ミチ×カナ
「麻里奈がね、サトくんにチョコ渡したんだって」
「......ああ。」
「.........ミチ、サトくん何か言ってた?」
「.........」
「.........」
「.........」
「私、麻里奈がサトくんの事好きだって、全然知らなくて」
「.........」
「気付いてなかった。今までずっと4人でいたのに」
「.........」
「ミチは知ってた?」
「.........」
「...私、知らない間に、麻里奈の事傷付けたりしてなかったかなって。ちょっと心配になって」
「.........麻里奈は、何か言ってたか」
「麻里奈は...今まで黙っててごめんねって。卒業する前に伝えたかったって言ってた」
「ああ」
「なんか、びっくりしちゃって。どうしようって思って」
「……」
「上手くいかなかったら、4人で居るのは気まずいだろうし。上手くいったら、じゃぁ2人にしてあげた方が良くなったり、とか」
「……」
「私……」
「……」
「……」
「………そうやって、お前を不安にさせたり、気を使わせたくなかったから、黙ってたんじゃないのか」
「……うん」
「どうせ、言っても言わなくても、どれだけお前が望んでたとしても、ずっと同じままではいられない」
「大学がバラバラだから?」
「……まぁ。…人だからな」
「……よく分かんない」
「………」
「………」
「気付かなかった事に落ち込む事も、変わる事に不安になる事も、2人への態度を変える事も、何もしなくていい」
「……」
「お前は、いつまでもそのままのお前でいて欲しいって、あいつらなら言うんじゃないのか」
「……うん」
「…それに、あの2人なら上手くいく」
「そうなの?」
「ああ」
「そうなんだ」
「……」
「そっか」
「……」
「……」
「まだ不安か」
「……」
「…麻里奈は、他に何か言ってなかったか」
「……」
「カナ」
「……」
「……」
「……」
「カナ」
「……頑張ってって」
「うん」
「……ミチ」
「うん」
「………」
「……」
「……」
「…………出して」
「へ?」
「鞄の」
「………」
「変わらないままではいられない。けど、変わる事に不安になる事もない。」
「……」
「カナ」
「……」
「俺はずっと、カナが好きだよ」
「………チョコを」
「うん」
「……渡したかったの」
「うん」
「ずっと…渡したかった」
「10個目の正直か」
「ミチ、ずっと好きだったの」
「……」
「……」
「…お返しが一ヶ月後じゃなくて悪いんだけど」
「………」
「俺は、渡すって決めてたから」
「……」
「カナ……俺と結婚して」