新大陸で生きる方法 1-3
発見した湖から戻ってきた涼とスラミ。
涼はログハウスに入ろうとするがスラミが水を吸収して大分大きくなってしまっており、扉から入れないのではないかと気が付いてどうしようかとスラミに聞く。
「大分身体が大きくなってるけど、スラミは小屋の中入れるのか?」
そう尋ねる涼に問題なさそうにスラミは身体を引き延ばして薄くしてドアを通り抜けていく。
それと見た涼はそろそろ慣れて来たのか便利な身体だなと思いながらログハウスの中に入り扉を閉めたのであった。
「それでその身体の中にいっぱい水を汲んできたのはいいけどどうするんだ?ここで出しでもしたら水浸しになるぞ?」
涼はスラミの考えがまだ分からずどうすればいいのか椅子に座りながら質問をする。
スラミは大きくなった身体なので椅子には座らずにそのまま佇んでいた、そして涼の質問にいつものように看板で答える。
「『問題ありません、まずはそこの台所の下に設置されているマナクリスタルを渡してくれませんか?』」
「台所にマナクリスタル?希少だって言ってたけど置いてあるのか」
そういって涼は椅子から立ち上がり後ろにある台所に歩いて行った。
まだ使った事のない台所は元の世界のようなキッチンシンクの水回りに、IHのよう模様の真ん中に何やら小さな紅いクリスタルのようなものが埋め込まれているものとシンクの下に収納スペースなのか両開きの取っ手が付いてる。
「えっと下だな、ってことはこの取っ手の中に置いてあるのかな?」
そう言いながらシンクの下の収納スペースらしき場所を開くと、上に伸びている水道管の下に手のひらサイズの青いマナクリスタルだと思われる石が簡単な台座と共に設置されていた。
これは取っても良いものなのか悩んだがスラミが取ってこいと言っていたので、アームで固定されている台座の上からマナクリスタルを外して涼はスラミの元に戻る。
「これか?何か大事そうに設置してあったけど」
涼はそういってテーブルの上にマナクリスタルを置いてスラミからの返答を待つ。
「『それで間違いありません、それではそのマナクリスタルの中に組んできた水を補給します』」
そういって触手状に身体を伸ばしてマナクリスタルを掴んで体内へと収納するスラミ。
すると水を蓄えて大きく膨張していた身体がみるみるうちに元の大きさまで収縮していく。
その様子を涼はおっー!と言いながら眺めていたのだった。
「『これで水がそのマナクリスタルの中に補給されました』」
そういって先ほどより青く輝いてる気がするマナクリスタルを体内からテーブルの上に戻すスラミ。
「『ではそのクリスタルを先ほど設置されていた場所に戻してください』」
涼はそれを読むとマナクリスタルを手に取って戻っていく、そうしてシンクの下の台座に再び設置した。
「これでよしっと、置いたけどこれでどうなるんだー?」
「『あとは簡単です、上の蛇口の横にあるレバーに魔力を流してください』」
そうスラミが近寄ってきて看板で教えてくれている。
涼は立ち上がって言われた通りにレバーに魔力を流し込んでみると。
「このレバーか?それじゃあさっきと同じ様に魔力をふんっ!.......っておい!なんか凄い勢いで水が噴射してるんだけど!?」
蛇口の先から凄い勢いで水が噴射してきて焦る涼、その様子を見てスラミは看板でアドバイスをする。
「『魔力を強く流し込み過ぎです、少しの魔力で問題無いので力を抜いて魔力を流し込んでください』」
「弱くするって言ったって......えーっと力を抜く感じで......」
力を抜くようにとアドバイスされた涼は何となく脱力する感じで魔力を弱めてみる。
そうすると蛇口からの水流は徐々に収まっていきやっと使える勢いの水流へと落ち着いた。
「ふぅ、落ち着いたか。でも凄いなこれは、マナクリスタルが必要だって言うのも納得出来る」
涼はレバーから手を放して跳ね返りで濡れて服を拭きながら感心していた。
「『下の装置により流れた水も浄化されて再びマナクリスタルの中へと循環しますので環境にも配慮されています』」
「ってことはひとまず水の心配は要らなくなったってことか、さてじゃあ次は食料だけどそろそろ日が暮れそうだな......」
そう言って窓の外を眺める涼。
言った通り窓の外では太陽、こちらの世界でも太陽なのかは分からないが空の日が沈んで辺りが暗くなろうとしていた。
今日の分はどうしようかと考えている涼の横にスラミが触手を伸ばしてきて、そこから何匹か魚のような生物をシンクの中に取り出していく。
その魚は今まさに陸に打ち上げられたと言わんばりに身体をビチビチと元気に動かしている。
「おおっ!?これは魚......か?見たこともない見た目だけど、どうしたんだこれ」
「『水を体内に汲み上げると同時に捕獲しておきました。私は魔力と水さえあれば生存出来ますので貴方が調理して食してください』」
そういってスラミは何処か得意げな雰囲気で涼に看板で言ってきている。
「それは嬉しいんだけど......これは食べても大丈夫な魚か?なんか青い模様とか黄色い模様とかで熱帯魚みたいな見たことのない色合いしてるんだけど」
「『そちらの魚はマナバスと言われている魔力を含んだ魚です、一般的にはマナポーションなどの薬の原料にもなる滋養のある魚ですので問題ありません』」
そう言われたものの涼は元居た世界ではあまり見た事のない奇抜な色合いの魚をどうやって調理したものかと頭を困らせるのであった。
「塩とかあれば最悪焼くだけでも食べられると思うけど、何か調味料的なものがあればなぁ......」
「『もう直ぐ日は落ちてしまいますが、付近の野草の中には風味を持ったものが生えていたはずです。香草の代用品になると言われています』」
「それは簡単に見つかるものなのか?」
「『比較的見つけやすいとされています、野宿をする冒険者や獲物の肉の保存や臭み抜きに狩人が採取をして携帯していることが多いとされています』」
「じゃあ急いで探してみるか、幸いそんなに量は必要ないからな。ついでにアポリの実だっけ?あれも取っておこうか」
そういって二人は急いで近くの森へと走っていくのであった。
平日は頑張って更新します、土日は休んでます