Episode1
閲覧ありがとうございます!!
はじめまして みみみみみかん と申します。
初めて小説を書かせていただくので、拙い文章ではありますが、
楽しんでいただけたらうれぴ〜!っていう感情です。
誤字脱字がひどいかもしれませんが、そっといておいてください…
それかそっとしておかずに、コメントで教えていただけたら幸いです。
このタイトルで何話か書かせていただく予定です!
気長に更新していけたらと思います。
よろしくおねがいします!!!!
「幸汰、お前、好きってどういう意味で?」
ーどういう意味…?恋愛感情としての好きだよ。
「お前、俺のことずっとそういう目で見てたわけ?」
ーそういう目というか、なんていうか、ずっと好きだったんだよ
「…ごめん」
ーううん、俺のほうこそごめん。……気持ち悪いよな。ごめん。
「うん。気持ち悪い」
«ピピピピピピピピピピピピピピピ»
……さいっあくな目覚めだ。
定期的に見るこの悪夢は、俺の中3の夏の実体験だ。
その時の色、匂い、空気、感情すべてがそっくりそのまま夢に出てきて、俺のトラウマを薄れさせてくれない。
好きな人に、好きと言っただけ。
ただ、俺が男で、俺の好きだった親友も、男だっただけ。
たったそれだけなのに、親友を失い、地元では「あいつはゲイだ」という噂がどこまでも広がっていき、居場所を失った。
福島の実家をでて、今は横浜で一人暮らしをしている。
当然彼女も彼氏もいない(というかできたことない)訳だが、それなりに充実した日々を送っている。
健康器具を扱う会社の広報部で、やりたい仕事をやって、休日はほとんど家で好きなことをし、何より自分の噂を誰一人知らないこの環境が、どんなに生きやすいことか。
もう誰にもバレてはいけない。
俺が何もしなければ、絶対にバレない。
誰にも恋をしてはいけない。
好きな人と一緒になれる幸せなんて諦めた。
そう思っていたのに………
「やっべ起きなきゃ」
こんな朝は甘いもん食べて元気出してこ。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
いつもの時間に、桜木町駅に降り立った。
自宅から駅まで走らなければ絶対に間に合わなかったな…
朝から優雅にパンケーキなんて焼いてちょっといい感じにトッピングなんかしちゃってちょっといい感じの写真なんて撮ってたからだな…美味かったな……
「高山!おはよ!!」
「うわびっくりした!なんだ望月か!!おはよ!!!」
後ろから勢いよく覆いかぶさってきたのは、同僚のひとりの望月翔太。
最近彼女にフラレて傷心中のせいか、やけにテンションが高い時がある。今それ。
人懐っこい性格で、うっとおしいくらい距離が近い時がある。
「高山お前、めっちゃ猫背で歩いてたぞ」
「んあ?別に猫背でもよくない?」
「せっかく王子様〜って感じのイケメンなのにもったいないぞお」
「それは褒めすぎだろ」
「いや、褒めたんじゃない、その素材をぶち壊してるってことが言いたいんだ俺は」
「ぶち壊してないだろ!ほら、どっからどう見てもイケメンだろ?」
「う…ん。猫背だし、髪もめっちゃ寝癖付いてるし、お前が猫に見えてきたわ、可愛いでちゅね〜」
「は?!寝癖?!やめろ髪ぐしゃぐしゃすんな」
「お、高山と望月じゃん、おはよ」
うわ。
急に寝癖がめちゃくちゃ恥ずかしくてとっさに手で隠した。
後ろから声をかけてきたのは、同じく同僚のひとりの蒲原聖也だ。
183cmの長身に、整った顔面。完璧すぎるルックスと仕事ぶりで、社内の女性たちのほとんどがこいつに夢中だ。(多分、あんまタイプじゃないとか言ってる女は強がってるだけでほんとは好き)
おまけに男女隔てなく優しい。ズバズバはっきりものを言うタイプだが、ちゃんと優しい。
あとなんかいつもいい匂いがする。(香水はつけてないらしい。じゃあなんの匂いなんだよ。)
そんなん好きにならない訳がない。
俺だって、好きになりたい。なりたいんだ。
ただ、なってはいけない。
「おう!蒲原!相変わらず今日も鬼のようにイケメンだな!高山と違って素材をふんだんに活かしてるねえ」
「おい、俺だって活かしてるだろ!」
「お前は猫背寝癖を直せよ…ていうか蒲原来た瞬間ぴしっとしたな?あと寝癖隠してるな?」
「違うよさっきからぴしっと歩いてるし寝癖なんかついてな…」
突然蒲原にどう見ても寝癖を隠してるとバレバレであろう手を掴んでどけられる。
少しだけ、鼓動が早くなったのを感じた。
「何、お前寝癖ついてんの?ほんとだ可愛いやつだな」
顔が熱い。止められない生理反応。
「可愛くないだろ!もう会社着いたら速攻直す…」
好きになっては、いけない。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
会社は、みなとみらいのタワーの中にある。
屋上ではないが、窓からはみなとみらいの景色が一望できるため、入社したばっかりの時はなにかと外を眺めていた。
「思ってたより寝癖ついてたな…」
俺は髪も目も肌も色素が薄い。だから染めてもないのに毛が茶色い。
そのくせ家の洗面所の証明がオレンジで薄暗い。つまり、あんま良く見えない。
「照明変えないとな…」
ここのトイレの照明見やすいな。同じ色買お。
「おっ。可愛い寝癖直しちゃったの?」
うわ蒲原だ。可愛いとか言うなよ意識しちゃうって。
「直しちゃったってなんだよ。当たり前だろ。」
「俺はふわふわな寝癖ついてる高山のほうが猫みたいでいいと思うけど?俺猫好きだし。」
「はあ?望月も猫に見えてきたとか言ってきたんだよ。こんな身長176もある猫キモいだろ。」
「えっ176もあんの?もっとちっちゃいと思ってた。なんでだ?」
「なんでも何も猫背だからでしょ」
「うん…それだけじゃないな…」
「ちょっ、えっ?何??」
突然両手で腰を掴まれて、動揺して変な声出た。
続いて手首を掴んだまま、驚いたような顔でこちらを見つめてきた。いや驚くのはお前じゃないだろ。
「高山お前、細すぎだろ。ちゃんと飯食べてんの?!」
「食べてるわ!俺食べても食べても太らないのコンプレックスなんだよ」
「まじかよごめん。でも女の子より腰も腕も全然細いからびびったわ」
「そうなの?触ったことないから分かんな…」
あ、やべ。童貞だってバレる発言しちゃった。やっべ。
「触ったことない?嘘つくなよ、あははっ。お前絶対モテるタイプだろ?」
「バレたか☆」
そう、モテるタイプに見えるだろ?俺。よく言われる。
まあ実際モテるんだけど、女の子のこと好きになれないのはわかっているから、付き合ったことも抱いたこともない。
「そんなことより蒲原、早くトイレ済ませろよ。俺先行ってんぞ。」
「うわもうこんな時間か!やべ」
急にスピーディーに動き出す蒲原。
俺はシャツ越しでもじゅうぶん伝わる蒲原の温度を思い出しながら、一人でオフィスに向かった。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「なあなあ蒲原〜高山〜。飲み行こうや〜…」
「望月お前、昨日も俺たち二人で行っただろ?」
「蒲原とは行ったけど高山とは行ってない!俺はみんなで行きたい!」
傷心中の望月は、寂しいのだろう、毎日仕事終わりに誘ってくる。
昨日は待ちに待ったサスペンスホラー映画の配信開始日だったため、速攻帰宅したが、今日は何も予定がない。
「うん、いいよ。行こ。」
「高山が行くなら俺も行くよ。」
えっっ?それどういう意味?俺が行かなきゃ行かないってこと?そういうこと??えっ???好きなん???
と今すぐ口にしたい気持ちをぐっと抑えて、言葉の意味を深く考えてないふりをした。
「よっしゃ!じゃあ俺と蒲原と高山で同期飲みだな!!あっでも川崎がいないのか」
俺たち同期は4人いる。
今までの3人に加えて、川崎拓人。唯一の既婚者で子持ちだ。
今日は、奥さんと3歳の娘が熱を出したそうで休んでいる。
飲みに行く約束が成立して、それぞれの仕事に戻る。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「俺の大失恋からの新たな出会いに期待して…かんぱ〜い!!」
「「 か、かんぱ〜い… 」」
いつも飲むとなったら決まった店に来ている。
ほどよくガヤガヤしていて、THE・居酒屋という感じの親しみやすい店だ。
店主も気さくで、顔を覚えられていてたま〜に話しかけてくる。俺そういうの苦手だけど。
「お前、大丈夫か?時々空元気感がにじみ出てるぞ」
ほんとにちゃんと心配してるのかわからないニヤニヤ顔で聞く蒲原。
俺はほんとにちゃんとちょっとだけ心配してるぞ。
「大丈夫じゃないよ!もう8年も付き合ってた彼女にプロポーズして振られるって想像の1000倍きつすぎだからな?くそ〜」
「うわ〜〜それはきついな、、、」
そんな経験微塵もないけど想像しただけできつい。
「一緒にいると落ち着くけど結婚は違うってなんなんだよな、女心むじいわ。てか蒲原もつい最近彼女と別れたばっかとかいってたけど大丈夫なの?」
「えっ?!!そうなの??!」
あ、ちょっと過剰反応しすぎた。正直心の中でニッコニコしてる。別れたからなんなんだよって話だけど。
「あ〜別に全然大丈夫。そもそも振ったの俺の方だし」
「まあそれは昨日も聞いたけどさ、、すげえなお前、ちょっとでも未練とかないの?」
「未練…?そんなん感じたこと人生でないかもな?そもそも好きじゃなかったし」
「はあ…お前みたいなモッテモテ男は、なんかそうやって拗れてるやつ多いよな」
「拗れてねえし!最初はタイプの美人だから付き合って見るけど、だいたい束縛してこようとして嫌になるわけよ」
「あ〜まあ束縛はつれえな。でも俺だったら多少は束縛されないと逆に不安になるけどな」
ほうほう、そういうものなのか。
たしかに、恋愛に嫉妬ははつきものだってなんか漫画か小説かドラマか映画で聞いたことあんな。
俺には恋愛経験がなさすぎるから、こういう会話に入れないんだよなあ。
「多少のレベルがわかんねえんだよな…今どこにいるのお?とか私のことだけ見ててえとか言われただけでダメだわ」
「それめちゃくそ多少だよ。じゃあなんで付き合うんだよ。お前年上好きだよな?」
「ああ、、美人の年上って燃えるじゃん」
「ああそれ前も言ってたな?燃えるポイントどこ?」
「言ったっけ?年齢がいってる美人ってさあ、普段めっちゃプライド高いんだよ。これまで男に散々言い寄られて、自己肯定感バカ高えんだよ。そんな人間がセックスの時俺の言いなりになってるの、やばくない?」
「ゲホッッッ!ゴホッッ」
動揺しすぎて漫画みたいに吹いてしまった。
最低人間かよ…。
「おいどうした高山大丈夫か?…そういえば、お前は恋愛の話になるといつも黙り込むよな?恋バナって全人類が好きだと思ってたけどお前苦手なの?お前もモテるのに」
隣に座った望月が、おしぼりで俺の口周りを吹くという優しい行動をとりながら、俺が一番触れてほしくない話を振ってくるという最悪なことをしてきた。
「たしかに、高山の恋愛の話興味あるわ」
お前だけはやめてくれ…。
「そうだよ、興味ないだけだよ…。あと俺モテてんの?」
「モテモテだよお前。自覚ないの?社内の女子、みんなお前のこと可愛いとか付き合いたいとか言ってるよ。蒲原と同じくらいモテてるイメージ。」
「いや、蒲原と同じくらいはないだろ?俺、寝癖すげえし猫背だし、可愛い要素0だろ…」
「「 いやお前は可愛い 」」
「いやハモってんじゃないよ!俺男だよ?可愛いは女の子のための言葉だろ??」
2人がなぜか3秒間くらい目を見合わせていた。
男に可愛いはないだろ…。ましてや俺身長もあるし。どう見ても女の子には見えない。
「お前は自己肯定感が低すぎなんだよ…。お前が女だったら今すぐ告ってたかもってくらい」
「お前が年上の美人なら付き合ってたくらい」
「いや蒲原のはもう俺じゃないじゃん。誰でもいいじゃん。」
はははっと笑う蒲原。そのくしゃっとした笑顔、ズルい。
俺は周りからどう見えてるとか、いまいち分かんない。
でもどう思われてるかすんげえ気にしながら、人の顔色伺う癖は昔からある。
外見とか、内面にも、自信なんて微塵もないし、どう思われてるかがわからないから、怖い。
同性が好きだって秘密もあるせいで、自分のことをあまり話すのが得意じゃない。
なにかのはずみでバレて、またここにいられなくなったら……。怖い。
「俺の話なんてどうでもいいからさ、ほら、二人の話を聞かせてよ」
二人の恋愛の話を聞くことで、俺も恋愛経験豊富になったつもりでいられるんだ。
俺の知ることのない世界だから、聞くのはとてつもなく楽しい。
「言ったな?んじゃあ今日は終電まで俺の傷ついた心を慰めてくれよな…」
「終電までは無理!!」
すかさず蒲原がつっこむ。
くだらないことでみんなで大笑いして、望月が酒のせいか大泣きし始めてそれもみんなで笑って。
こういう時間が幸せなんだ。
俺はこのままでいい。
恋愛で幸せにはなれない運命なんだし。
やっぱり人を好きになんて、ならない。
最後まで読んでいただきありがとうございました///
次回はもっとお話がすすんでいきますので、お楽しみに(^^)
幸汰はずっと「好きになってはいけない」と自分の気持ちを否定し続けてますが、
もう明らかに好きですよね。素直になれえ〜