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それさえも嘘なのかしら?

 私は父に愛されていない

愛されたこと等ないのだろう……………


母が生きていた頃は、母と祖父母に愛されていたと思っている

今も母の愛だけは、真実だと感じているけれど………………

メリールーには、全てが過去のことなのだ







私イザベラの家は伯爵家。

勢いのない中流、いえそれ以下かしら。


母の喪が明けた後、新たに嫁いできたのは男爵家の令嬢。

16才の私と3つしか離れていない。


確かにお父様はまだ若く美しい顔をしているが、もう35才。

商売で潤う成金の娘なら、引く手あまただろうに。

16才も年の離れた子持ちの伯爵家に嫁いで来たのだ。





結婚前の彼女は――――――――――――


若くて愛らしい(かんばせ)の彼女はメリールー・ノクターン男爵令嬢。

小柄で小動物のようなあどけない姿は、万人が好むだろう。

大きな琥珀の瞳で微笑まれたら、堅物の紳士でさえ貴族然とした顔ではいられず、締まりのないにやけ顔を抑えられない。


淑女教育が行き届いていないのか、彼女は年齢のわりに肉付きが良く豊満な肉体だった。

普通ならばドレスが良く映えるように、食事を節制(ダイエット)するだろう。

彼女にはそれが無かった。

婚姻前から、嫁いだ後の気の緩んだ御婦人のような雰囲気だった。

かと言って、結婚の相手を探すようなギラツキもないのだ。

肉感的な視覚は、男達の目を釘付けた。

そして常に、男達が彼女を囲んでいるようだった。


赤い髪に、ぽってりとした唇。

その唇も髪より鮮烈な赤い紅が引かれ、色気を際立たせる。



「そこの貴女、婚約者のいる方に近すぎですわ」

「そうですよ、まるで商売女みたいじゃない!」

「その胸の開いたドレスは、年若い女性の着るものじゃないわ」

等など………………


時折女性達から声が上がるも、彼女は顔を手で覆い隠して震える。


「申し訳ありません。礼儀がなっておらず失礼ですよね。私すぐ帰りますので、お許しください」


そう言ってカーテシーではなく深く頭を下げる姿は、弱々しく可哀想に見えた。


周囲の、特に男性達は思う。

教育不足の男爵令嬢。

実母が死んで、引き取られたばかりの憐れな娘。

平民上がりにそこまで言わずとも……………


今度は言った令嬢達が矢面に立たされる。

「何よ! 私は間違っていないわ。男爵令嬢と言えど、彼女の振る舞いをそのままにすれば、他の男爵令嬢に傷が付きます。これは、正しい行いができる為の忠告ですわ」

「そうですわ。貴方達もしっかり拒絶して下さらないと」

「淑女足る者、最低限のマナーは必要ですわ。引き取られて、既に1年も経つのにこれでは……………」


婚約者のいる令嬢達は、彼女を牽制した。

寧ろしなければならない場面。

上位貴族が遣られたままでは、家門にも傷がつくから。

彼女に侍る婚約者達も許せないが、原因を除去するのが優先される。


周囲にキツイ印象を抱かれても、退けないのだ。



「彼女も反省しただろう。そのくらいにしてあげなさい」

殺伐とした夜会に声を掛けたのが、サイラム・アルティメット伯爵。

私イザベラの父でした。

母は病床におり、父は友人の付き合いで参加した夜会。

このことは、従姉のヨハンナから後日に聞いた話なのです。

(私の年齢では夜会に参加できませんので、聞き伝えられたものだけなのです)






これも彼女から聞いたことなのですが、父は彼女を知っていました。

正確に言えば、彼女の母マーガリンを。

平民の花屋の1人娘で、花のような明るい元気な女性だったそう。



※ここからはマーガリンの両親の視点となります。

当時既に結婚していたノクターン男爵に、付きまとわれていた。

そしてある日姿を消し、4ヶ月に戻ってきた時は身籠っていたのだ。


当時15才。16才になれば、幼馴染みの魚屋の息子と結婚する筈だった。

ノクターンはそれを知っていて、妾になるように言い寄ったのだ。

行方不明になった日は、ノクターン男爵が妾契約の確認に来た日。


幼馴染みとの結婚を理由に、彼女の両親は断りを入れた。

それを見越していたように、貴族に対して無礼だと言って彼女を連れ去ったのだ。


彼女を連れ戻しに男爵家に行っても、ここには居ないと門前払いされる両親。傷心のまま探し回るも手がかりはない。

そして一番怪しい場所は探せないのだ。


そんな中で帰ってきたマーガリン。


彼女は、窶れ焦点の合わないほど疲弊していた。

それでも両親は、帰ってきた娘を愛おしく抱き締めていた。

娘も声は出せないも、滂沱の涙を流し続けた。


マーガリンは望まぬ行為で身籠ったも、産まれた子を愛したのだ。


両親はその子を養子に出し、マーガリンに他の土地に嫁ぐことを薦めた。

その子には罪はないけれど、マーガリンにも罪はないのだ。


ノクターン男爵の罪により出来た子を、マーガリンが苦労して育てることを両親はよしとしなかった。 親としては当然の気持ちだろう。


それでもマーガリンは、その子と生きると決めた。

両親を説得の上、マーガリンは出産しメリールーを育てたのだ。


花屋の元気娘は、子供と一緒に元気に働いた。

近所は皆顔見知りで、贅沢はせずとも暮らしていけたのだ。

メリールーの祖父母も、彼女を受け入れて穏やかに過ごしていた。

幼馴染みの魚屋とは、結婚せずのシングルマザー。

幼馴染みは全てを知っても結婚を申し込んだが、マーガリンは固辞した。 一生負い目を背負うより、友人で居て欲しいと言って。


1人で生きるのは大変なことだが、マーガリンは割りと頑固なのは幼馴染みも知るところ。 彼は黙って別の人と結婚したのだ。 ただその後も、友人として交流は続いていく。



平穏な日々のある日、ノクターン男爵夫人が来店した。

そして鬼の形相で叫ぶのだ。


「お前達のせいで私の息子は死んだ。息子はお前達のことを知っていたから、時々花を買いに店に来ていたんだ。その帰り道に馬車に轢かれて死んだのだ。お前達のせいだ。ウワッー」


そう言って、花屋の花や鉢を破壊していく。

止めようとしても、彼女の護衛騎士が邪魔をして動けない。


結局、彼女の気の済むまで店は破壊された。

ノクターン男爵に訴えることも出来ず泣き寝入りなのだが、それでも彼女の気持ちが解るとマーガリンは言うのだ。


彼女の息子は、異母だとしても自分に妹が居ることが嬉しかったようだ。その為少しの援助の気持ちで、遙々ここに花を買いに来ていた優しい人だったのだ。


「彼女は子供が1人しか出来ず、男爵家で苛められていたみたいなの。その子が亡くなり、ノクターン男爵はどうするか。酷いことにならないと良いけど。それに子を亡くす辛さは解るつもり。私だってメリールーが、もしそんなことになれば辛くて辛くて、誰かに八つ当たりしたくなると思うもの……………」


そう言ってメリールーを抱き締めるマーガリンに、周囲は暖かな目を向けていた。



結局男爵夫人は離縁され、実家に戻っていった。

ノクターン男爵はそんな男だと、皆解っていた。

きっと直ぐ、若い女と再婚するだろうと。



案の定、金の力で若い没落貴族(男爵令嬢)を妻に迎えたノクターン男爵だったが、生活の不摂生で男性機能が発揮出来ず子ができないと噂が立った。 それは事実であり、その頃から若い夫人は暴力を受け始めた。


「お前に魅力がないから、抱けないのだ。もっとちゃんと奉仕しろ」等と言い掛かりをつけられる。 それでも金で買われた夫人は逃げられない。


「すみません、旦那様。堪忍してください。すいません。すいません」

悪いのはノクターン男爵で、完全な八つ当たりだ。

自分の非を認めない愚物。

結局夫人となった娘は、酷い怪我を負わされ精神に支障をきたして入院した。 逃げ道もなく我慢した末の悲劇な為、ノクターン男爵から娘の生家への苦情はなく、3ヶ月持たない結婚だが結納金の返還等も言われず安堵していたと言う。 ノクターン男爵の兄達は侯爵位を持つ高位貴族達の為、娘の親が慰謝料を訴えることは現実的ではない。 ここらが落とし所だった。 

娘はたぶんもう戻らないが娘の兄(嫡男)が結婚する為、生家は御祝いムードだった。 売られた娘の結納金で興した商売が成功し、美しい嫁を貰うと言う。 なのに、入院した娘には一欠片の恩恵もないのだ。




嫡男が亡くなり、いよいよ生殖機能が戻らぬと解った頃、ノクターン男爵は焦りを見せた。 有力な医師を回り、男性機能の回復は見込めないとほぼ全員に診断されてしまった。

このままでは隠居後に、血の繋がらぬ者に男爵家が渡ってしまう。 自分で築いた財を渡してなるものか…………と奥歯を噛み締める。 性格には難ありだが商才はあり、兄達にも協力して貰い富を築いていたのだ。


いや、それならば、血の繋がる者が居るではないか。

『マーガリンの子が居る!』


何て勝手なのだろう。

彼女を拐い監禁し妊娠させれば、「妾に子ができた」と夫人を煽り追い出させたのに。 既に欲望を満たした後のマーガリンは、邪魔だったのだろう。 自分の手を汚さずに追い出す狡猾さはまさに鬼畜。 普通なら、どの面下げてそんなことができようか。


でもノクターン男爵は、なまじ金があるので今までも無理を通してきた。 そして兄達の権力にも頼って。





メリールーは敏い娘だ。

幼い時から、気がつくと父が居ない家庭に育っていたのだ。

母も祖父母も優しいが、父の話題に触れることはない。

ある時、意を決し(マーガリン)に尋ねた。

躊躇いがちに俯くと、(マーガリン)は答えてくれた。


「貴女の父親はノクターン男爵様なの。でも貴女は私だけの子供よ。今まで黙っていてごめんね」

泣きそうに顔を歪ませて抱き締めてくる母に、『ああ、乞われて産まれてきたのではない』と、理解できてしまった。 そして二度とそのことに触れなかった。


その瞬間、自らに何か、汚い血が入っているような気配が支配した。

そんな自分が、愛されている奇跡に感謝した。



それからは、今まで以上に学び手伝い、家族の役に立つように過ごした。 その傍らで捨てられないようにと、怯えも抱えていたのかもしれない。



そんなある日、ノクターン男爵が私だけを引き取りたいと家に来た。母は勿論断ってくれた。

けれど、多分そのせいで殺された。

断って直ぐ事故に遭うなんてありえない。

この地域での馬車の事故なんて、聞いたことない。

細い道でゆっくりとしか進めないのに。

きっと事故を装い殺されたのだ。

 

祖父母も店を潰すと脅されているようだった。 長く共に過ごし愛おしんだメリールーを、祖父母だって手放したくなかった。 しかし母の二の舞になることを恐れ、メリールーは自ら決意し付いていったのだった。


そして私は、ノクターン男爵の養女になったのだ。

メリールー・ノクターンに。







次の夜会で、メリールーは、サイラム・アルティメット伯爵(イザベラの父)に近づいた。 心から感謝したからだ。

夜会で庇ってくれたのでと、お礼と共に刺繍入りのハンカチを手渡したのだ。

戸惑うサイラムだが、突き返すのも失礼だと思い受け取った。


「あの時はありがとうございました。大変助かりました」

頭を下げて、微笑むメリールー。

「ありがとう。でもこんなことは、これからしない方が良い。下手をすれば、誘惑されたと勘違いする輩も居るのだからね。それからきちんと礼儀作法を身に付けなさい。男性の多くは妻も婚約者も居るのだからね。なるべく女性の友人を………そうだね、孤立無援では女性に話しかけずらいね。ちょっと待っておいで」


そう言うとサイラムは、イザベラの従妹に当たるヨハンナを連れて来たのだ。

「ヨハンナ、彼女はメリールーだ。最近ノクターン男爵に引き取られた娘さんなんだが、何も解らずにいれば変な輩の餌食になる。悪いんだが一緒に居てくれないかな?」


いきなりのことに驚くヨハンナだが、竹を割ったような男前令嬢だ。 困っているなら断れない。

「良いわよ、伯父様。新しく売り出されたアクアマリンのピアスで手を打つわ。じゃあ、貴女いらっしゃい」


後ろ手に手を振って、了解ポーズのサイラムはその場を離脱した。


「は、はい。よろしくお願いします」

「任せて。後、淑女の礼も練習しなきゃね。貴女、引き取られたのに、何も教育されてないのね。元平民って聞いたけど、貴族になりたかったの?」


ヨハンナは嫌みなく、事実確認で聞いた。


それを解ったのか、メリールーも素直に応じた。

「いいえ、まさか。母は断ったのですが、直後事故で亡くなりました。祖父母も居るんですが、養女にならないと店を潰すと言われて、やむなく……………」

俯いて呟くように伝えた。


「何よそれ、あのハゲ好き勝手に! 自分の爵位は低いくせに、親兄弟に頼って好き放題してさっ! ムカつくわ」

ヨハンナは怒りに震えた。

※因みにノクターン男爵は禿げておりません。

金髪碧眼美形のスタイルの良い屑です。


「シーシーです。 あの人達に聞こえたら、貴女まで狙われちゃうわ」

メリールーは口に指を当て、アワアワしている。


「ふふっ。貴女可愛いわね。全然毒婦じゃないじゃない。気に入ったわ」

くふくふとにやける彼女は、目を細めてメリールーの手を握り締めた。


メリールーは、何故だか背中に悪寒が走った。

「あの、あの? どうしたんですか?」


良い笑顔で微笑み、「今日からお友達になりましょう、私達」と。


メリールーは戸惑い、私なんかでは御迷惑になってしまうと断ろうとするが、ヨハンナが耳元に近づき低い声で呟く。


「私の親友がアイツに潰された。復讐に協力して欲しい」


「えっ」と、声が出る。

「静かに聞いて」

メリールーは、俯いてヨハンナを見た。


「たぶん貴女の母親も、アイツに逆らったせいで殺られた。親友は親に売られたように嫁いで壊された。暴力を振るわれて、心も病んで入院してる。私に相談してくれれば、助けられたかもしれないのにさ」

ヨハンナは悔しそうに拳を握り締めた。

辛そうな表情は、メリールーが母に父のことを聞いた時のようだった。


「たぶん、心配掛けたくなかったんですよ。私の母もいつもいつも我慢して………ひくっうっ………そんな顔してたのぉ……」

母の面影とだぶり、我慢していた気持ちが溢れ出した。


ヨハンナは、彼女を抱き寄せて控え室に向かった。


この子(メリールー)もいろいろ溜め込んでたんだろうな。可哀想に』


この日偶然に引き合わされた二人だったが、『復讐したい』と言う共通点で深く縁は結ばれた。





「私思ったんだけど、メリールーが男爵家に来てから教育ってなにもされていないの?」

出会った次の夜会で、2人は休憩室にて話し合っていた。


ヨハンナの質問に頷くメリールー。

「そうなんです。男爵様が子を作れなくなったから、態々庶子の私が引き取られたと思ってたので、たくさん勉強させられると思っていたんですが。ただ交流会や茶会・夜会には行って来いと言われるだけなんです。流石に可笑しいですよね」

「そうだよねえ」

悩む2人。


ヨハンナは仮説を立ててみた。

①教育しないと言うことは、彼女に領地経営を任せたいのではない。

②淑女のマナーもなく社交界に出れば、女性達には受け入れられない。 只でさえ男爵の庶子なのだ。 選民意識の強い上位貴族には弾かれそうだ。

③彼女が選んだ物じゃない派手なドレス。 彼女は平民として暮らしていたので、ドレスの良し悪しなど解らない。 着たことなどないのだ。 用意されたものに袖を通せば、胸の開いた肩の出ているドレス。 羞恥心で余計に縮こまってしまう。

④若い女性に似合わぬ派手な化粧。 まるで娼婦のように毒々しい。 これも男爵家の侍女に施されたもの。 恐らく指示はノクターン男爵の筈。

⑤物珍しさから男が寄ってくるも、彼女は避けきれない。 ノクターン男爵のせいで、貴族は全員難癖つけてくると思って逆らえない。


たぶん態とあのように見せ、逆らわない従順な女と思わせることが目的。


考えられる答えは、彼女を可愛いと見初めた貴族からの釣書を待ち選別して婚約・結婚させる。 結婚後に産ませた孫を教育して跡取りに据えること。

高位貴族の三男か四男辺りを婿に取り、メリールーに男児を産ませる。 2、3人産ませた後に難癖つけて婿を追い出し、孫を跡取りとして育てれば傀儡にできると思ったのでは?


「だって男爵はもう36才ですよ。今から子育てなんて」

「あらっ。だって私の親友グレースは、子を成す為に娶られたのよ。立ちもしないのに、あの◯◯◯野郎がね!自分が悪いのに、若けりゃ立つとか馬鹿じゃないの、本当屑が!」


あわあわ、ヨハンナのスイッチが入ってしまった。

「えーと、えーと。ようするに私は跡取りではなく、繁殖用の犬みたい感じですか?」

「うん、たぶん。何だかんだ言っても、あいつ平民嘗めてるのよ。選民意識強いでしょ? 何でもかんでも貴族に逆らうのか?とか、平民の分際でとか」

「よく解りますね。そうです。そんな感じでした。それで母も無理矢理連れて行かれたそうです。この国に正義なんてないんですかね? 正義は貴族を守る為の法なんですかね? ああすいません。ヨハンナ様も貴族なのに」

私に悪口を言ったんじゃないのに、申し訳なさそうに手を広げて左右に振るメリールーは焦っていた。


「もう解ってるから良いって。それより貴女、子を産んだら殺されちゃうんじゃない? 用済みとばかりに。あいつはたぶん自分の血が入っていようが、庶子等いらないと切り捨てる男よ」

「そ、そうですね。うん、きっとそうです。どうしたら良いのでしょう? まだ母のお墓も出来てないのに」


「もう。その言い方じゃあ、お墓出来たら死んでも良いみたいじゃないの?」 

そう笑うと、それでも良いかなと言うのだ。


「祖父母のことが心配で逃げられないですが、祖父母にも苦労を掛けたと思うんです。本当なら母は幼馴染みと結婚して、今頃祖父母は隠居してのんびりしてた筈なんです。それが私を捨てないで育てたせいで、母は誰とも結婚もせずに苦労して苦労して、殺された。祖父母だって働き詰めで、更に脅されて。迷惑掛けるくらいなら居ない方が良いのかなって」


メリールーはきっと、罪悪感の中で生きてきたのね。

ノクターン男爵が父と解った日から。



私はもう、メリールーが気の毒過ぎて涙が出る。

あんな奴に人生壊されて、諦めしかないなんて。


最終的には繁殖目的に無理矢理引き取るとか、人間じゃないわ。

もう許さない。

絶対潰す。


「メリールー。私はヨハンナ・ブルックリン。ブルックリン公爵の長女。祖母は前国王の妹で、父は国家保安局長官なの。表向きは宰相だけどね。貴女に直々に協力をお願いしたいの」

「え、えっ。そんな大事な秘密を私に話して良いの?」

「勿論よ。でも秘密厳守でお願いね。それより協力して貰える?」


ヨハンナ様~ それよりって、それよりって、もう。

おかしいんだから、ふふっ。


「んもう、何よ。真剣なのに」

「ふふっ、はい。協力しますよ。ふふふっ」

「ちょっとー、良いの? 笑ってばっかりで。後から止められないからね」

「何でもします。誓います」

そう言って挙手するメリールー。

「誓いますって、新婦かよ。よっしじゃあ、明日から家に集合ね。迎えの馬車と男爵に手紙送っておくから」

めっちゃ笑顔のヨハンナ。


私は訳も解らず頷いた。

「解りました。お待ちしております」



翌日食後辺りで、公爵家の立派な馬車が男爵家の門に到着する。

御者が訪問を執事へ告げる。


「おはようございます。ノクターン男爵令嬢をお迎えにあがりました。」

礼をして、馬車に乗るよう促す御者。

公爵家の御者だけあり、その身分も三男だが子爵令息だった。

いかにノクターン男爵でも無下に出来ない。


「お待たせしました。よろしくお願いいたします」


メリールーは、明るく頭を下げて挨拶する。

淑女としては失格だが、その笑顔で挨拶されると下心なく嬉しくなる。


「はい。出発いたします」

そして馬車は公爵邸へ移動していく。


アクダビテ・ノクターンは、苦悩していた。

以前の夜会で小騒ぎがあった際、サイラム・アルティメット伯爵が仲介に入り、ブルックリン公爵の長女が出張って来た。しかも彼女の祖母は前国王の妹だ。 家の一番上の家格侯爵家より上だから、頼みは断れない。 たぶん断れば、圧がかかるだろう。



更にムカつくのはこの手紙


「拝啓アクダビテ・ノクターン男爵様へ


この間の夜会、そちらの令嬢の教育不足の影響で高位貴族の揉め事に発展しそうになりました


慣れぬ夜会なのに、保護者や付き人もなく不安にかられておりましたよ


伯父が諌めましたが、今後も同様のことが予測できましたので、私が責任を持って教育に当たることに致しました


尚、お礼や謝礼などは結構ですよ


腐っても公爵家、唸るほどお金はございますのよ


ドレス等の審美眼も、こちらで磨かせますわ


間違っても商売女のような出で立ちに成らぬように


これは非難ではありませんのよ


だってご夫人の居ない殿方は、ドレスのこと等詳しくないでしょうから


自分の好きな衣装を選んだだけですわよね


心得ておりますわ



これから公爵家の威信を掛けて、立派な淑女に磨きあげますわ


念のため伝えますが、ドレスのフィッティングの際に全身のチェックも致します


努努(ゆめゆめ)暴力など振るわぬようにお願いしますわ



ヨハンナ・ブルックリンより」



「ムカつく、ブルックリン公爵家め

人の家に口出しするんじゃねえー

ったく、男は馬鹿で弱々しい女が好きに決まってんだろ

メリールーを仮腹にする計画が遅くなるだろうが

良いんだよ、あいつは

2、3人産めば、マーガリンの所へ送ってやるんだ

教育なんて要らないんだから

必要なのは孫だけだ

一から洗脳して俺の傀儡にしてやる

『死んだ母に代わってお前を育てたんだ』と、優しく語れば言うこと聞くだろ


だから早く俺の孫を孕めば良い

都合の良い釣書が来てるんだ

伯爵家の29才、ちょっぴり太めの三男

ちょっと禿げて女癖悪いが、顔が良けりゃいいだろ

男なら結婚しやすく、女なら上の爵位へ政略結婚できる

嫌でも2、3年の辛抱だ

お前は育てなくて良いんだ

産めば育ててやるから、安心して眠れるぞ


だから早く帰って来いメリールー」



そんな男爵を天井裏で見ていた、サイラム・アルティメット伯爵の妻エリエール。

「うへっ、こんな所にレア変態が生息してた。今時珍しいド屑だね」


何故病床のエリエールが此処に居るかと言えば、元気全開だからである。

エリエールの病床は言わば設定。

病床で寝ている間、諜報活動に勤しんでいる。


因みにサイラム・アルティメット伯爵は、ブルックリン公爵の部下。国家保安局副長官である。




「今の所メリールーはブルックリン公爵の庇護の下、望まぬ婚約や結婚はさせないとは思うけど、男爵邸に戻ってからが危険度が高い。既成事実を作られては後手になるし、メリールーの心を守れない。ここはエリ姉さんの出番ね。徹夜で頑張っちゃうわよ」


そう言うエリエールは、日中たっぷり寝てから来てるので楽勝モードである。



案の定、2日後に伯爵家うすら禿げ三男が男爵邸で待っている。


きっとメリールーは恐怖の夕食になるわね。

姿は見せられないけど、安心してね。


そしてその夜、メリールーが眠りに就いた頃、うすら禿げ三男は寝室に現れた。

「うわっ可愛い。何これ天使?僕ちん天使を孕ませちゃうの?」

にやつくイヤらしい顔は、欲望で滲んでいる。


『うわっきも、止めてマジで泣く』


そう言って仁王立ちする太めのうすら禿げ三男に、膝カックンしてバランスを崩した所に首に打撃を与える。そうすれば即気絶した。こればかりは経験がものを言うわ。 力加減を間違えると死んじゃうので、良い子の皆は行わないようにね。


※首にある血管の中に頸動脈洞という血圧に影響する部分があり首の圧迫などにより、その部分が刺激され血圧が低下し失神を生じる。


まあ、こんな感じで貞操は守られていくのです。

勿論メリールーは、夜這いが来たのも知らないです。

夜の闇夜のうすら禿げ、怖いね。



今か今かと夜這いの経過を朝に聞くが、知らない間に眠ってしまったと残念がるうすら禿げ三男。1度や2度ではなく、既に5回もだ。流石に太めな見た目もあり、持病のせいではと婚約するのを止めて貰った。


うすら禿げ三男は据え膳を前に拒否するも、男爵は真剣に「持病持ちで遣ったら死ぬかもよ」と脅し、医師を紹介した。

「そう言われると、毎回倒れるように寝てるって可笑しいよね。婚約なしで良いです。まず命大事にします」と言って、男爵お抱えの男性機能の専門の医師を紹介した。 すると本当に心臓に疾患が見つかり、治療を受けることになった。


「ありがとう男爵。命の恩人だよ貴方は」

そう言った手紙と、いろんな種類のケーキが送られて来た。

「うすら禿げ三男よ、そう言う所だぞ」と、男爵は呟いた。


まあ今後甘い物禁止になるうすら禿げ三男ですが、真面目に治療を受けております。


因みにうすら禿げ三男を診察した、男性機能の専門医(泌尿器科医も兼ねる)は、なんで俺のとこに?と思ったが、意外に腕良く心臓内科に紹介した。



これで、婿探しは再スタートになった。

今度は健康面も見なくてはと思った男爵だった。




その間に淑女教育は進み、メリールーもヨハンナの手助けができるように、語学や経済なども学び始めた。 元々地頭が良く、また幼い時に自分の境遇を知り、周囲の空気を読む癖がついていた彼女。 少しでも役立つように、悪い子と思われないように、捨てられないように息を殺して微笑んできた。


だからもし、男爵が少しでも彼女に教育を施せば、付け焼き刃でも其なりのレディに仕上がった筈である。でもそれを無用としたのは男爵なのだ。 淑女にして他家に嫁がせ、老後の安寧を図る可能性を自ら潰したのだ。くだらない選民意識で。



その間にも、男爵のやらかした証言が続々と集まっていく。


離婚した元男爵夫人。

再婚した男爵令嬢の家族。

マーガリンを始めとした平民と、元男爵家の女性使用人達。

平民は補償なく泣き寝入りし、使用人の爵位ある者は兄足る侯爵より微々たる慰謝料と口止め料と、脅しに口をつぐんでいた。

圧力により、こちらもほぼ泣き寝入りである。


口止めされるので、更に被害者が増える仕組みである。



そしてヨハンナの手解きの下、貴族令嬢に受け入れられたメリールーは、サイラム・アルティメット伯爵と婚約し後妻に入ることになった。

前夫人のエリエールは、闘病の末に亡くなり喪が明けたからである。

ノクターン男爵は反対したが、王命が下された。

反論は出来なくなったのだ。


馴れ初めとしては夜会で彼女を助け、ヨハンナ公爵令嬢等を介した付き合いの上で愛が芽生えたことと言われている。


そしてこれまた王命で、ヨハンナ公爵が寄り親となっている子爵家の養子になることが決まった。表向きの理由は1人親の男爵では、いろいろな配慮に欠けるからである。 本当は今までの教育も公爵家で行っており、メリールーの世話が出来ないことが原因である。


男爵は新たに婿となる者に打診していたが、この知らせを聞き激怒された。 「金銭だけ搾取して騙したのか」と。

男爵は婿入りを当てにして、商売の出資金を出させていたのだ。

それもかなり多額に。

この婿候補、親が有力公爵家に連なる者だった。

男爵は「知らなかったんだ。済まない。出資金は上乗せして返します」と、平謝りした。



そして、メリールーが子爵家に養女に向かう朝。

「お世話になりました。今まで(辛いこともあったけど、私を誕生させてくれて)ありがとうございました男爵様」


それはそれは綺麗なカーテシー(淑女の礼)を見せ、男爵や使用人達は見とれた。

一度も父とは呼ばず別れた2人だった。



メリールーが子爵家に移り、しがらみの無くなった男爵は騎士団に捕らえられ、様々な罪が暴露された。

被害女性に対する暴行、殺害容疑、名誉毀損、恫喝、誹謗中傷、誘拐、監禁、ストーカー、器物破損等など、兄達の侯爵家も巻き込んでの断罪になった。


ノクターン男爵は爵位返上と財産を被害者の損害に応じて支給し、残った分は没収の刑となった。仮にも伯爵夫人の父である為、命までは取られなかった。ただ唯一の殺人罪の疑いがあるメリールーの母については、彼女が平民であり実の娘がこれ以上追及しないとなり、見送られた。きっと貴族の矜持(プライド)で生きてきたノクターン男爵には、生きる方が辛いこともあるだろうから。これからは馬鹿にし続けた平民として暮らすのだ。


そして弟を甘やかした侯爵は伯爵に降爵、伯爵は子爵に降爵し、治める土地が減ったことで収入が減り、今までよりもランクを落とした生活になり、家族に非難の目を向けられたのだ。

ここの兄弟は奥さんが強いのです。

「「貴方に余計なお金があると、悪さをするようなので要らないですわね」」

「「そんな~」」

なんてことがありました。



結局1人になった男爵。

今まで馬鹿にした民に、仕返しされると宿で震えていたが……

貴族がそこに訪ねてきた。

「男爵、いやアクダビテさんか。良かったら俺の家で働かないか?」

そう言って声を掛けてくるのは、見知らぬ男。

「失礼ですが、誰ですか?」

「え、ああ。俺痩せたからね。ミロ伯爵家の三男グレプだ。アクダビテさん、あの時は世話になった。貴方は命の恩人だ。それに貴方には商才がある。是非一緒に働いてくれ」


うすら禿げ三男?

え、だって髪もフサフサで、マッチョになってる。

なんで?

不思議そうにしていると、グレプが答えた。

「ああ、あれから食事改善と運動してたら、生えてきたんだ。今は嫁さんもいて幸せだよ。貴方のおかげだよ。病院に行かなきゃ死んでたよ。ありがとうな」


頭をぽんぽんと叩いて、幸せそうに笑っている。


「そうか、良かった。良かったな」

自分の手で、偶然でも幸せになった人が居た。

意図したものじゃないけど、お礼を言われることなんて商売(の社交辞令)以外でなかったなあ。


「俺でも幸せになれるかな?」

知らずと聞いてしまっていた。

今思えば、酷いことばかりしてきたのに、恨まれてばかりいるのに。


「ああ、悔い改めて、一から始めようぜ。相棒」

「ありがとう。ありがとう…………」

1人でのたれ死ぬと思ってた。

仕返しされて終わると思ってたのに。

味方がいてくれた。

グレプは笑って、使用人用の寮に連れていってくれた。



元ノクターン男爵は、爵位返上と財産没収はされたが、女性達の人権を守る為に罪状は非公開であり、周囲には知られていない。

平民になったことは知られているが、娘が伯爵夫人になるし慰謝料も支払っているので仕返ししないようにと、元ノクターン男爵が知らぬ所で、ヨハンナ始め諜報部員が暗躍したのである。



なので、アクダビテ(元ノクターン男爵)が再起できるのは自分次第なのだ。それもこれもメリールーの恩情と言って良い。



そしてヨハンナの友人グレースは、ノクターン男爵の没落を話すと気が晴れたのか回復に向かった。10日目には目に光が戻り以前と同じ笑顔を覗かせた。頬は痩けたままだが、食欲も戻り退院。自分を売り払った家族とは見切りをつけ、縁切りして公爵家の侍女となった。いつもヨハンナに寄り添い、姉妹のように過ごしている。

「ヨハンナが産んだ子供だって面倒見るからね。任せて!」

「いやいや、まだ婚約者もいないし」


特殊な家系故、いつか政略結婚するだろう。

「願わくばまともな人、そしてイケメンで、マッチョで、頭良くて…………」

無言で遠い目をした親友。

「誠実であれば良いです」

「うん。それで行こう」

2人で大笑いする幸せ。




その頃、サイラム・アルティメット伯爵邸。

元男爵令嬢で、その後子爵令嬢になって、今日結婚式をあげたメリールー・アルティメット伯爵夫人が到着した。その横には侍女がついている。


サイラムの娘イザベラは、年の違わない後妻に蟠りを感じていた。本心は嫌いだった。だってまだ母が死んだばかりなのに。


「よろしくお願いしますね。イザベラ嬢」

「…………………」

優しく話すメリールーに、無言を貫くイザベラ。


「ちょっと、私はそんな子に育てた覚えはないよ。きちんと挨拶しなさい」

「えっ」

「あっ、しまった」

「嘘? お母様なの? 死んだんじゃあ」

化粧で印象を変え、髪色も違うエリエールがそこにいたのだ。


「うえ~ん。何で嘘ついたの?」

「仕事で仕方なかったんだ。ごめんね」


泣き笑いの親子の対面だったが、サイラムには目茶苦茶怒られた。

「それで諜報勤まるのか!」と。



そこでイザベラには全て話すことになった。

ヨハンナの父ブルックリン公爵が国家保安局長官で、ヨハンナも諜報員。イザベラの父は国家保安局副長官で、母エリエールも諜報員だと言うこと。 エリエールの母は病死したことにし、身分や名前を変更し別人で活動することになったこと。その為、イザベラにも死んだと思い込ませることにしたこと。


「なんで私にも秘密なの?」

「余計なことを知っていれば、危険に晒されるからだ。隠そうとしてもプロには見抜かれる。でももう今更だな。だから来るなと言ったのに」

「だって心配だったんだもん」

エリエールは膨れっ面をした。

それを見るイザベラは、泣きながら微笑んでいた。


「秘密を知ったからには、お前も諜報員になることが決まった」

「えっ?」

「因みにお前は俺達の子供じゃない。ブランドール国の亡命した姫だ」

「えっ」

「サイラムと(エリエール)は仕事仲間よ」

「えっ」

「ああ、でも。育てたのは間違いなく私達よ。安心して」

「あ、うん」


情報量が凄くて、目まぐるしい。


「ええと。因みに私メリールーと、サイラムさんも偽装夫婦です。だから安心して下さいね。嫉妬などなさらずとも、貴女だけのお父様ですから」

「えっ」


今までの私の心の涙は何だったのよ~

「ごめんなさい。1回寝てきます」

「「「お休みなさい」」」


何だか混乱の予感。

でもまあ、楽しいのかなと眠りに就くイザベラ。

これから地獄の訓練が待つのだが…………それは後日スタートで。



そして、メリールーの母マーガリンも諜報員にスカウトされていた。丁度事故で意識不明から目覚めた病院で。


「このままじゃ、また命を狙われるわ。ここは死んだことにして、諜報員として生きてみない」と。

悩んだけど話を受けた。

このまま死ぬより、メリールーを見守って生きたいと思って。

そして空の棺桶をお墓に埋めたのだった。


そして何と、母はアクダビテ(元ノクターン男爵)が好きだったと言うのだ。

「あのヤンデレ具合がね。最高だったのよ。でも奥さんに追い出されちゃってさ。それで萎れてたの。ごめんね、何か言えなくて。あー、言えてすっきりした」


どうやら母の身体能力なら、逃げられたし脱出も出来たけどしなかったそう。なんか別の一面が…………


「だからね、相思相愛だったの、私達。殺したいほど愛してるなんてね」

笑えない冗談である。


母と再会したのは、イザベラにばれてから2年が経過した頃。

落ち着いた時に会えて良かった。

私も後を追って死ななくて良かったよ。

後、父が殺されなくて良かった。

匙加減一つで死んでたよね、危ないなあ。



父も今は、更正して真面目に過ごしている。

母は整形してまた結婚しようかしらとか言っている。

今の父は、女に興味どころかトラウマ抱えてるみたいだから止めてあげた方が優しさだ。復讐の意味なら止められないけど。



とまあ、何とかやってます。

      昔の私、今幸せだからね。 

               挫けないで頑張れ。



其ではこれにて。

「ヨハンナ様、1人で勝手しちゃダメですよー」



10/11 日間ヒューマン部門 72位でした。

ありがとうございます(*^^*)

10/12 日間ヒューマン部門 70位でした。

ありがとうございます(*^^*)

10/13 日間ヒューマン部門 37位でした。

ありがとうございます(*^^*)  

夕方46位でした。まだ100位以内にいました。嬉しい(*^^*)

夜間36位でした。上がってる、すごい(≧∀≦*)/

ありがとうございます。

10/14 日間ヒューマン部門 30位でした。

ありがとうございます(*^^*) まさかの順位UPでした。

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