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斜め30°の勇気

作者: 逢乃 雫

抜け目のない現実社会に足場を失い


逃げ込んだ地下鉄で窮屈な檻にはめ込まれた



毎日はただ生き抜くためだけのサバイバル・ゲーム


いかに他人を蹴落とし いかに自分がのし上がるか



見えない不安を情報で打ち消そうとするけど


液晶の向こうに広がるのはフェイク・ニュース



「自分は違う」と呟いてみても


都会の雑踏の中 かき消されて



だから僕の瞳はいつも 斜め30°下を向いて


何も見えはしない 見えていない


ただ真実と睨み合う勇気がないだけ



歩道橋の上から渦巻く欲望を見下ろし


転がり落ちて猛スピードの正義にはねられた



黒々と舞い上がる自己矛盾に覆われた空に顔をしかめ


言い訳で呼吸しなければ生きられなくなった自分に気付く



「私は何」と叫んでみても


答えなどはじめから きっと無い



だから私の瞳はいつも 斜め30°下を向いて


何も見えはしない そんなこと分かってる



けれどこの世界で 心だけは真っ直ぐでいたいんだ


世界はそんなに容易(たやす)く変わらない 


でも自分自身なら きっといつでも変えられる



だから勇気を出して もう目をそらすのはやめよう


曲がっていたのは 自分の方だったかも知れない


もっと目を見開けば もっと光が差し込んでくるかも


その光を道しるべに 暗がりだった道を照らそう



そして昨日より 少しだけ顔を上げて


誰かの真っ直ぐな瞳を 受け止められるように


ほんの少しの勇気があれば 世界はもっと素敵に輝く


それは、斜め30°の勇気



ありがとうございました。読んでくださった皆さんに、明日も素敵な世界が広がっていますように。

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― 新着の感想 ―
[良い点]  普通の日常に混ざる心情の描写が、理不尽さを物語っているようで。  そらした視線では映らないもの。 『見る』大切さを教えられました。 [一言]  まだ逢乃様入門者の私、植物と星をテーマ…
[良い点] 自分が昔、世の中に対して斜に構えていた頃を思い出しました。 30°、60°、90°の三角形は鏡映しにすると正三角形になりますね。他人と自分と世の中とバランスよく付き合いたいものです。
[良い点] 私には、幼馴染の「さっちゃん」という親友がいます さっちゃんは、私とは性格が正反対なのですが、なぜか気があって、小学校から大学まで(高校は違ったのですが)同じでした さっちゃんは非常に気が…
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