早瀬 すぐるは容疑者一人一人の情報をメモにまとめる。


容疑者その1。

峯岸圭子。

使用人頭で、もう何十年も老人と共に過ごしてきた。

年齢は73。

若い頃は相当な美貌だったことが伺える清潭な顔立ちをした眼光の鋭い女性だったが、その細身の体つきを見るに、老人を絞め殺すのは不可能に思える。


容疑者その2。

峯岸拓郎。

圭子の実の息子。

50代で医師の免許をもつ。

雇い主である老人の専属医師として10年以上老人だけを診続けてきた。

気弱な他人とのコミュニケーションが苦手な寡黙な人物。


容疑者その3。

畑中美奈子。

看護師。35歳。

拓郎同様、老人の世話をするために雇われた専属の看護師。

おっとりとした性格で老人にもかなり可愛がられていたらしい。


優はメモを見ながら事情聴取として一人一人と話した時の様子を思い出し、頭を抱えた。

容疑者はそれぞれ老人に何かしら動機になり得るかもしれない不満を抱えていた。

一番闇が深いのは、やはり、一番長く一緒にいる圭子だろうか。

だが、圭子の体系では老人を絞め殺すのは無理だろう。

では、息子の拓郎と共謀したのか。

気弱でただ刑事であるというだけで、年下の俺と話すことすらままならない彼に、殺人などという大それた真似ができるだろうか。

美奈子は唯一、不満と言っても、こんな山奥だと買い物に行けない、美味しいものを食べに行けない、と言う軽い不満を抱えていただけなので、容疑者と言うには動機は薄いだろう。


問題は、彼らにはアリバイがあると言うこと。

殺害現場である老人の寝室の前の廊下には監視カメラが取り付けられていた。

その監視カメラに殺害時刻部屋に出入りした人物は映っていなかったのだ。

老人の殺害時刻よりも4時間も前に拓郎と美奈子がその夜の診察のために寝室へ入り、2人揃って15分後には退室している。

その後、夕食を運んできた圭子が部屋へ入り、またその30分後に食器を片付けに来て以来、朝圭子が老人の様子を見に来るまで監視カメラには誰も写っていなかったのだ。

寝室は3階にあり、ベランダなどもなく、窓からの侵入も考えにくい。


動機、凶器、アリバイ・・・。


老人が亡くなった寝室を見回していた優の目にあるものが飛び込んできた。


「もしかして・・・・」


優の脳裏に一つの仮定が浮かぶ。



さぁ。

あなたには、この謎が解けるだろうか。




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