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新大陸で生きる方法 1-1

スラミを追いかけてログハウスの外に出た涼。

外ではスラミが看板を掲げながら待っていた。


「『まずは私が魔法というものをお見せします、よく見ていてください』」


するとスラミの身体の上に水のような液体がどこからともなく生成され、それが三日月の形を作っていく。

スラミの身体の幅と同じぐらいの量が集まった時、その三日月状の水の塊は勢いよく森の木に向かって射出され木を一本切り倒して消失した。


「『これが水属性の魔法の一つ、ウォーターカッターです』」


その光景を涼はおおっ!と声を出して見つめているとスラミが涼の傍に近寄って看板を出してきた。


「『私は水属性のスライムなので同じ属性の魔法を使えますが、貴方の属性はまだ判明していません。なので魔法の練習をする前に属性を調べることにしましょう』」


そう言うとスラミはどういう原理になっているのかは分からないがまた体の中から水晶玉の様なものを取り出して涼に手渡してくる。


「これは?」


「『これはこの世界で普及している使用した人物に何の属性が宿っているかを判別する道具です、両手でその玉を持って力を強く込めてみてください』」


「力を込める......か、とりあえずやってみるか。ふんっ!」


そう言って水晶玉を受け取った涼は割れるんじゃないかと思うぐらいの力を込めてその玉を両手で押してみた。

すると身体から何か力のようなものが水晶玉に向かって注がれているような不思議な感覚を涼は感じながら続けていく。

そうしていると力を注ぎこめる感覚が不意に途絶えて、透明だった水晶玉は不思議な色の光を放っていた。


「はぁはぁ......結構疲れた感じがするけどこれで大丈夫か......?」


涼は持っていた水晶玉をスラミに手渡す、そうするとスラミはその水晶玉を身体の中にしまいぶるぶると少し震えた後看板を出してきた。


「『これはとても珍しい魔力の属性ですね、流石はフォルトゥナ様に選ばれた異世界人です。結論から申し上げますと貴方が持っている適正属性は全属性です』」


そう言われたものの涼はいまいちどういうものか理解できず困惑している様子。

そんな涼にスラミは続けて説明を始める。


「『一般的に魔力というはその種族によって得意な属性が2つか3つ決まっており、その中から個人の属性として生まれた時に1つあるいは複数の適性を得ることが普通です。ですが貴方の場合は後天的にフォルトゥナ様に付与されたということで全ての属性に適性があるということです』」


確かに全属性と言われれば凄い事なのだろうが涼は自分にそんな力があるものなのだろうかとスラミに疑問を聞いていく。


「うーん、なんとなく凄い事は分かるんだけどつまりどういうことだ?さっきのウォーターカッターとやらも使えるのか?」


スラミは再び看板を出して涼の疑問に答えていく。


「『もちろん扱えます、しかし全属性の魔力が体内にあるということは特化出来ていないと言うことになります。現在の貴方の状態では一般的に下級に分類される魔法ならどの属性も行使可能だと思われます』」


スラミからの返答を読んで少しづつだが理解をし始めた涼、しかし聞けば聞くほど新たな疑問が浮かんできている。


「なるほど、じゃあついでに色々聞きたいんだが属性の種類って何があるんだ?それに下級とかって?」


その涼の疑問についてもスラスラとスラミは看板を取り出して説明をしてくれる。


「『まず属性ですが【土】【水】【火】【風】【光】【闇】の6種類があります。それぞれが複合することで更に別の属性に変化することもあります。それと魔法の行使の難しさから区分が分けられており【下級】【中級】【上級】が基本区分として存在しており、どれにも当てはまらない【伝説級】というのも存在します』」


その説明を聞いた涼は属性に関しては元々ゲームなどで知っていた知識もあり比較的すんなりと理解が出来た。

しかし区分についてがまだ分からない、先ほど言われたのは下級までは扱えるという事。


「なるほど、属性は良くファンタジー漫画とかで見たことある感じだな。その下級とか上級とかってどうやって分けられてるんだ?行使の難しさって書いてあるけど具体的には?」


「『区分は主に【行使の際に消費する魔力の量】【発動体が必要か否か】で分けられます。簡単に各区分について説明しますと下級は魔力の消費量が少なく発動体も必要ありません。中級は人によっては発動体必要になってきます、それに伴い魔力の消費量も上昇します。上級や伝説級に関しては特別な素材で出来た発動体必要になってくる場合もあります、それに並みの魔力の量では唱えることは出来ません』」


丁寧にスラミは看板を複数個地面に刺してそこに具体的にどんな魔法があるのかまで涼に示してくれている。


「うーん発動体ってのが良く分からないけどひとまず俺は下級しか使えないみたいだから考えなくていいんだよな?じゃあどんな魔法が使えるのか見てみるか......」


そう言って涼はスラミが書いてくれた下級の魔法一覧を読んでみる。

そこには魔法名と具台的な発動効果が書かれていた。


「何々、下級魔法入門編。

【土の下級魔法・ロック 地面から土や石の塊を作り上げ対象にぶつける】

【水の下級魔法・ウォーターカッター 水を圧縮し撃ち出す事で対象を切り裂く】

【火の下級魔法・フレイムバレット 炎の弾丸を生み出し射出する】

【風の下級魔法・ウィンドステップ 風を纏わせ対象の行動を軽やかにする】

【光の下級魔法・ヒール 軽い切り傷などを再生することが可能】

【闇の下級魔法・ブラインド 対象の暗闇を被せ一定時間視界を奪う】

『その他の魔法に関してはスマートフォンをご確認ください。』

......なるほど」


涼は読んだ感じイメージがしやすそうな魔法の一覧だなと思い、同時にイメージしやすいから下級なのかとも理解できた。

そしてその他の魔法についてはスマートフォンと書かれていたので見てみると確かに【魔術大全】と書かれたアプリがインストールされていることが発見出来た。


「何はともあれ試しに魔法を使ってみないと分からないよな、えーっとイメージすれば良いんだったか」


そう言って涼はさきほどのスラミのウォーターカッターを思い出しながら森の方を向き、右手を前に突き出してその先に魔力を集中させる。

すると徐々にだが右手の先に水の粒子が集まり三日月を形どっていく。


「おっ!なんか出来てる気がする!慌てるなよ.....ウォーターカッター!」


魔法名を叫びながら涼はウォーターカッターを木に向けて射出した。

スラミのウォーターカッターより小さく速度も速くはないがその魔法は木にぶつかると半分ほど切り傷をつけて消えてしまった。


「ふぅ、なんとか発動出来たか。流石に初めてじゃあスラミと同じようには出来ないか」


そう疲れてるとスラミは看板を立ててフォローをしてくる。


「『いきなり発動出来ただけでも大したものです、普通はまず魔力の集中方法から段階を経て学んでいくのですよ。下級ですら発動するのに一か月近く掛かる事も珍しくないありません』」


「そうなのか......なら上出来かな?にしても水晶玉に魔力を込めるのも含めて身体の今まで意識したことのない部分がなんだか疲れた感じがする。これは確かに連発は出来ないな」


そう言って涼が地面に座っているとスラミは提案をしてくる。


「『小屋の周辺の調査は貴方が疲れているようであれば私一人でも調査してきますがどういたしますか?言っておりませんでしたが小屋の周りはフォルトゥナ様の加護の結界が設置されていますので獰猛な獣なども寄って来ることはないでしょう』」


そう書かれた看板を読んだ涼は少し悩んだあと立ち上がって身体を伸ばしながらスラミに言った。


「いや、折角だしちゃんと自分の目と足で歩いて探索してみることにするよ。これからここで生きていくんだからな」


「『了解いたしました。ではこのまま近くの水場の調査に向かいましょう、フォルトゥナ様から頂いた情報ではここは新大陸の中でも安全な部分との事ですので獰猛な生物に襲われる心配も少ないと思われます』」


「分かったよ、確かスマートフォンにマップアプリも入ってたしそれも見てみるか......」


涼はスマートフォンを持ちながらスラミと共に森の中へと歩き始めるのであった。

スラミの看板は彼女の魔力で出してるので適宜消えております。

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