斜め30°の勇気
抜け目のない現実社会に足場を失い
逃げ込んだ地下鉄で窮屈な檻にはめ込まれた
毎日はただ生き抜くためだけのサバイバル・ゲーム
いかに他人を蹴落とし いかに自分がのし上がるか
見えない不安を情報で打ち消そうとするけど
液晶の向こうに広がるのはフェイク・ニュース
「自分は違う」と呟いてみても
都会の雑踏の中 かき消されて
だから僕の瞳はいつも 斜め30°下を向いて
何も見えはしない 見えていない
ただ真実と睨み合う勇気がないだけ
歩道橋の上から渦巻く欲望を見下ろし
転がり落ちて猛スピードの正義にはねられた
黒々と舞い上がる自己矛盾に覆われた空に顔をしかめ
言い訳で呼吸しなければ生きられなくなった自分に気付く
「私は何」と叫んでみても
答えなどはじめから きっと無い
だから私の瞳はいつも 斜め30°下を向いて
何も見えはしない そんなこと分かってる
けれどこの世界で 心だけは真っ直ぐでいたいんだ
世界はそんなに容易く変わらない
でも自分自身なら きっといつでも変えられる
だから勇気を出して もう目をそらすのはやめよう
曲がっていたのは 自分の方だったかも知れない
もっと目を見開けば もっと光が差し込んでくるかも
その光を道しるべに 暗がりだった道を照らそう
そして昨日より 少しだけ顔を上げて
誰かの真っ直ぐな瞳を 受け止められるように
ほんの少しの勇気があれば 世界はもっと素敵に輝く
それは、斜め30°の勇気
ありがとうございました。読んでくださった皆さんに、明日も素敵な世界が広がっていますように。